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映画「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」 魂の救済


□最も劣った人間だと思った日

楽しいのです。
これだから映画は楽しいのです。

上映中、終始ケタケタと脱力して笑っていることが幸せでした。

「え、もう終わり?」と本気のバカ面してた自分が可笑しかったです。

魂を救済してくれた映画ってなんですか?

『メジャーリーグ2』
『翔んで埼玉』

ボクはこの2作品が思い浮かびます。

たぶん落ち込んでいたときなのだと思いますが、このしょうもない作品は”無条件で”ボクを受け入れてくれました。

ボクが世界で最も劣った人間だと思っていた、そんな日。

意味も感動もなく、バカがバカやってるだけの映画にボクの魂は救済されました。

『ベイビーわるきゅーれ』もそういう映画だと言ったら大袈裟でしょうか。

□オフビートでオンビート

”オフビートな笑い”とよく言うけれど、いったいどこまでオフにしていいものなのでしょうか。

辛うじて成立するギリギリのオフラインってどこにあるのか。

この映画、ちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)の日常会話のオフの究極を狙ってますが、若干行き過ぎて向こう側に落っこちています。

おいおい。

前作もそうだったですが、ふたりの会話ユルユルすぎて何言ってるか聞き取れませんもん(笑)

(笑)で済ませられるのは、日常の自堕落なオフを回収してあまりあるくらいアクションはフルスロットルの”オンビート”だから。

この緩急にしびれます。

普段は冴えないけどやるときはやる。

人によっては『007』とかを想起してワクワクするのかもしれません。

ボクは『刑事物語』を思い出して熱狂します。

たけ~しっ!ハンガー!ちが~~~う、木のやつぅぅぅぅ!!!!

『刑事物語2 りんごの詩』、名作です。

□求む48ベイビー

ちさととまひろのふたりの関係が時折「カップル」みたいに見えるところもおもしろいです。

女同士で、特に同性愛でもないのに、ヒーロー&ヒロインの陶酔感で画面がロマンチックに染まる。

『花束みたいな恋をした』の引用でさらにそれが効いてましたね。

菅田将暉「じゃあ結婚しよ、毎日好きなことしてればいいじゃん」

日本映画史上最凶の求婚シーンをまさか本作でも堪能できるとは…

そしてアクションシークエンスにおける最終ショット。

あれはいかがでしたか?

ボクはあれがよかったです。

あれを望んでました。

あの終わり方によって本作はペーソスに溢れ、またふたりに会いたいと思ってしまいました。

『男はつらいよ』に通ずる哀愁です。

全48作にもわたって”ちゃんとできない男”を描いたことで日本全国のちゃんとできない人をどれほどホッとさせたか。

『ベイビーわるきゅーれ』もぜひ48ベイビーくらい”ちゃんとできないふたり”を描いて、ひとつでも多くの魂を救済してほしいと切に願います。

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