映画『愛がなんだ』感想
病院に来たら待ち時間3時間だー。ひまだひまだ
変わらず熱はあるのでしばらくTikTok観て時間つぶしてしましたが、それも飽きてきました。
昨日かな〜一昨日かな、「愛がなんだ」っていう映画を観ました。角田光代さんが原作。他にも観たことがあるフォロワーさんいらっしゃって嬉しかったので、感想を書いてみようと思います。
とはいえかなりお酒を飲みながら観ていたので、ちょっと細かいところの記憶とか曖昧かもしれないです。、。最近はお酒控えているのですが、5日間の三児のワンオペが終わったので、開放感で飲みたくなったんですよね。
ビールから始まり、東北に越してきてから発見した最高の美酒「雪っこ」を水のように飲みました。たまにはいいよね、たまにはね。
さてさて「愛がなんだ」です。
タイトルからしてかっこよくないですか?
「愛」という、インパクトのある言葉から始まり、それを「〜がなんだ」と否定してるんですよね。
ちなみに映画後半でこのタイトルのままのセリフを主人公てるちゃんが言います。主人公が相手を思う、愛とも似つかないどろどろとした迷いや執着がこの一言に詰まってる、そう感じました。タイトルに既にテーマが詰まってる。
「観れば観るほど解釈が変わる」味が出てくる作品ってどんなメディアにもあると思うのですが、私は島本理生さんの『ナラタージュ』、『花束みたいな恋をした』そしてこの『愛がなんだ』というのがそのカテゴリに入ります。なんかこの日本語変かも。いいや、このまま勢いのまま書いていきましょう。
映画の冒頭は、主人公てるちゃんが電話で呼び出される場面から始まります。
てるちゃんは「20代後半」の女性、電話があった時は自室でぼーっと過ごしていたのですが、電話相手の男性から「体調が悪い。もし今会社帰りであれば、何か買ってきてくれると嬉しい。」と頼まれます。それを聞いたてるちゃんの顔はぱーっと明るくなり、「仕方ないなあ」と男性に告げると、会社の服装に扮して部屋を出ていきます。
もうこの冒頭もやばいですよね。この一場面だけで相手男性とてるちゃんの関係性、てるちゃんの「重たい」雰囲気が伝わります。
その後、てるちゃんの親友とてるちゃんの会話の中で「そんな尽くし方してると、主従関係決まっちゃうよ。」という言葉が出てきます。
この言葉を通して、視聴者は一瞬「そうか、てるちゃんと思い人の間には主従関係ができつつあるのかな」と思いを馳せます。
ちなみに、もちろんてるちゃんと相手役男性「まもちゃん」は付き合っていません。付き合っていませんが、肉体関係はあります。なんか大人向け恋愛の王道な感じですね!!よいですね!!!迷ってる感じ!!!
