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闇討ちを阻止したい

殿「どうも、お殿様やらせてもらってます。」


殿「まぁまぁ、細かいことは気にせず、まずはこれでも飲んでくださいよ?」



殿「おっとっと、さぁグイっと! お?あんた、いける口だね?
こんなに話すわしはへらず口だってか?笑 あはひゃはや」




刺客「ついに奴を暗殺する時が来たか…」




刺客「この部屋だな…声が聞こえる」

ザッ



殿「ねぇ聞いてる?で、で、それから姫が言うわけよ。厠(トイレ)で用を足すときは、歌を歌っていますのって。どうしてって聞いたら、これが本当の音姫よって!笑」

カッカッカッ

・・・。



殿「あんたも好きだね、少しだけだよ。ほら、お好きにしなさいよ」

ぱかっ

・・・。



殿「お近づきになるために、税に代わるものを納めにきたと?」

殿「それは私です!っておま…ww」

殿「これは一本取られた!」

あひゃががが、ひゃっぅははは!!





刺客「すっーーーーーーーー(深い呼吸)」

刺客「すっーーーーーーーーー」

刺客「すっーーーーーーーーーーーーっ」

刺客「っお命頂戴!」



殿「何奴!」



殿「ぐはっ」



いかがですか?

浮かれているところを闇討ちされるなんて、時代劇ではあるあるの光景ですよね?


闇討ちとは、闇に紛れて人を襲う意味で使われますが、想像しやすいものだと、昔は忍者からの暗殺、ゲームだとメタルギアソリッドの隠密行動、毛色違いでは、夜中にこのままでいいのかと思い詰めることも、襲われるという意味では闇討ちの一つかもしれません。

でも、ここで疑問なのが



気を抜いてしまってるのは分かりますが、すぐ屋根裏に潜まれてしまうし、防犯対策しっかりしてるの?

もし必殺の仕事も出来ない窓際族でも闇討ち出来てしまうなら、僕でもしっかり防犯対策をすれば闇討ちを阻止出来るはずです!




ということで、さっそく着替えて闇討ちに備えていきます。

さぁ、いつでも来い!


といっても僕を暗殺したいと思う人は、限りなくごく少数でしょう。

そんな人をここに呼び出すとトラブルになりかねないので、今回は妻に協力してもらい、暗殺をしてもらいます。

文章にすると、殺し屋稼業をしているように見えますが、ゾルディック家でもなんでもないです。



普段はおとなしい性格の彼女ですが、闘争心を燃やしてもらうためにも、果たし状を渡してあります。


感謝の手紙も渡したこともないのに、初めてが果たし状になってしまいました。これが思い出になるのか、トラウマになるのかは今回の検証結果に委ねられた気がします。


闇討ち条件
・刺客側は気づかれずに襲撃するべし。
・睡眠中に暗殺すべし。
・ターゲットは、闇討ち阻止のために対策すべし


闇討ちをしてくる刺客は、不意を突いて襲ってくるはずということで、僕の睡眠中に襲ってもらい、僕は対策と驚異的な反応で阻止していきます。







ある日の夜




「今夜、俺をってほしい」




「!!」





ニギッ!

ギュっ!

ズバン!!


気合いは十分です。これがきっかけに僕が命を落としても、罪に問わないであげてください。

僕もセッティングをして、ベッドに入ります。

普段の睡眠不足を加速させ、当日には一汗かいてから検証しているので、今ではコナン君に麻酔針を刺されたかのように、瞬間で寝落ちすることが可能です。



今回の検証では、撮影の関係でとなりの部屋の常夜灯をつけています。

しかし、実際には月明かりほどの光しか感じられず、まったく見えなくなるので暗い中でも忍べる刺客の腕が試されます。



キッチン横からスタートし、隣の寝室に寝ているターゲットに闇討ちしていきます。


スタート位置についた刺客が、手隠しで目隠しをしました。
心構えが出来たみたいです。

まず、最初に見えてきたのは、リビングと寝室を分けている引き戸に貼られたふすま。


重そうなコンクリート壁にすることで、中に入るなというプレッシャーを放っています。

ただ、想定外の暗さだったので、ふすまの壁紙で圧力をかける作戦は不発なんですが…



この扉、本当に重いです。

ガサツに貼り付けられたキャリーバックの中には、長期滞在の海外旅行が出来るほどの荷物が入っています。
この検証終わりに「実家に帰らせていただきます!」と伝えられても、すぐに用意が出来てしまってます。

さぁ手をかけた時の異音で、僕を起こしてくれ!





「触った時、なんか硬いなって思ったんです。」


しかし、刺客がまず手をつけたのは、ふすま横のクローゼット。

カリカリ…シャッシャッ…と、ペットが扉を開けてほしい時の扉擦り音が、カメラに録音されていました。

違う違う、そこじゃない。


「左手は目元、右手は刀。そもそも開けるのがしんどいよ」


ふすまに到着すると、普段触り慣れてない質感からか手こずっています。
思惑通り、引き戸の揺れが異音を招き、それに臆して腰が引けに引けています。腰のひけっぷりが、どこかセクシーに見えますね。

さて、扉にはもう一つの仕掛けが準備されています。



実は、頭上に固定されたボールと扉をテグスでくっつけることで、引き戸を開け切ると同時に玉が落ちる仕様になっています。



頭上に落下すれば、どんだけ深い眠りでも飛び起きるほど反応できるはず。

起床と共にスムーズに「なにやつじゃ!」と槍を突き立ててやります!




