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前編〜続けることで、未来が見えてくる。イラストレーター もみじ真魚 さん
「続けること、毎日コツコツが何よりも大切だ」
子ども時代から、耳が痛くなるほど聞かされた言葉である。
だが、私は大人になった今、何一つ続けることが出来ていない。
筋トレ、ダイエット、英語の勉強…。
始めることができても、続けることが難しい。
365日休むことなく、毎日新作のイラストを発表し続けている
イラストレーターがいる。もみじ真魚さんだ。
今ではSNS上で、通算600日間更新が続いている。(12月2日現在)
もみじ真魚さんのイラストは、空腹で見ると危険である。
思わず、お腹が鳴ってしまいます…。
今回、お話をお伺いしたイラストレーターのもみじ真魚さん。
美術大学を卒業後、漫画家としてデビュー。現在はイラストレーターとしても活動。表現力豊かな色彩とキャラクターを用いた食レポを得意とし、
SNSで毎日、「飯テロ」と称したイラストを発表し続けている。
もやしのひげ根を抜く、少年時代。
──作品を拝見すると、食べものへの愛を感じるのですが、もみじ真魚さんは幼少の頃から、「食べること」が好きでしたか?
小さい頃から食べものが好きでした。結構、食にこだわりのある家だったんです。食事をちゃんと一から作ってくれて、美味しかった。これは洗脳かもしれないですけれども…。親から「うちは料理がちゃんとしている、いい家だから」と言われて育ってきました。なので「いい暮らしをしてるんだなぁ」と子どもながらに思っていました。
よく料理のお手伝いをしていました。餃子を母親と一緒に作ったり、もやしのひげ根を抜いたり…。もやしは本当に、その一手間で味が洗練されて美味しくなるんですよ。
そういうこだわりが、当時は普通だと思っていました。子どもの頃って自分の家しか、良くも悪くも知らないじゃないですか。
今回の取材では、ランチをいただきながら行いました。
もみじ真魚さんの「食へのこだわり」を感じながらのインタビュー
となりました。
漫画家時代に気づいた、自分の食べものへのこだわり
──学生時代から、イラストレーターを目指していたのですか?
いえ。昔から漫画が好きで、美術大学に入った時から、「漫画家になって、一旗上げてやろう!」と思っていました。卒業後、漫画家として活動を始めました。ですが、芽が出なかった…。
漫画は形式やキャラクターに縛られてしまうところがあって、設定を絶対に守らなければならないんです。描きながら、「このキャラちょっと違うな」と思っても、変えることはできない。自分に向いていなかった。
ですがイラストは、その時の気分でタッチが変えられるんで、そこが向いていたのかなと思います。今も漫画を描くこともありますが、イラストにシフトチェンジしていますね。
──食べもののイラストを描くきっかけは、何かあったのですか?
自分の中で普通だと思っている食べものへのこだわりが、意外と周りの人からしたら普通ではなかったようで…。
漫画家時代、食べもののイラストを描く際に、アシスタントさんに
「ここ書き入れ甘いから、もうちょっと直そうか」と言うと、「いや。そんなにやらないですよ。普通」と返されたりして…。だんだんと自分のこだわりに気づきました。こちらからすると、「いや。そこは大事なところだから!」って思うんですけどね。笑。
漫画本体よりも、食べものの絵の方が評判が良かったんです。当時は、ちょっとショックでしたけど。そこから、食べものを描いた方がいいんじゃないかと意識をするようになりました。
真剣な表情で、ランチを撮影するもみじ真魚さん。
こちらも後日、作品として描く予定だそうです。
好物を聞くと、みんな顔が明るくなる
──そこから、食べものをテーマにしたイラストに注力したのですね。
ある年の冬のイベントで、イラストカレンダーを販売したんですよ。そしたら、買ってくださったお客様の1人から、「会社であんまり喋るのが得意じゃなかった。けれども、このカレンダーがきっかけで、社内の人から美味しそうだね。と声をかけてもらうきっかけになりました」という話を聞いて、とても嬉しかった。それが今でも印象的に残っていて…。自分のイラストで、そうやって人のコミュニケーションを一瞬で作り出してしまうんだと。イラストレーターは面白いな。この道で生きていきたいな。と思いました。
誰かに大好物を聞いた時って、みんな顔が明るくなるんですよ。食べものにはそういう力がある。それを伝えるだけでも、食べものを描く価値ってあるんじゃないかなと思っています。
今年の10月に開催した個展では、画集を購入していただいた方に、
その場で大好物を聞き、サインと共にイラストを描いたとのこと。
筆者も、大好きな納豆を描いていただきました。
ここまでは、もみじ真魚さんが食べもののイラストを描くようになった
きっかけを中心にお聞きしました。
後編では、現在続けていること、
そして、これからの目標をお聞きしました。
文 :大島 有貴
写真:唐 瑞鸿(MSPG Studio)