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#132【介護雑記】その時どうする?! ~認知症によるつらい暴言・暴力の対策について考える~

『認知症』というのは、多くの場合、ある日突然、家族が「えっ?!💧なんでそんなこと言うん?!」と、大なり小なり、”驚愕する事”から発覚する場合が多いと思う。

実は、この瞬間から、「認知症介護」は、始まっている。

『認知症』のシーズンで言えば、「春」。

しかし、この時期は、「えっ?!💧」とは思うけど、まだ生活に支障が出ていない状態なので、ついつい「老化が進んだな。」とか、「元々、嫌な性格だったからな。」とか「まだ介護なんか必要ないな。」と、放置してしまいがち。

そして、放置された『認知症』は、確実に進行し、「春」から、BPSD周辺症状が顕著になる「夏」の「活動期」に移行してしまう。

「あばれる君」の爆誕だ。

こうなってはじめて、家族は、「認知症だ・・・。どうしよう?😱」と気がつく。だが急に「認知症」だとわかっても、どうしていいのかわからない。

日々、繰り返される「暴言」や「暴力」や「徘徊」に疲弊し、戸惑い、傷ついたまま、なるべく「常識的な対応」で、治めようとしてしまう。しかし、「認知症」のBPSD周辺症状は、「常識的な対応」では、改善できない。

家族が常識的な対応で治めようとすればする程、BPSD周辺症状は、どんどん、こじれてしまう。『認知症介護の深淵』に、どっぷりとハマってしまう・・・。

私もかつては、その一人だった。

アルツハイマー型認知症を発症し、「あばれる君BPSD周辺症状」に変貌した母に、更に強力な「あばれる君パワープレー」で対抗しようと抗った。結果、激烈な認知症介護となり、母が亡くなった後も、その傷口は塞がってはいない。

「認知症の夏」は、熾烈しれつだ。

”あの時、どうすれば良かったのだろうか ――?!”

ずっと、そう考え、いずれは、父も迎えるであろう「認知症の夏」に向け、日々、あれこれと「認知症介護」の勉強と対策にいそしんでいる。


そして、今、まさに、「認知症の厳しい夏」を迎えて、対応に苦慮している家族介護者の皆さんに、ぜひ、知っていて欲しい対策を、いくつか紹介しておきたい。


認知症によるつらい暴言の事例・対応例とやってはいけないNG例や改善策を解説

【知っておきたい その1.】
認知症の人が暴言を言ってしまいやすい”タイミング”がある。

①不安・混乱している
認知症の方は不安や混乱に陥りやすい傾向にあります。これは、理解力・判断力の低下によって、会話や人間関係、置かれている環境などを把握しにくいことが関係しています。
不安や混乱に陥った結果、自分の身を守るために本人としては仕方なく暴言を発していることもあるのです。

②周囲の人の影響
認知症の方は脳に障害があることから、論理的な判断が難しく情報を処理するのに時間がかかります。その一方で感受性は想像以上に高く、周囲の人の感情や反応を何となく理解するのが得意な傾向にある方が少なくありません。
ただし、あくまでも何となくの理解であり、どうしてそういう感情なのか、その感情は誰に向けられているのかなどを深く理解するのは難しいようです。その結果、暴言に近い言葉が出てしまうことがあります。
たとえば、家族の方が認知症の方の行動に対して落ち込んだとします。認知症の方は「マイナスの感情」を受け取り、自分自身も不安な気持ちになります。それがきっかけとなって急に暴れ出したり、「辛気臭い顔するなら出ていけ」と暴言を発したりしてしまうのです。

③自尊心が傷ついた
前述の通り、論理的な判断は難しいものの感受性は高いことが多いのが認知症の方の特徴です。また、自尊心や羞恥心などの精神的な部分はしっかり残っています。そのため、まったく関係ないことでもプライドが傷つけられたと感じてしまい、暴言を発してしまうことがあります。
たとえば、「そんなことするのは危ないよ」と声をかけただけなのに「年寄りだからってバカにするな!」と怒鳴ることがあります。認知症の方でも自身の運動能力の低下は自覚している方が多いです。しかし、理解力の低下や理性が抑えられないことが理由で、「自分のことを否定された」と感じてしまうことがあります。