次の罠の説明をしている時に、肝心の刺客はというと…。



「あっダメだ」


「キャリーが引っかかって、普通に挟まっちゃった。」


ボールが落ちる前に、扉の隙間に挟まって救助を求めてました。

半分しか開けないことで、テグスが引っ張りきらずボールが落ちてこないのと、キャリーバックのホイールがうまく動かず、無理に体をねじ込んだせいで、動けなくなったようです。

半分しか開けないんかい。全部開けないと、ボール落ちてこないじゃない。
そんなん、寂しいじゃん。



ついに、寝室への潜入を許してしまいました。

正直、自分の睡眠の浅さには自信があり、扉の苦戦とボール落下で周りの異変を感じ取ることが出来ると踏んでいたので驚きです。



映像を見てると、脅威はこんなに近くに来てるのに!と社会問題を訴える人みたいに、寝ている自分に問いかけていました。

もちろん、寝室内にもしっかり対策はしています。



中に入ると、床にはびっくりチキンを筆頭に、ホテルの受付にあるベルを並べてあります。

全部が同時になれば、複数人のホテルマンが駆けつけることでしょう。



扉を開けるような鈍い音よりも、ベルを鳴らした際の高音は目覚めに期待が出来ます。

ハンドベルで起こされるような爽快な気づきで、返り討ちにしてやります!






「一歩ずつ」

スッ…



「慎重に」

ツン…





「…チン!(ベルが鳴る音)」





「(あっ)」


寝室内に緊張感が走ります。

刺客は命を狙っていますが、逆に失敗=死です。
自ら死地に飛び込む勇気は素晴らしいですが、スキルもないビギナーが簡単に闇討ちが出来るはずもありません。

暗殺を早まるあまり、足元の計算が狂ってしまったようです。


殿側は撃退する態勢を取ります。

攻め込む立場だった刺客側が、オセロのように一転して、今度は守備側に回らないといけません。

さて、どんな撃退方法で刺客を追い出すのでしょうか。





気づいてないでやんの!!
絶好のチャンス逃してやんんんの!!

ボクシングなら試合開始の合図だよ?
日頃の疲れを今癒してる場合じゃないって。

午前中の運動のせいか、大爆睡をかましてしまいました。


「もう本当、一歩も動けなくなっちゃって。これでずっと固定してたよ!」


その後、興奮冷めやらぬ口調で伝えてきた刺客です。
このなんとも言えない襲撃ポーズが、妙に憎たらしいですね。

絶好のチャンスを逃したターゲット側に、まだ勝機はあるのか?



そして、次が最後の対策になってしまいました。

枕元には、撃退用の槍と人感センサーライトを設置し襲撃に備えます。


センサーライトの閃光のような眩しさで、お互い目くらましになるかもしれませんが、こっちにとっては好都合。

ご自慢の乱れ突きでハチの巣ですわ。


あとは気持ち程度のお守りを。

闇討ち阻止できますように。


あとはじっと見守ることしかできません。

非常にゆっくりした足取りです。暗闇の中だと成人女性でも、つかまり立ちした赤ちゃんほどのスピードでしか動けないことが分かりました。

「殿はどこだ~?」と意気揚々に探しているようにも見えます。




すると急に、プリンターが置いてある棚側に体を向け始めました。



刀を上にあげてって、もしかして??


あの、お姉さん?!ご乱心!?


あぁああああああーーあーあーあーーあーーー


「この!この!この!!」


「おら!おらおら!おら!!」


この瞬間、手元のセンサーライトが反応!



起床と共に、槍に手をかけます。



「曲者!闇討ち成敗したり!!」



まさか、家具の配置を一番わかっているはずの奥さんが、僕と棚を間違えるとは思ってもみませんでした。

暗闇の中では何かしらの共通点があるのでしょう。



「自分の寝室で迷子になっちゃった////」

恥ずかしそうに答えていましたが、方向オンチは刺客にとって致命傷でしょう。

これまでの対策を考えると、お守りが一番効果ありました。



足元のベルを避けていったために方向感覚を失ったと考えれば、ある意味闇討ち阻止は成功になりますが、もう少し検証する必要があるようです。

別日に、屈強な刺客を用意しました。

家に遊びに来たこともあるフランクな関係の刺客です。
果たして、闇討ちを阻止することが出来るのか?

僕「中に入って、刀を振り下ろすだけの簡単なお仕事だから」

屈強「闇バイトの一種?やるんなら早くやろうぜ」


協力してもらう内容を伝えて、闇討ち開始です。


彼に忍びの心得があると感じたことはありませんが、非常に丁寧な侵入。

悔しいですが、出だしは順調と言っていいでしょう。本当はここらでしくじって欲しいですね。


こんな時間にかけてたっけ?っていうアラーム鳴れ!

