見出し画像

昨日の仕事終わりに更衣室に着替えに行くと、他部門の新人さんの目が赤く腫れていました。新人さんに声をかけると「すみません。(自分が泣いていることに対する謝罪)」と泣いていました。

ポッドキャストのラジオde経営学でお話させていただいている看護師の今川です。今年度は新人さんの教育に関わらせていただいており、少しずつ成長していく姿を想像するとワクワクしてしまいます。(学生・新人フェチです…苦笑)

新人職員の早期離職あるいは適応障害などによる休職については、どこの企業も課題を感じているのではないでしょうか?

そこで今日は新人さんの離職の原因の一つと考えられるリアリティショックについて少しお話していきたいと思います。ご興味ある方はぜひ最後までお読みいただけると幸いです。

みなさん、リアリティショックという言葉は聞いたことがありますか?新人職員の教育についての研修などに行くとよく聞く言葉で、離職について調べていくと必ず登場するのではないかと思います。


1)リアリティショックとは

端的に言うと…
‟ 新人職員が入職後に様々なギャップに苦しみ、不安を感じること ”
これは、そのまま放っておくと不安が大きくなり自信が持てなくなります。周りから見ると新人職員として仕事に取り組む姿勢やコミュニケーションなどに全く問題はないと思っていても、本人はかなり深刻になっている場合も結構あります。
そして、そのままの状態でいた場合は仕事へのモチベーションも下がり、職場へ行くこと自体が難しくなることも珍しくないように思います。

冒頭でお話した新人さんに泣いている理由を聞くと「自分に仕事ができるか不安」と話していました。その新人さんは1週間の集合研修を受けた後、配属先へ配置されて3日目でした。

私は「教育してくれる先輩や他職種の人などに何かショックを受けるようなことでも言われたの?」と聞きました。(ハラスメントの確認)

すると「いえ…違うんです。仕事ができる気がしないんです。」と話してポロポロ涙を流し始めました。

なるほど…配属3日目で仕事ができる気がしないというのは相当驚くようなこともあったのかもしれないなぁと思いました。そして、配属先を確認すると職場(病院)の中でも一番ケア・介護量が大きく、病状も悪い人が多いところでした。

2)リアリティショックへの対策

①入職後のギャップを小さくする取り組み(入職前の取り組み)

※入職前に職場見学や職場体験の場を作る

※入職前にインターンとして働いてもらう

※採用面接などで残業時間や業務内容を正直に伝える

昨今、少子高齢化による労働力不足が懸念されています。私のいる医療 業界は人材不足、求人を出しても応募がなかなか来ないということも実際には起こっていたりします。このため、実際に応募があった時に企業側の入職してほしいという気持ちで不都合なことは伝えないでいると、結局入職後に様々なギャップが生まれ離職することになります。隠さないといけないような職場状況があるのであれば、それが改善され離職しにくい職場を作っていく必要があるのだと思います。

とは言いつつも…人材不足を抱えるような職場は改善しようもないという状況(困難)も発生しているかもしれません。そこは創意工夫をして創造性を発揮した企業が生き残っていくのでしょうか?
宣伝:ラジオde経営学では‟創造性”や‟人材”の話もしております!

②早期発見・早期サポート

※教育体制(研修制度)を整える(新人の成長に合わせた教育)
新人の能力や経験に見合わない難しい仕事は離職の原因に…
新人それぞれに個性があるため同じ仕事でも難しいと感じる人と
感じない人がいる(個性がある)

※チーム全体でのサポート体制を構築する
新人が孤立しない、安心できる居場所作り
背中を見て仕事を覚えて!という人にも現代の教育への理解が必要

※メンタル支援を行う体制を整える
定期的に気持ちを確認する
安心して話せる人、相談できる人がいるとリアリティショックの早期
発見につながる

よく現場でみられることは、早く戦力になって欲しいと教える側がどんどん色々な業務を教えようとすることです。リアリティショックという視点で見てみると、本人の困惑や不安を見ようとせずに沢山の仕事を教えるということはやはり離職につながります。人材不足の中で早く仕事を覚えてほしい!という気持ちはとてもよくわかりますが、「急がばまわれ」です。はじめに丁寧に新人さんの個性を把握し、不安や困惑に対して対処していくことで、就業継続してくれることにつながります。3か月でたくさんのことを教えて6か月後に退職しては、その苦労は水の泡です。

これまた、あるあるですが…新人さんが不安を訴えた時に、何気なく「大丈夫!気にしすぎだよ!!」と伝えることがあると思います。でも、これはちょっと危険なこともあります。深刻で辛いと本人は思っているのに、周囲からは大丈夫と言われ心配されないということは、実は本人にとっては辛いことです。
気にしすぎると不安が強くなるからと「考えないようにしたほうが良いのではないか?」と思うのは最もですが、本人の視野がかなり狭くなっているので楽観的に捉えるのが難しくなっていることが多いです。

その対応として考えられることはなんでしょうか?

③新人の気持ちを共有する場を作る

※新人に相談された場合の優先事項は本人の話(気持ち)を聞くこと
不安、辛い、苦しい気持ちを聞く
気持ちを聞いてもらうだけで新人は楽になり、安心する
新人が泣いても焦らない(泣くことは気持ちの発散、自然なこと◎)
頑張れという励ましは新人を追い詰めることもある
(自信を喪失している、不安がある、出来ないと思っている)

※新人同士で交流をする場を作る
自分と同じ不安を持っている仲間がいるとわかるだけ楽になることも
交流することで新人同士で有益な情報を交換できる
ただし、同期と自分を比較して落ち込むケースもあるため、同期の中でも
孤立しがちな人は特に注意が必要

※先輩と気楽に話せる場を作る、経験談・ノウハウを聞く場を作る
なんでも仕事ができるように見える先輩のだめだめ新人時代の失敗談
先輩の経験談を聞き、狭くなっていた視野が少しずつ広がる

いまどきの若い世代は直接的なコミュニケーションが苦手な場合も多いようです。このような場合はメールやSNSなどを上手に活用して交流する場合もあると他の病院の事例を研修等でも聞くことがあります…。
私もコロナが2類の時代は、職員からの体調不良やお休み連絡がとても多かった上に、上司として勤務変更などの依頼連絡も多かったので電話以外でメールやSNSも活用させていただきました。
一昔前は必ず直接電話で連絡するべきだ!という風潮がありましたが、柔軟に考えていく必要があるんだなぁと思います。(医療はそのへんは弱いかもですね。)

3)おわりに

さて、簡単にリアリティショックについてと書いてきましたが…昨日、私が更衣室で会った新人さんは職種が違う上に他部門の職員さんです。
私に出来ることは何かなぁと思うと…おいしいお菓子をくれるお母さん的な感じの人になることでしょうか??(笑)
そうなんですよね。もし若い時に子どもを産んでいたら子どもでもおかしくない年齢の子たちが新人として入職するようになったもので…。
去年の新人さんにもお母さんみたいと言われました。年を取ったと自覚する瞬間ですねぇ。(苦笑)

新人が孤立すると離職が早まると思います。
あなたを歓迎してますよ、来てくれて嬉しいですよ!
そんな雰囲気のある職場だと誰でも嬉しいですよね。

では、今回はこの辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?