最寄りの闇市おしえてよ
寒いのが心底嫌いな癖して北海道が大好きだ。なんてったって飯がうまいから。海の幸、山の幸、乳製品もうまいからお菓子もうまい。サッポロビールにニッカウヰスキーに小樽ワインがあって酒飲みにもたまらん土地。罪な大地である。北海道というやつ。寒いし遠いし広すぎるしで住みたくはないけど愛してる。水曜どうでしょうもゴールデンカムイも面白いし。絶対住みたくないが。
北海道出身の知人は「北海道は素材がうますぎて調理法の凝り方を知らない。関西来てダシのうまさにビビった。」みたいなことを言っていたが、正直自虐風の自慢としか思えない。「顔がいいから前髪でごまかさなくてもよくて前髪の巻き方知らない」みたいな話でしょう。結局素材が美味い奴が勝つようにできているのだ。
なんで北海道の話をしているのかというと、北海道に行ったからである。安直すぎる。例のごとく友人Kと一緒に行った。時々彼女と遠出しないとなんだか何らかの症状が出そうになる。Gotoキャンペーンに乗っかって9月くらいに予約したのだが、出発1週間前くらいに札幌でコロナ感染者が増えまくり、出発前日に札幌がキャンペーン対象外になる方針を固め、帰ってきたその日に対象外になる滑り込みっぷりであった。
彼女とは去年の今頃にも札幌に行った。今年は札幌で行きそびれたスポットを巡りつつ、小樽も観光しよう!という運びで小樽に宿泊することになった。正直小樽に3泊もして間が持つかしらと思ったが、割と持った。というのも、ひとえにNETFLIXとYouTubeのおかげなのだが。
宿がとにかく最高(予約した直後くらいに小バズりしたし、実際よかった)だったので、部屋にApple TVがついていた。NETFLIXもYoutubeも大画面で見られる。部屋にソファもあるので、かなりゆったりくつろげるわけである。それに加えてこのご時世だったこともあり、夜遅くまで遊び歩くことはあまりしなかった。3泊のうち2泊は近場で晩御飯を食べて9時までにはホテルに帰り、すぐ風呂に入り、近くのコンビニで買った酒をカッ食らいながら映画を観ていた。
自分の地元から遠いところに行くと、コンビニ見ててもそこのローカルを感じて面白い。とくに本州と隔絶されてる北海道という土地だからかそういうことが多い気がする。ガラナとかやきそば弁当とかがポップをつけずに平気でコンビニに並んでいると、「別にこれ、観光客に食わそうとして作ってるもんではないんだ」と実感する。
そういう商品のひとつが缶ハイボールの「香る夜」である。北海道限定で販売されているので、普段はお目にかかれない。
舌がアホだし慢性鼻炎なので、公式サイトに書いてあるような「モルトの甘やかな香り」とか「クリームのような香りと蜂蜜を思わせる味わいのカフェグレーン」とかは正直わからない。カフェグレーンに関しては言葉自体を知らなかったので、今調べた。知らない言葉を書くのは怖いから。ウイスキーの種類なんですね。
結局酒に大事なのは飲んでうまいかどうかな訳だが、その点において香る夜は最高。めっちゃうめぇ〜〜。唐揚げと一緒にガブガブ行くタイプでなく、スモークタンとかをつまみに口ん中香りだらけにしてジヮ〜と飲むハイボールという感じがする。名前通り凄くウイスキーの香りがする。9%なのにストロングの酒っぽさはなく、気持ちの良いお酒の香り。
この商品、北海道に行けばコンビニやスーパー等で普通に売っている。売り場も別に「北海道限定です!どうだ!」と言わんばかりの打ち出し方をしているわけではない。むしろどこにでも売っているほろよいとかストゼロとかが幅を利かせており、売り場の大方の光景といったら普段行くスーパー等とほぼ変わらない。ただ目を凝らせば、1番上の棚の壁際から4つ目にそいつは鎮座ましましているわけだ。
なんで?
なんで。謙虚がすぎる。脳ある鷹が爪を隠してるだけってこと?それとも自己肯定感が低すぎるってこと?どちらにしろもうちょっと自己主張をしても良くないか。サイトととかを見る限り、結構力を入れて作っている感じがする。もっと売りなよ。こんなひっそり売らなくたっていいじゃん。頑張って作ったんでしょ。もっと大々的に売ればいいでしょう。自分のコンセプトと旨さにもう少し調子に乗ってくれ。リカーマウンテンの頂上に胡座をかいてくれ。お前にはそうなれるだけのパワーがある。もっと宣伝もしていい。ススキノの交差点に大きな看板が出ているが、お前はもっと宣伝されるべきなんだ。CMを撮ろうよ。大泉洋を呼んできた方がよろしいのか?SNS路線の宣伝ももっとやってくれ。ちいかわとリュウジさんに飲んでもらおうよ、ねえ、ねえ……。
こんなに美味いのに大した宣伝もされず、売り場でも特に推す様子はないところをみると、この飲料はコンプラ的にグレーゾーンなのではないかと疑わざるを得ない。香る夜のベースになっているカフェグレーンは昨年に一時休売状態になっていたらしい。おそらく酒税法の改定があったときにカフェグレーン中にあったとある成分がイケナイ感じになっちゃったのだと思う。香る夜は炭酸で薄めてあるが故に含まれているイケナイ成分の濃度が下がっており、ギリギリ法律のお目溢しを頂けたんではないだろうか。かといってイケナイ成分を含有していることは確かなので、製品に法規上問題は無いものの積極的な販売は忌避されているのではないだろうか。
だとしたら「香る夜」はあんまりにも不遇ではないか。頑張って開発して販売したのに、後出しみたいに出てきた酒税法のせいでこいつはずっとお天道様の元を堂々とは歩けない。香る夜自体には何の問題もないのに、何も悪くないのに。父が過去に正当防衛の範囲内ではあるが殺人を犯したと知れて、その息子が村の者から「人殺しの息子」と仲間外れにされるみたいな、そういう不遇さを感じる。一生こいつは濡れた靴下を履き続けるような後ろめたさを背負わねばならないのだと思うと、心が痛んで仕方がない。
どこか、どこかにこいつを正当に評価してくれる市場はないものか。お天道様の元を歩けないというならばアンダーグラウンドだって構わない。どこかにこいつを正当に扱う闇市はないものか。できれば北大阪あたりにないものか。ケースで買って帰る予定だからあんまり遠いとつらい。北海道から直輸入で香る夜を売ってる闇市はないのか。なるべく近くに。教えてくれ。どこなんだ、最寄りの闇市は。
闇市というか、物産展を早くやってくれ。いまマルセイバターサンドも切れたので、手が震えている。早く!早く私に北海道を!!Amazonか!?!?!やはりAmazonで買うしかないのか!!?!?いやそうなんだが、それが1番手っ取り早いんだが!!でもなんか、違くない!?!?みたいな感じすんだよなあ!!Amazonで買うとさあ!!!
ア“〜〜〜〜助けて〜〜〜〜〜〜!!!!!!
香る夜、余市のふるさと納税の返礼品になっているそうだ。全くふるさとではないが、この際もうふるさとだと言って差し支えないと思う。納税の義務が発生した暁には、真っ先に余市にふるさと納税しようと思う。
北海道には住まない。寒いのがすごくイヤだから。