扉の重さには一切手こずらず、余裕の突破。


俊敏性に欠ける代わりに力がある脳筋キャラが、ここで生きてしまいました。



まだまだ!ふすまを開けるとボールが落ちてくる仕掛けがありますから。

飛び起きて返り討ちにって…落ちてこない?


おいおい、テグスが緩んでるじゃないか。気も緩みやがって、僕!

こういうとこだぞ、闇討ちされる隙ってのは!何やってるんだ!



しかし、次の仕掛けでなんとか!

足元にはマキビシのように敷き詰められたベルが行く手を阻みますよ!


じりじりとベルを避けながら、近づいて来るのが分かります。


って全然鳴らないじゃないか、 こんなに周囲に気を遣えるやつだったんだ。

もしかして、闇討ちしてる間に、成長している?








(ちょっと劣勢…でもまだ戦えるよね?)


「これ管槍くだやりって言ってめっちゃ強いんだよ、敵が来たらこれで退治してやるんだ!」



「筒を使って摩擦軽減することで、槍のスピードを維持しながら…ってこんな話興味ないよな(笑)」




(阻止したいよ…頑張ったんだもん)




「やっぱり体が資本!よーし、闇討ちに備えてご飯たくさん食べるぞ!」




(語り合ったあの夜だって)



「俺、闇討ち阻止するのが夢なんだよね」


「負けたくないんだよね。そういう圧力から」




(…そうさ、まだ決まったわけじゃないじゃないか!…)








って、ちょっちょっと!もうベッド前じゃない!


まだ!センサーライトが!!
センサーライトとお守りがあるんだもんね!!



バチン!


彼らに最後の砦を任せるのは、少し酷だったかもしれません。




画像では見づらいですが、首元を刀で真っ二つにされています。
天誅!と振り下ろされ、気分はすっかり刺客です。


ということで、幾多のトラップは突破され、闇討ちされてしまいました。

屈強な刺客である彼は、しばらく僕に対して俺が倒してやったと優越感を感じることでしょう。

最後に「どうだった?」と感想を聞いてみると。

「足の指になんか当たって冷たかったから、金属の何かがあると思って避けてよかった。」

緊張感から解き放たれたばかりだからか、一時的に思考力が落ちていたのが心配ですが、闇討ち阻止失敗となりました。


しかし、なんとしてでも成功に持っていきます。



最終手段ですが、現代の用心棒であるSPを用意しました。


身長こそないものの、元陸上部のスピードは健在のようで、低く早く走るツバメみたいな男です。


一方、「新しいアイテムを追加したから、もう一回闇討ちしてきて」と屈強な刺客に伝えると。

「別にいいけどさ、それならそれで最初に言ってほしいかな」


「全然いいんだけど、こっちにもどう魅せていくかって考えがあるじゃん。
最初から飛ばしたほうがいいかとかの、ペースがさ」


部屋の中ではSPが待ち受けています。


「俺も演者としてのプライドあるからね。ピークはさっきの振りかぶりだと思って、普段以上に高さ出してるんだからさー」


「…刺客はプライド高めです。どうぞ」


「まぁ行けっていうなら行くけどさ。絵にならなくても知らないよ?」



スーーッ

バッ!!

グフッ!!

ドゴッ!


扉を開けると同時に、ロケットスタートで突入するSP。

企画に参加してくれと言った時に、一番鼻息が荒かったのが気になってましたが、見事刺客を撃退してくれました。

なるほど、これほど頼りになるなら要人が雇うわけだ。


扉を開けた途端、タックルを仕掛けられるのも敵側じゃないと経験しないですよね。これから扉を開けるたびに、フラッシュバックしないようにして欲しいです。

「ただ、人を守るという気持ちだけで飛び込みました。」

正義感が強く出すぎると、ジョークさより護衛欲が過熱しすぎる傾向にあります。ケガだけなかったのが救いですね。



のちに、屈強な刺客は僕に言い残しました。



「今日は楽しいっちゃ楽しいけど、楽しいままで終わりたかった。」



自前の対策では、ほとんど意味がなかったのが残念です。

みなさんが阻止する時は、世の中で言われてる防犯対策にならってやってみてください。


自己防衛も大事だけど、不安なら警備会社にお願いしたほうがいいですね。

では、また違う企画でお会いましょう。




殿「スースースー」




刺客「はぁはぁはぁ…なんとか寝室まで潜り込んだが、民衆が税に苦しんでいるというのに、のんきに寝てるなんて!…お命頂戴!」




殿「スースー…」

殿「パチリ」




刺客「しまった!闇討ち真っ只中なのに!」




殿「君、曲者だね。」

殿「くらえ!この管槍くだやりのスピードをご覧あれ!!」




忍者「ドロン!変わり身の術!」




殿「えっお楽しみボックス?」




殿「ふんふーん♪お楽しみにしてるよー♪」




殿「なにこれ?ドーナッツ?!! スキ好きスキ好きスキッ好き!」




殿「超超超かわいいーじゃん!爺に報告しちゃおっ」




刺客「とほほ…さっきまで命狙われてたというのに。この能天気さには、かなわねぇわ」


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