映画「泣いたり笑ったり」ブラジャーをしています
孫までいる推定60代の男ふたりが「ボクたち結婚します」とカミングアウト。
白髪キザなおっちゃんは「トニ」
ゴツい漁師のおっちゃんは「カルロ」
このふたりがジュテーム♡
それぞれの家族では「男かよ!」と大騒ぎ。
カルロの息子サンドロさん「ざけんな、オヤジ!」
トニの娘オリヴィアちゃん「いいんじゃな~い♪」
トニのもうひとりの娘ペネロペさん 「(オエェ)」
映画は、このペネロペちゃんを中心に描いていく。
チリチリパーマできれいな顔立ちのペネロペ。
彼女は混乱して、過呼吸になったり、ゲロゲロしたり、カルロの息子(既婚)にチューまでしたりとボロボロ。
いつまでも受け入れらずにいる彼女に、トニとはすでに別れたママから『子どものまま大人になることほど惨めなことはないよ』と窘められる。
ここで言う大人とは「他者の生き方を認められる」ということなのだろう。
ペネロペは、同性婚に反発しているのではなく、父の愛がかつて自分に向いてなかったという思いが底流にある。
それはそうとてスクリーンにはイタリアの太陽。
明るい日差しのなかで際立つ人々のゆるさ。
気づけばワイングラス片手に踊ってるラテン馬鹿。
お前ら悩んでるんじゃなかったのかよ。
さっきからオリヴィアちゃんの乳首透けてるけど…誰もそんなこと気にもしない。
映画的にも、ショットとかアングルとかの堅苦しさをまったく感じさせない。
”映画とは”なんて姿勢で観ようとする自分を、「まぁ、いいから踊れよ」といざなってくる。
イタリアってなんかみんな裸だ。
生まれてこの方一度も自意識を脱げたことなどない自分はそう感嘆する。
踊れませんよ。
踊ってたら「お前、恥ずかしくないの」って自分が自分に言ってくるもん。
とうとうカルロが息子にキレる。
「(同性婚が)不快なのは、お前らの問題だろ」
そのセリフにハッとする。
そうなのだ。
たとえ軽蔑されても、自分を殺してはいけないのだ。
彼らは自分の価値を大事にするから踊れるのだ。
他人の快不快を気にして生きていたら、自分自身があまりにかわいそうだ。
オレはブラジャーをしている。
自意識というブラジャー。
そんなんじゃいつまでもオレにはなれない。
たかが乳首透けてなんだというのだ。
オリヴィアちゃんみたいにノーブラでいいじゃない。
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