【発音編】南部&メコンデルタのベトナム語特徴を解説してみる
ベトナム南北バイリンガルを目指して♬
今回カントー滞在での大きなチャレンジと楽しみである、南部・メコンデルタのベトナム語。ベトナム語はほぼ独学なのですが、これまで足掛け20年くらい勉強しています。おかげさまでハノイでは基本的には苦労しないレベルにまでなりました。基本的な通訳・翻訳もできます。でも南北に長ーいベトナム、言葉の違いはかなりのものです。外国語好きの自分の好奇心にがかなり火が付いている今日この頃、Xでもこんな「ベトナム語・バイリンガル宣言」をしていました。
そこで今回はその学習プロセスを折角なのでnoteにまとめつつ、自分の南部・メコンデルタベトナム語マスターへの糧にしていきたいと思います。まずは「発音」編です。
ちなみに以下発音・音声などに関する表現は、私自身が言語学を専門とはしていないところ、厳密には正しい表現ではないかもしれません。ベトナム語発音表現にはカタカナは限界があることは重々承知しつつ、便宜的にカタカナも使用しつつ、直感的にわかり易いと思われる説明にしましたところ、その点はご了承ください。
声調「?」が「↗️」に
南部方言一般に当たりますが、これは一つの大きな特徴の一つです。例えば先日誰かが「ティー先生」という名前を挙げたのですが、自分が「Tý」とメモすると「いやいや違うよ、Tỷ先生だよ」と訂正されました。そう、つまりベトナム語で「?」マークで示される「Dấu hỏi」声調が、「/」マークのdấu sắc、つまり上がる声調に聞こえるのです。
ただ現地の人に聞くと、両者にはやはり発音の違いがあり、何度か聞いた感じでは「/」マークのdấu sắcの方が上がり方がやや急に聞こえます。「?」マークで示される「Dấu hỏi」の方が緩やかな感じ。
そうすると疑問に思えるのは、母音の上にニョロニョロっと書く「Dấu Ngã」、あの「急に上がる」なんて解説されるあの声調との違い。これも、ザックリ言うとやや急な右上がり、と言った感じに聞こえます。これを聞き分けるのはかなりムズイ!
二重母音が一重に
「uon」が「un」に、「iet」が「it」に、といったように、2つの母音が重なる複母音が単母音になる、あるいは単母音に聞こえるくらいに片方(基本的に後ろ)の音が小さくなる感じがします。
例えばTuấn、Túngは共に「トゥン」さんに聞こえ、北部発音だとハッキリ聞こえるTuấn「トゥアン」の「ア」の音が聞こえなくなります。これにより、より多くの言葉が同音異義語に感じるのですが、やはり完全な同音ではないようで、区別はされているようです。うーん、リスニングが難しい。Xでも書いた、スプーンの意味である南部語の「Muỗng」も「ô」の音が聞こえず、「ムーン」と聞こえたのもこの一例かと思います。
「i」の音が「u」に聞こえる
これはクリアな違いとは言いづらいの自分の感覚なのですが、「i」の音がクリアに「イ」ではなく、少しこもる音で「ウ」に近くなるように聞こえます。文字では説明辛いし、変化は微妙なのですが、自分がベトナム語聞き取りにおいては結構厄介なハードルになっています。
Daが「ヤー」になる
これはかなり有名なので、ご存知の方が多いかもしれません。例えば南部ビンズオン省のThủ Dầu Một市は北部読みだと(声調は置いとくとして)「トゥーザウモット」といった音になりますが、これは「トゥーヤォモット」になります。Dの子音の音は北では「ザ」行ですが、南では「ヤ」行ですね。
Roも「ヨー」になる
と思えば、Rの音も「ヤ」行になります。例えば「ハッキリしている」という意味の「rõ ràng」という単語は、北では(声調は置いとくとして)「ゾーザーン」になりますが、南では「ヨーヤーン」に聞こえます。あれっ、これも「ヤ」行に?
何なら「V」も「D」でヤ行に?
更に言うと「v」も「d」、つまりヤ行に近い音になっているよう。例えばvàng(金)も北では「ヴァーン」となりますが、ここカントーでは「ヤーン」という感じの音に聞こえます。なんと、これも「ヤ」行に!?
しまいには「Gi」も「ヤ」行に!?
更に更に、Giで始まる単語で、北では「ザ」行の音も、これもかなり「ヤ」行に近い音に聞こえます。例えば「同じ」という意味の「Giống」も北部だと「ゾン」なのに対しては、南部では「ヨン」というように聞こえます。えっー、また「ヤ」行!?
このように南部弁には、このヤ行が多いことで、その独特の柔らかな感じが出るのかもしれません。ただその一方、地元の方の中には「こうやって発音が、北部基準の発音記号とズレたり、類似音が多くなったりすることで、学校でしっかり勉強していないと、書く時にスペルミスをする人が多い」と話す方も。同音異義語が増えるのじゃないかなあと思う中で、自分も「確かになあ」と思うところです。
語彙がメチャ異なる(こちらは次回に)
今回は発音編ということで書いてみましたが、これだけでもまだまだ出てきそう。そして、違う語彙となると更に出てくる、出てくる。それはまた別の機会に譲りたいと思います。これは奥が深いぞぉー、難しいぞぉー、だから面白いぞぉー!