今年もケーキ文化に馴染めなかった。
どうしても思ってしまう、なぜケーキなのかと。
誕生日にケーキ、クリスマスにケーキ。
別に世の中に対して斜に構えたい訳ではない。
祝い事にケーキを食べるようになった歴史的背景がきっとあるのだろうが、あまりにも世の中にケーキ文化が氾濫しすぎていて、少し引いてしまっている自分がいるのだ。
街の様子や各種メディア、SNSを見ていると「ケーキなしの誕生日なんてあり得ない」「ケーキを食べなければ12/24,25を越えられない」のような強迫観念すら感じてしまう。
特にクリスマスケーキに対する世の中の加熱具合は凄まじいところがある気がして、自分の中でそれはほとんどハラスメントに近いとすら言える。
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寧ろケーキが嫌いだった幼い頃の自分は、誕生日などの祝い事のデザートに当時好きだったデザート(確かシュークリームとか杏仁豆腐)を食べていた覚えがある。
年齢を重ねて色んな味を知っていくうちにケーキも自然と食べられるようになったが、体質的な問題なのかケーキに対してほとんど愛着が湧かない。
だから、息をするように(高級/チープを問わず)ケーキを食べる文化に馴染めない。
ケーキ好きな人間でこの世は構成されているのかもしれない。
いや、それとも世の人々は慣習だと割り切った上で楽しく過ごしているのかも。
だとするならば、妥協することを知らず大衆文化に適合できなかった自分が幼くて卑小な存在に感じられる。
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やっぱり自分が変なのだろうか、はたまた知らず知らずのうちに斜に構えてしまっているのだろうか。
或いは、選択肢に乏しい周囲の環境が影響しているのか。
もっと豊富な選択肢と多彩な文化に晒されていれば、柔軟で器の広い人間に成長していたかもしれない。
実際、24年間も同じ土地(それも裏日本の地方都市)で生活し続けていると、思うところが色々ありすぎて気が狂いそうになる瞬間も多々ある。
それでも、身近な環境に安易な迎合を示すのではなく、自分が最も心地良いと感じるモノやコトやヒトを、例えそれらを手にすることが叶わずとも、心の中で守り抜くことで何とか平静を装っている。
こんな営みを一体いつまで続けるのだろうか。
今年もケーキ文化に馴染めなかった。
皆さんよいお年を。