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【りんご飴のおはなし】

能登島に出かけた帰りに高松PAに立ち寄りました。
そこで屋台を見つけた次男が
「りんご飴、ほしい」
と言い出しました。

真っ赤な飴がリンゴに巻かれている、あれです。

「算数の時間に『りんご飴』が出てきたんだよね。どんな味かなと思って」

なるほど。母は少々気が引けるけど、食べてみたいんじゃ仕方ない。

屋台に行って見てみると、やっぱりどぎつい赤の物体は強烈。他にイチゴ飴、ブドウ飴もあって、目移りします。

「リンゴ飴、どう?」とお店の人に声かけられます。
「これ、中はリンゴそのものなんですか?」
「そうよ〜。リンゴに飴かけてるの。中はジューシーよ。イチゴもブドウもあるよ。どう?」

このリンゴ、イギリスでよく食べていたサイズでなんだか懐かしい気分にもなってきます。

次男に再度確認。「リンゴ飴、食べるのね?」「うん」

リンゴ飴を一つください、と300円で買いました。そばにいた長男は「え〜っ、本当に食べるの?オレいらないよ」と消極的。

屋台の人に「車の中で食べると汚しちゃうからね。家に帰ってからだよ」と言われて次男、納得。

大事に持って帰ってきて、家に到着するなり開封して食べ始めました。

しばらくして、パソコン仕事をしていた私のところにやってきて、
「飴がさ、固いんだよね。なかなかりんごが食べられない」
「あら、そうなの? じゃ、飴の部分、パリパリって剥がしてみたら?」

またしばらくしてやってきて、
「あのさ、時間が経っちゃったから味がかわっちゃったんじゃないかって」
(車で食べず持ってきた時間が長かったとのことのようです。)
「あらら、おいしくなかったの?」
「飴が固くて甘すぎるんだよ」
「リンゴは食べてみた?」
「うん……あとで食べようかな。これ、どうすればいいかな?」
「じゃ、お皿の上に置いておいたら?」

夕食の間もお皿の上に置かれていた食べかけのりんご飴。

夜寝る頃になって、再び次男がパソコン仕事をしていた私のところへやってきました。
「で、あの飴、どうすればいいかな?」
「もう食べないの?」
「うん。最初はおいしいかなって思ったんだけど……もうりんご飴はいいや。」
「わかったよ。じゃ、ごめんなさいしようね。」

自分から食べたいと言った手前、もういらないとなかなか切り出せなかったという気持ちが伝わってきました。でも、食べてみて思った味と違ったという経験も大事かと、母は承知の上でしたよ。失敗を経ないとわからないこともたくさんあるし。300円はその勉強代として。

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