#134【映画解説】これぞ究極の推し活!~ロスト・キング500年越しの運命~
2012年9月5日、イギリスで世紀の大発見があった。約500年前に「ボズワースの戦い」に敗れ、無残に討たれ上、その亡骸の所在が不明だったリチャード三世の遺骨が、レスター市内の小さな駐車場下から発掘されたのだ。
遺骨の埋められている場所を突き止めたのは、なんと、普通の兼業主婦だった・・・。
その実話を元に製作された映画「ロスト・キング 500年越しの運命」(2023年公開)が、現在、アマプラで配信中である。(吹替え版もあるよw)
※予告編の後は、ネタバレありの”解説”になるので、ご注意下さい。
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イギリス人相手に、安易に「シェイクスピア批判」をしてはならない。
イギリスにおける「シェイクスピア」というのは、ある意味、女王陛下に次ぐ、大英帝国の大切な「権威」である。そのシェイクスピアの有名な作品に『リチャード三世』がある。
リチャード三世は、1452年から1485年(日本史では南北朝時代後半位)ヨーク朝時代の最後の国王とされているが、敵対するテューダー朝によって、その功績が歪められた。
リチャード三世が戦死してから100年後、シェイクスピアが戯曲を創作する際に、テューダー朝の敵役として、リチャード三世を性格が残忍・卑屈で、兄のエドワード4世と対照的に容姿が醜く、幼い甥っ子二人を謀殺させた極悪人として描いたのみならず、簒奪者として、後世にその人物像を深く印象づけた。
以来、『リチャード三世』は、ひどく曲がった背中に、大きな瘤があるという、醜く禍々しい様相で描かれるのが常となる。
「簒奪者」というレッテルまで貼られ、「リチャード三世は正式な国王ではない。」というのが一般常識となり、”極悪人”の遺骨なぞ、誰も気にする者はいなかった。500年もの間・・・。
ところが、映画の主人公であり、実際にリチャード三世の遺骨を発見したフィリッパ・ラングレーは、事もあろうに、シェイクスピアの「リチャード三世」像を、真っ向から、否定した。
フィリッパ自身も難病を抱えながら、毎日、子育てや仕事と奮闘する中で、リチャード三世が「身体障害者だから性格も歪んだのだ。」という歴史的な定説に納得がいかなかったのだ。
彼女の世紀の「推し活」は、ここから始まる。
それはやがて、「リチャード三世は、決して、卑劣な簒奪者なんかじゃない。正統なイングランドの国王よ。国王として、しかるべき埋葬をしてあげるべき。」という不屈の信念へと変わり、その信念が、彼女をリチャード三世が人知れず眠る場所へと導いていく・・・。
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2012年9月5日、イギリスレスター市内の小さな駐車場の一角から、500年前に失われたと思われていた「リチャード三世」の遺骨がほぼ全身残った状態で発見され、そのnewsは、世界中を駆け巡った。
私もリアルタイムでそのnewsを追っていた一人だ。
何故なら、その当時の私の推し、ベネディクト・カンバーバッチ(略して”かんぱち”君🩷✨)が、事前のDNAゲノム解析により、「リチャード三世」の血縁であることが判明していたからに他ならない。
こいつぁ~凄いことだぞぉぉぉう!!✨✨✨
ベネディクトファンの間では、盛り上がりこの上なかったw
翌年2月にDNA鑑定ゲノム解析の結果、発掘された遺骨は「リチャード三世」のものと断定された・・・と、同時に、ベネディクトの由緒正しい”血統”も確定された。
彼の持つ、独特の「知性」や「物腰の美しさ」には、ヨーク王朝、最後の国王、リチャード三世の血が宿っているのだ ―――。
これって、凄い”ファミリーヒストリー💫”www
この事案は、当時のイギリス国内を大きく湧かせ、ベネディクト・カンバーバッチは、女王陛下から、正真正銘の「大英帝国勲章コマンダー」を授与された。
2015年、「リチャード三世」は、厳正なる調査を受けた後、「国王の礼節」をもって、レスター大聖堂に正式に埋葬された。葬儀には、ベネディクトが「弔辞」にあたる詩を朗読した。
その貴重な映像がyoutubeに残っている。⬇️
この前後、ベネディクトは、BBCテレビ映画シリーズ『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』で、「リチャード三世」を演じている。並々ならない気迫漂うその演技は、まさしく「リチャード三世」の生まれ変わりと賞賛された。
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「推し活」で知ったベネディクトと「リチャード三世」の関係、そして、その「リチャード三世」の遺骨を発見したのも、フィリッパ・ラングレーという、ひとりの女性の「推し活」だった。
何という奇遇✨✨✨
「推し活パワー」を、決して侮ってはならないw
以上、実はわたくし、”シャーロキアン”でした!!✨っていうカミングアウトが含まれていたことに気づいた人はどの位いるのだろうか?w
「推し🩷」を追っかけていたあの頃が懐かしい・・・・・・・(遠い目)