④体調や気分がすぐれない
認知症の方は自分の置かれている状況や気持ちの表現が難しくなります。そのため、自分自身のことなのに体調の不調を正確に理解したり、周囲に伝えたりするのが困難になってしまい、それが暴言につながることが少なくありません。
たとえば、腐ったものを食べた場合、通常であれば舌で感じて頭で理解し、腹痛や吐き気の症状が出ればすぐに医者にかかれます。しかし認知症の方は不調の原因を理解できずに溜め込んでしまい、強い不安・ストレスを抱えてしまうことがあるのです。

「なぜお腹が痛いのだろう」「もしかしたら毒を盛られたのかもしれない」と妄想し始め、「お前が毒を持ったのだろう」と暴言を発してしまうことがあります。また、病院に連れて行こうとして「どこに連れて行くんだ!やめろ!」と暴れてしまうこともあり得ます。

おうち病院オンラインクリニックより抜粋

これは、先日、【Ilsaの本棚】でも紹介した書籍、【理由を探る 認知症ケア】と共通する視点。

暴言や暴力が発生した「後」、ではなく、暴言や暴力が発生した直前に、何があったか?「前」を振り返り、注視するということ。

そこに、本人が「不安に思っている主体となる原因」が隠れている場合が多い。早い話、これを取り除いてやればいい。


【 知っておきたい その2. 】                         認知症の人が暴言を発したときの対応例

①物理的な距離を取る
認知症の方が暴言を発してしまった場合、そのまま否定したりなだめたりしてもおさまらないことが少なくありません。興奮状態がおさまらない場合は、落ち着くまで物理的な距離を取ってみましょう。
「介護を任せられる人がいない…」と不安がある場合は、ショートステイや訪問ヘルパーを利用するのも手です。介護職であれば、認知症の方の対応に慣れていますので安心できます。物理的に距離をとって間をあけることで認知症の方は暴言のことを忘れて気持ちが落ち着きますし、ご家族の一時の休息を得られます。

②感情的な距離を取る
物理的な距離だけでなく、感情的な距離を取るのもよい方法です。
認知症とわかっていても、感情的な暴言をぶつけられると大きなストレスになります。それが接し方に影響すると余計にお互いの関係性が悪くなり、喧嘩になりやすくなって悪循環となります。
暴言を発せられたときは、物理的な距離とともに心理的にも距離を取りましょう。趣味や好きなことを行って気持ちを落ち着かせてください。介護は長く続くものなので、気分転換しつつ適度な距離感で行うことが大切です。

③家族や友人、専門家に相談する
認知症の方の度重なる暴言で困っているということならば家族や友人、専門家に相談してみましょう。
たとえば、地域包括支援センターは、市区町村が設置主体となって、高齢者の介護・福祉・医療などの相談に乗ってくれる窓口です。ケアマネージャーなどの専門家が在籍し、悩みを受け付けて対応に関するアドバイスなどをしてくれます。
介護に関する悩みは幅広く、家族や友人だけでは解決の糸口が見えないこともありますので、ぜひ地域包括支援センターなどの専門機関を頼ってみましょう。

おうち病院オンラインクリニックより抜粋

上記以外に、私的な経験から加えるのであれば、認知症患者である本人が、機嫌が良い時の「環境」や、本人が関心があるもの、好きなものなどを、日頃からチェックしておいて、不穏な気配になったら、それらに関心を逸らす・・・

名付けて!!
ガラガラぽん☆大作戦!!✨✨✨

これは、赤ちゃんをあやすのが上手なパパやママ達なら、心当たりがあるであろう、赤ちゃんがグズった時に、さっと、好きなオモチャなど取り出し、そこへ関心を向けるというアレだw