話を戻しましょう。「重い女」てるちゃん、それでもまもちゃんと楽しくデートしたりお互いのことを楽しく話したりはしています。
出会って初期の頃は、それなりにまもちゃんもてるちゃんのことを可愛く思っていたし、場合によってはお付き合いしたいと思っていたんじゃないかなって感じます。わかんない。女性目線だとそんな風に見えます。
しかしてるちゃんはここから恋愛にかまけて仕事をクビになってしまいます。仕事をクビになったのに関わらず、スーパーポジティブてるちゃん。「それならまもちゃんのお嫁さんになろう!」って思い始めるんですよね。まもちゃんとてるちゃん、付き合ってないけどね。なんかこの辺の温度感、『NANA』の小松奈々と似てるな〜って思います。NANAも読むたびに感想が変わるマンガで大好きです。奈々もてるちゃんもお嫁さんになることに憧れてるの、とっても可愛らしいなって30代半ばに差し掛かった今は思います。プリンセスに憧れる女の子の部分を残したまま育ったんだね。それはそれでいいんじゃないかなって思う。話が逸れました。
そう、セフレと恋人の間のような2人の関係は、てるちゃんが会社をクビになったことで少しずつ変わり始めます。
まもちゃんはてるちゃんの言葉の端々に「依存心」の気配を感じるようになるんですね。
とあるてるちゃんの言葉をきっかけにまもちゃんは激昂し、翌朝てるちゃんを追い出してしまいます。その後待てど暮らせどまもちゃんからの連絡はなく、電話は繋がらず。
てるちゃんは泣く泣く新しい職を探すのでした。
この辺までは「鉄板ドロドロ恋愛事情」って感じで、いいですね!責任を負いたくないまもちゃん、まもちゃんの気持ちを半ば無視して縦横無尽に尽くしまくるてるちゃん。みんな浅はかで可愛いね。(by『NANA』シン)
さてここからが「愛がなんだ」の真骨頂です。
久しぶりのまもちゃんからの連絡に喜び、呼び出された先に意気揚々と向かうてるちゃん。
しかしそこには、得体の知れないくたびれたアラサー女性がいたんですね。ついでに眉毛もない。
どうも見ている感じ、まもちゃんはその「すみれさん」に好意を抱いているらしい。
ちなみに一方のすみれさんはというと、まもちゃんのことをよく見ています。具体的な事例を挙げながら「アイツみたいな男、ダメなんだよね。」と一蹴してます。すみれさんがてるちゃんのことを気に入ったことをきっかけに、もう1人の登場人物を交え、4人で友人の別荘にお泊まりして遊んだりする仲になります。
この頃からのてるちゃんはすごく強くなります。ピロートークで、まもちゃんが「俺って男の中ではいけてない方だと思うんだよね。それなのにどうしてお前は俺のことを好きでいてくれてるの?」と本音を打ち明けたことをきっかけに、「この人と自分は似ている」と思うようになったのかもしれません。すみれさんに全く相手にされないまもちゃんを、自分自身と重ねていたのかもしれません。
前半で「主従関係がある」と思われたセフレの2人、その関係性は「自己肯定感が低い者同士」の同志のような、友人のような、奇妙なものへと変化していきます。
なんかねーとにかく後半が面白いんだよね。
まもちゃんがてるちゃんに対する扱いが変わったことの一つに、「俺たちもう会うのやめよう」っていうシーンがあったりとかするんだけど、これなんて本当にその象徴な気がする。
通話ブロックしておしまいにしてたてるちゃんを、ちゃんと一人の人間として認めて、向き合うシーンだよね。
それに対するてるちゃんの「え、私もうあなたにそんなこと思ってないよ。あなたがイケメンの友達紹介してくれるっていうから、それに期待してただけ。お互いさ、建設的な話しよう?」というつよつよな回答。もちろん嘘だよ。てるちゃんはまもちゃん一筋です。でもこの後本当にまもちゃんの友達も紹介してもらうんです。この嘘を突き通すために。
「愛がなんだ」というセリフは、自分と同じような報われない恋愛をしていた友達が、「もうあの人のことを想うのはやめようと思う」と言った時に、怒ったてるちゃんが放った一言です。
きっとその友達の言葉に、自分が否定されているように感じたのかもしれません。
でもここまで読んで下さった方なら共感してもらえると思うのですが、この一言にてるちゃんのまもちゃんに対する思いの全てが詰まってる感じ、するよね。
好きな人のずるいところも知ってる。他の女性を追いかけ回して見せる、情けないださい顔も知ってる。そんな顔、見たくなかった。でもそんな顔を見せてくれるのは自分にだけだということも知ってる。もはやあなたが好きとかじゃない。私はあなたに、あなたに「なりたい」。
あらすじも交えて書いたので、感想の割合が少なめになってしまった感じもしますが、少しでも映画の空気感が伝われば嬉しいです!
てるちゃんもまもちゃんも、すみれさんも全員が迷いながら歩むこの映画、本当に青春映画で大好きです。
最後まで読んで下さって、ありがとうございました!