【牡丹華】ぼたんはなさく『二十歳のバースデー』穀雨/末候☘️
三男坊が結婚するちょっと前に、困った顔で聞いてきた。
「結婚って、どうやって決めるん?」
同じ質問を、すでに結婚していた次男坊にもしたらしい。
次男坊は弟にこう言い切ったそうだ。
「会った瞬間に、この人と結婚する!ってビビっと感じたんや。だから決めた」
あまり参考にはならなかったらしい。
次に質問された私は、こう答えた。
「誰と結婚しても、おんなじやよ」
「エッ?」
ヤバい!本音が出てしまった。
「ああ、違う、違う。誰と結婚しようが、その後の努力が大切ってことだよ」
「うーん、結婚する決め手が、わからんのや」
と、息子。
「あんたが好きで、ずっと一緒におりたいって思う子やったら、それでいいんよ」
私たちの世代は、ある程度の年齢(二十代の中頃)になったら結婚するもんだと刷り込まれてきた。
だから何の迷いもなく結婚した。
今の子たちの方が自由な分だけ、大変なのかもしれない。
「お父さんとの結婚の決め手は、何やったん?」
「そうやなぁ。アレかなあ」
私は半世紀近い昔の二十歳の誕生日を思い出していた。
夫ヨッシーさんと付き合い始めてちょうど一年が過ぎた頃、始めてデートした場所で、私の誕生日をお祝いしてくれる事になった。
金沢の武蔵が辻にあるスカイホテルのラウンジ。
(現在は全日空ホテルかな?)
初めてのデートもここだったが、2度目といえども、二十歳チョイの私にとっては、やはり緊張する場所。
食事の途中、緊張のためか?単なる飲み過ぎか?私はちょっと失礼して御手洗いへ。
私がラウンジへ戻ってきたと同時に音楽が流れた。
当時は生バンドで雰囲気のある素敵な曲が演奏されていた。
happy~birthday~to~you♪
happy~birthday~Dear…
エッ?
呆然としたまま、演奏とともにヨッシーさんの待つテーブルまで歩く。
何だか、他のお客様もこっちを見ている気がした。
自意識過剰か?
座った途端、ラウンジにいた他のお客様にも「おめでとう」と拍手を頂いた。
ナニ?ナニ?何が起こった!
私はひとりでパニクっていた。
その後、ヨッシーさんから指輪♡じゃなくて腕時計をプレゼントされた。
後で聞いた話によると計画的ではなく、私がトイレへ行った隙に、その場でバンドメンバーの方に演奏をお願いしたそうだ。
どんなに喧嘩しても、あのシーンを思い出すと、まぁいいかと思ってしまう。
ロマンチックな演出を、私のために咄嗟に考えてくれたヨッシーさん。
今はロマンチックな欠片も無いし、現在も喧嘩真っ最中である。
彼は怒っていると話さなくなる。
聞いたことに返事すらしない。
まぁ、そんな時は放っておく。
若かりし頃は
「何で無視するの!」
「いつまで怒ってれば気がすむの?」
「そんなことしてて満足なの?」
「顔みたくないんなら出て行く!」
などと、1人でほざいていた。
何も解決せず終わった。
相手が変わらないのなら自分が変わるしかない。
だから夫の機嫌が自動的に直るまで、私はひたすら自分のやりたいことをする。
友達と出かけたり、図書館へ行ったり、孫たちと映画に行ったり。
この間は何をしていても、干渉されないので楽チン♪
さて、今回の黙りヨッシーさんは、何日頑張れるだろうか?
今回の週末から連休中は、同人誌の創作に打ち込む。
話を悩める三男坊に戻すが、あの後彼女の誕生日にお花を1本プレゼントしたそうだ。
その後に、後ろ手に隠していま花束をパッと差し出したそうだ。
そのしばらく後、ついにプロポーズしようと決断した彼は、彼女を自宅へと招待する。
それも2人っきりではなく他に友人2人。
一緒に映画でも見る?とつけたTVで、ビデオメッセージを使ってプロポーズしたとか。
事情を知っていた友人たちに見守られながら、OKを頂いたとか。
ロマンチストなヨッシーさんのDNAは三男坊にちゃんと遺伝していたようだ。
うちの2人のお嫁さんたちには結婚する前に伝えてある事がある。
「お母さんは途中までしか教育してないから、貴女たちの好きなような旦那様に育ててね」
とにかく二人さえ、それなりに仲良く暮らせればそれで良い。
永遠のテーマである嫁姑問題も、子育てもいつかは終わる。
残るのは夫婦2人だけ。
相手は変えられなくとも、自分の気持ちなら変えられる。
さて、今回はヨッシーさんのダンマリ作戦はいつまで持つだろうか?
結果はまた次回ナンテ。
夫婦喧嘩は犬も食わない、でしたね☘️
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