#1 荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方
漫画作成のノウハウを紹介している一冊だが、漫画の創作と無縁の人も楽しめる。
漫画というフィクションを作るために必要な視点が逆説的に現実の解像度を上げてくれる。
特に本書は”悪役”にスポットを当てている。悪との闘い。少年漫画ではありがちだが、現実では無い。けれど、悪とは悪者に限定されない。各々が進みたい道の上に立つあらゆるもの(人、物、概念)も該当する。
人はみんなある種の闘いの中で生きていると気付かされた。その闘いがどういう構造で描かれているのか、主人公として自分はどうやってその悪と立ち向かうのかを考えさせてくれる。
名作漫画の悪役は、ジョジョのDIOや吉良がそうであるように、魅力的だ。
そんな悪役との闘いは主人公を引き立たせてくれるから、悪役に対するリスペクトが大切さだ。
漫画と現実を結びつけてくれる一冊。自然と身の回りの世界がジョジョや岸辺露伴が住む世界観みたいに見えてくる。