これは、認知症介護におけるBPSD周辺症状への対応としても、抜群に効果がある。(あくまでも個人的感想です。効果をお約束するものではありませんw)


【 知っておきたい その3. 】                         認知症の人が暴言を発したときにやってはいけないNG例

①感情的に言い返さない
認知症の方が暴言を発しても、なるべく言い返さないようにしましょう。言い返すことでより大きな喧嘩になったり、暴れたりといった問題が起きかねないためです。
NG例
「認知症の方が暴言を発してきたので「なんでそんなこと言うの!?」と強く言い返してしまった」
これはよくあるケースです。認知症の方は理解力が低下しているものの、自尊心など精神的な部分はしっかりあります。そのため、強い口調で言い返されたりすると「バカにされた」「攻撃されている」と判断し、より強く暴言を発したり暴れたりしてしまいます。

ご家族にとっては大変かと思いますが、できる限り言い返さない、言い返すにしても語調を荒らげないように心がけてください。

②身体的な拘束をしない
認知症の方は、暴言に伴って暴力を振るったり暴れたりすることがあります。この場合、無理に拘束することは危険です。強いストレスを感じるだけでなく、命の危険に及ぶ可能性があります。
NG例
「お前が悪いんだ」と言いながら近くにあるものを投げつけてきたので、身体を押さえつけてしまった」
こうしたケースでは自身に身の危険があることから、認知症の方の身体を押さえつけたくなるかもしれません。しかし、押さえつけや拘束することでストレスを溜め込み、認知症の症状がさらに悪化する可能性があります。

また、拘束することは、認知症の方の生活レベルを著しく低下させます。健康状態の悪化につながることもあるため、拘束は控えることをおすすめします。

③部屋に閉じ込めるなどしない
認知症の方を部屋に閉じ込めることはあまりおすすめできません。ストレスを溜め込み、暴言の症状がより強く出ることがあるためです。
NG例
「あまりに暴言・暴力がひどく部屋に閉じ込めることにした」
確かに他人に対して問題行動を起こす恐れがある場合は、ある程度注意深く見守ることが大切です。しかし、それが行き過ぎて部屋に閉じ込めることは危険です。

認知症の方にとってそれは強い苦痛・ストレスになり、無理に外に出ようとしたり、部屋にて大声で叫ぶ・暴れたりといった問題を起こす引き金になる可能性があります。閉じ込めるのではなく、認知症を理解してできる限り寄り添うことを心がけましょう。

おうち病院オンラインクリニックより抜粋

ただし、これらの抑制的冷静な対応を、介護素人の家族介護者が行うには、並々ならない胆力と知識の応用が必要となる。

誰でもが、出来ることではないんで。

その場合は、主治医に相談して、「薬物療法」を導入してもらおう。

「認知症」は進行性の脳疾患で根治はできない。
だが、家族を悩ませる激しいBPSD周辺症状は、「薬物療法」によって、かなり緩和することができる。これも是非、知っていて欲しい。

しかしこれは、薬物の作用によって、認知症のシーズンを、「夏」から「秋」へ、もしくは「冬」へ、強制的に移行させるという”副作用”を持つ。そのことは、心に留めておくべきだと考える。

BPSD周辺症状が治まったからといって、介護が終わるわけではないのだ。

「認知症の夏」が過ぎただけ。
やがて「秋」が来て、終末期に入り、「看取り」という「冬」が来る ――。

しかし、BPSD周辺症状への適切な対応ができれば、穏やかで、実り豊かな、美しい「秋」のシーズンを、長く過ごす事ができる。大好きな人達と供に。

それを信じて、「熱い夏BPSD周辺症状」を、乗り越えて欲しい。

本日も、最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。


本日、引用元として紹介させて頂いた「おうち病院オンラインクリニック」さんでは、無料の「認知症コミュニティ」も開設されている。

「直接、他者と会って相談するのは、どうも・・・。」という方々で、ひとり認知症介護に悩まれている方には、是非、お奨めします。


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