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人の言葉を糧に、未来へ。前編〜株式会社RASHISA代表 岡本 翔さん。


最近、誰かと本気で話しましたか?

自分のありのままの意見を、相手に伝える。
相手からも、ありのままの答えが返ってくる。
素直に、真っ直ぐに人と対峙する。

子ども時代には当たり前だったことが、大人になると、自分らしく偽りなく、ありのままに生きることは容易ではないですよね。

虐待問題に取り組むことを通して、皆が自分らしく生きることができる世の中をつくる。そんなビジョンを持った起業家に今回、お話を聞くことができました。

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今回、お話を伺った岡本 翔さん。(ニックネーム おかしょー )

株式会社RASHISA代表。大学在学中に福岡でベンチャー企業と九州の学生をつなぐ採用イベント事業を立ち上げる。その後、上京。現在は「ビジネスの力で世界一、虐待問題を解決する」というビジョンを掲げ、虐待問題に取り組む。

上京してすぐ、コンタクトレンズが買えなくなった。

──2018年に岡本さんは、起業家になるという夢をかなえるために、福岡から上京してきたんですか。

 そうですね。福岡にいた時に、すでに事業を始めていました。ですが、もっと色んなことに挑戦したかった。さまざまな人がいて、機会が生まれるのが東京だと思うので、上京しました。もちろん当時、知り合いは、ほぼいないですね。だから、まぁ大変でした…。話し相手がいなくて辛かった。

──事業は、うまくいっていたんですか。

 いやぁ、全然うまくいかなくて…。コンタクト買うお金がなくなっちゃうほどでした。笑。それでメガネに変えたんですよ。そこから2年半くらいメガネだったんです。2021年は気持ちを新たにコンタクトレンズでいこうと思って…。

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岡本さんがコンタクトレンズ姿のプロフィール写真がないとのことで、取材時にスタジオでプロフィール写真撮影を行いました。

人生を賭けて、「虐待問題」に取り組む。

──事業がうまくいかない中、どうやってここまで事業をうまくいかせたのですか。

 全然、これからだと思っています…!当時の話をすると、上京して、資金調達が上手くいかず赤字になり、会社を清算しようと思って1週間ほど就職活動をしました。ですが、僕を助けてくれたり、応援してくれたりする人がいてくれた。その人たちに励まされて、もう一度挑戦をしようと決めました。他社さんで業務委託で働いたり、アルバイトをしたりして、資金を稼ぎました。踏ん張りましたね。そして、事業が軌道に乗り始めた時に、その事業を譲渡しました。

──事業譲渡?そこまで踏ん張って作ったものを?

 はい。事業を運営していく中で、さまざまな方との出会いがありました。その中で、とある経営者が「おかしょーくんが本当にやりたいことは、何なの?」という言葉を、何度も僕に投げかけてくれました。そこで気づきました。僕が本当に挑戦したいことは「虐待問題を解決したい」ということだと。人生を賭けて「虐待問題」に取り組もうと。そこで、当時やっていた事業を片手間で運営することは難しいと判断し、信用できる会社さんに譲渡しました。

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大人になるまで、認識できない虐待。

 虐待問題に取り組むにあたって、色々と調べていました。それまで虐待は暴力だけだと思ってたんですね。調べていくうちに、僕が中学生の頃から、親族から受けていた嫌がらせは、心理的虐待だったな。ということを認識しました。

──親族からの嫌がらせ…。

 当時は、虐待ではなく嫌がらせだと感じていました。例えば、学校のテストで95点以下をとったら、家を出ていかないといけない、親族にマッサージを毎日1時間半しないといけない、家の電気を付けちゃいけない、風邪をひいても咳をしちゃいけないなど…。そういう僕だけが守らなければならないルールが、いくつもありましたね。

 僕と同じように、当時は気づかなかっただけで実は、虐待を受けていたなと大人になってから認識する方が、たくさんいるんじゃないかと思うんです。

厚生労働省では、児童虐待を以下の4種類に分類し、定義づけています。「身体的虐待」「性的虐待」 「ネグレクト」「心理的虐待」

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引用:厚生労働省.“児童虐待の定義と現状”. 厚生労働省ホームページ.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/about.html, (2021/01/22)

虐待=親の問題と、捉えてほしくない。

 やっぱり、僕たちがやりたいことは、虐待を減らすことで。虐待って、社会がそうさせてしまう社会問題なんです。実は、加害者の6割ほどは実の母親なんですよ。その背景にはさまざまな問題があって…。望まない妊娠・出産、子育て中の母親が孤独を抱えてしまうことによる精神障害など…。様々なことが原因になっていて。精神的・経済的に困窮しても、その状況を助けることのできるライフラインがまず少ない、そして当事者がそこにアクセスしづらい。これら全て、社会問題なんです。


 例えば、母親が子どもを虐待してしまったニュースを見ると、母親だけが悪い、親が問題だ。と思ってしまう。本当はそうじゃない、社会の問題なんだと私たちは考えていて…。もっともっと、どうして虐待が起こってしまうかを理解してもらい、私ごととして虐待の問題を考えていって欲しいなと思っています。

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後編は、上野の不忍池でお散歩しながら、お話をお聞きしました。

後編へ続きます。
https://note.com/imaginations/n/n67dc164abf14


取材・文 :大島 有貴
写真:唐 瑞鸿 (MSPG Studio)
参考文献:鍋倉早百合 (2006). 自分の子どもを虐待した母親の研究―養育のための社会保障の充実を求めて― 創価大学大学院紀要


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