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連載(69):人類の夜明|人類は何処へ行く「必然性の原理」(続き)

この記事は『かとうはかる(著)「人類の夜明」』を連載しています。

必然性の原理(前回からの続き)

「それは、愛と正義に満たされた光明の法道、つまり慈愛の大道です。

これ以外の道は絶対ありません。

私たちが善をなした時、何ともいえぬ喜びで心が洗われるのは、法道上を歩いている満足感によるのです。

反対に悪を犯したとき不安が募ってくるのは、法道を踏みはずした悔恨の情によるのです。

もし法道が存在せず、邪悪と不正義の道しかないとしたら、宇宙はどうなるでしょうか?」


「・・・?」


「その道は破壊の道であり、混沌の道であり、暗黒の道です。

宇宙は一瞬の存在も許されないでしょう。

つまり無への突進です。

愛と正義に包まれているから宇宙は光り輝き、そこに温もりあるさまざまな生命が息吹はじめるのです。

不正義には原理は存在しません。

あるのは破壊と混沌だけです。

愛と正義に満たされた宇宙だからこそ、私たちの未来は明るいのです。

要するに目指す頂上は、夢と希望に満ち溢れているのです。

その頂上をどう目指すか、そこに人間の生き方の自由があり、人の世に無限の物語が展開されていく素晴らしさがあるのです。


直線を登るのも方法、螺旋を描いてゆっくり登るのも方法、途中で寄り道して息を抜くのも方法、時には下がるのが楽だからといって下がるのも一つの方法かも知れないが、どんな方法を使っても、いつか必ず頂上を目指さなければならないのが人間の定めなのです。

ならば急ぐ必要もないが、逆らって苦しむ必要もない、できるだけ着実な方法で登るのが利口でしょう。

人生というマラソンに一着はないのですから・・・。」

「でも、私たちにはそれが見えません。見えるのは目の前の生事のみで、それ以外は全くの手探り状態なのです。」


「しかしこの世で体験を積んでいけば、何が善で何が不善か、何が正義で何が不正義か、どんな生き方が幸・不幸をもたらすかが見えてきて、行くべき道も定まってくるはずです。」


「・・・」


「さて時代の節目には、必ず偉大な指導者が現れ人類を引っ張っていくものですが、これも必然性の原理が働いている結果といえるでしょう。

イエスキリストの誕生、アイザックニュートンやカールマルクスの誕生みなそうです。」

「では、あのヒットラーのような独裁者の誕生も、その原理の落とし子といわれるのですか?。」


「歴史の全体像を見れば、それも必然性の働きによるものでしょうが、それも逆流する渦の一つに過ぎず、人類の歴史はキッチリと進化の階段を上っていたのです。

私たちは歴史の一部分を輪切りにして見るから悪や不幸が見えますが、もし全体像を見渡すことができたら、人類の歴史が素晴らしい流れに乗って進んでいることが分かるでしょう。」

老人はニッコリと笑って見せた。

(つづく)

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