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#91【育爺日記Eps.17】年寄りとTVの深い関係 ~後編~

さて、前回の【年寄りとTVの深い関係~前編~】では、『TVは、家庭内において、認知症の進行度合いを探る、重要な「計測器」にもなっている。』とご紹介してみたが、これを、MCI父87歳(要介護1)で検証してみよう。

◼️TVの見方でわかる認知症の進行度合い ◼️
①目や耳の衰えはないか?
②チャンネルやリモコン操作ができているか?
③ドラマのあらすじなど、話の内容が理解できているか?
④表示される「字幕(文字)」を読めているか?
⑤ボーッとTVを眺めているだけになっていないか?

親がTVを観ている時にチェックしてみよう!!

①目や耳の衰えはないか?

➡️ 父は以前、眼科の手術を行っていて、「裸眼で新聞が読める。」ほど、視力は良い。耳も衰えはない。(今の所は大丈夫。)

②チャンネルやリモコン操作ができているか?

➡️ 父は、毎朝、新聞の番組欄を隅々まで読んで、観たい番組には、ことごとくピンクのマーカーペンで印をつけている。

➡️ 「地デジ」「BS」「CS」のうち、「地デジ」と「BS」は、比較的若い頃から観ているので、脳にインプットされているが、「CS」は、我が家に来てからなので、インプットされない。(時代劇専門CH.は、一人で観られないw)

➡️リモコン操作は、「要介護2」でウチへ来た頃は、簡易式の大きいリモコンしか使えなかったが、「TVは自分で操作できるようにしてね!」と、”リモコンの取説”を作り置いておいた所、自力で学習して出来るようになるw

リモコンの取説-抜粋1
リモコンの取説-抜粋2

③ドラマのあらすじなど、話の内容が理解できているか?

『短期記憶力』の塩梅をみる、重要な項目だが・・・

あらすじは、ほとんど、理解できていない・・・💦

『短期記憶力』の衰えで、「登場人物」の顔と名前を覚えていられない、よって、人物の”相関図”がわからない。「光る君へ」なんか、登場してくる女性は、皆、同じに見えてしまうので、全く、わかってはいないwww

「衣装が綺麗だねぇ~。😍」とか 「セットが凄いねぇ~🤩。」とか、”絵づら”を観て、楽しんでいる感じw(幼児がTVを観て楽しんでいるのと同じだね。コレw)

ここが、『MCI(軽度認知障害)』と診断される由縁だと思う。

④表示される「字幕(文字)」を読めているか?

これは読めているw なんたって「新聞を裸眼」で読む人だw 

「お父さん、私、老眼で新聞読めないから、ちょっとこの記事読んで聴かせて。」と言いながら、新聞の「音読」をさせて、確認している。

認知症の重要局面である、中核症状【失語・失認・失行】ステージには、幸いまだ進行していない。最低限のコミュニケーションは取れている。意思疎通が図れる。フォロー次第で、穏やかに生活していける。⬅️コレは、とても大事。

⑤ボーッとTVを眺めているだけになっていないか?

これもまだない。

大好きな野球なんかは、ほんとーに、詳しい。球筋も良くわかっていて、「よし!!今のは良い球だ!!」とか「なんで、今の打てないかなぁ~。ここがチャンスだろ!!」と、よく”認識”している。

「マジック」だとか、データ分析も良くわかっていて、脳の衰えを感じさせない。”これは凄いな・・・。”と、感心してしまう。

「相撲」もそうだ。とても詳しい。新しい関取が出て来ても、直ぐに認知することが出来る。今は「大の里」がお気に入りw

その他にも、自分の興味のある番組を次々と自分で探して観ては、「ほほ~🩷なるほどねぇ~。」と、ひとりご満悦である。体調が良いと、観た番組の内容を覚えていて、「今日は面白い番組を観たよ。」と、夕食時に感想を述べる事もある。

だがやはり、体調や気分の優れない時には、TVをつけずに、横になっている事も、少しづつ、多くなって来ている。


2年前の夏、病院から退院して、ウチに来た頃、父は、深夜に目が覚めると、自室のTVをつけて、よく観ていた。

それは、ボーッと観ているようだったけど、あの時の父は「せん妄」が続いていて、TVを観る事により、「今、自分が何処にいるのか?」「今、何時なのか?」「俺は、まだ現世を生きているのか?」と、不安で不安でならない気持ちを、必死に何とか自分で落ち着けようとしていたんだろうと思う。

だから私は、「あ、また起きてTV観ているな・・・。」と気づいても、注意したり、うるさく言う事はしなかった。父が夜、眠れなくても、睡眠薬を飲ませる事もしなかった。(むしろ、処方されていた眠剤は抜いていたw)

”満身創痍”とはいえ、まだ「体力」「気力」「知力」の残っている父には、「眠剤」ではなく、『自助能力』と『自己治癒力』で、「せん妄状態」から脱出し、時空や場所を正しく認識し、自分のありようを理解し、自分のとるべき行動を判断してもらいたかった。

深夜のTVは、父にとって、その”道しるべ”だった。

今は、深夜にトイレに行く事はあっても、TVを付ける事は、ほとんどなくなった。たまに「ん?トイレ?大丈夫?」と声を掛けても、「うん、大丈夫・・・。寝る。」と言って、トイレが済めば、直ぐに布団に横になり、満足気に寝息を立てる。

朝は、7時前からTVをつけて「天気予報」をチェック。散歩に行く時間を決めて、ニュースを見ながら、新聞を読み、TVニュースと新聞の「整合性」や「情報の差」をチェックしている。

そして、朝食時には、「このニュース、俺には、ちょっと理解できない。どういう事?」と、いちいち解説を求めてくるという、”生意気な87歳児”に”成長”したw


TVが”オワコン”と呼ばれて久しくなり、動画配信サイトなどのサブスクが活況である。日々、多くのニュース、ドラマ、映画を私達は観て楽しむことが出来る。そういう意味では、私達も、やっぱり『TV』は、観ているのだ。

しかし、父の様に、歳をとって『短期記憶能力』が衰えてくると、もう、ドラマや映画を理解し、味わい愉しむことは出来ない・・・。

民放のバラエティー番組の「速さ」にも、”脳力”が、追いついてはいけない。

そこで際立つのが、「NHK」だw

「NHK」が、如何に高齢者にも伝わるように、理解できるように、楽しめるように、各種番組作りをしているか、年老いた父と暮らすまで、気づくことはなかった。

特に、父が来るまで視聴する事のなかった「NHK・BS」放送のクオリティの高さには驚いている。美しい映像、よく練られたカメラワーク、ゆったりとした解説、そして、美しい音楽・・・。

『短期記憶力』が低下している父が、目を輝かせながら、食い入る様に観ているのは、「言語」だけに頼らない、圧倒的な「視覚効果」があるからだ。

これが、父の心を心地良く刺激し、「生きる力」を繋いでいる。

「TVの力」、「映像の力」とは、決して、侮れない。

NHKと言えば、昨今、受信料問題が尽きないが、高齢者の在宅介護にNHKは、欠かせない。その他の介護保険サービスの費用に比べれば、月額1,950円(BS込み)の受信料は安いものだ。

『NHKをぶっ壊す!!』という一部の勢力もあるが、ぶっ壊されたら、多くの高齢者とその家族介護者が、確実に困るw

介護とは、戦略だ。
TVは、その戦略を支える頼もしいアイテムになりえる。
高齢者介護に、認知症の早期発見に、ぜひ、上手く活用して欲しい。


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