教員の在宅勤務と今後の教育ICT

 私の住んでいる地域は、幸いなことに3月~5月のコロナ禍においても、職場内において在宅勤務の割合が定められましたが、全員がずっと在宅という訳ではありませんでした。しかし、生徒は違います。一斉休校となり、卒業式や入学式も普段とは違う形で行わざるを得ませんでした。その後も、Microsoft TeamsやGoogle Meetを使って遠隔授業に取り組む日々でした。そんな生活から、教員の在宅勤務について考えてみたいと思います。

通常業務との違いに苦悩した4月

 教員の通常業務といえば、授業です。普段であれば、生徒が目の前の席に座り、黒板と教科書、プロジェクターなどを使って授業を行います。授業の無い時間は、次の予習を行い、宿題や提出物のチェック、時には小テストを行い採点。放課後は部活動。休み時間や放課後には生徒と雑談や面談。大学入試が近づけば面接指導。こんな生活が日常でした。

 この中で在宅でできるものって何があるのだろうか。学校に出勤したところで生徒が居ないので状況は変わらないのですが。実際は、4月からは2週間おきに休校期間の延長が発表され、休校明けの行事予定の作り直しては会議といった日々でした。また、4月当初は普段ならクラス開きの準備をして生徒を迎え入れる鬼のように忙しい年度始めなのですが、それに比べると時間はゆったり流れていた気はします。ただ、生徒の顔が見えない寂しさ等の変な気持ちのまま時間が過ぎていました。
 また、普段では行わない、2週間分の課題の作成と配布・回収を行っていました。それに合わせて、課題に取り組むためのYouTube動画の作成もしていました。こんなことでYouTubeの動画作成を体験するとは思いもしませんでした。
 そんな中、一番力を入れたのはMicrosoft Teamsの校内研修会でした。事前準備も含め、Teamsを校内で運用していくためには、使ったことの無い先生方の理解を深めてもらうために試行錯誤しながら行った研修会でした。まずまずの理解と協力が得られたと思っています。

遠隔授業開始

 変化が訪れたのはその途中で、Microsoft Teamsを使った遠隔授業が開始になったことです。生徒の顔が見える安心感とコミュニケーションが出来ることの喜びが大きかったです。私はそのプロジェクトの中心にいましたので、喜び半分、不安半分だったかも知れません。先の見えない新型コロナウィルスとの戦いも、徐々に先が見え始めた5月だったのですが、Teamsの良さに改めて気付かされた5月でもありました。

Microsoft Teamsとの出会い

 Microsoft Teamsは今年の春に3周年だったようです。(おめでとうございます!)3周年イベントの様子は、リアルタイムではありませんでしたが、YouTubeで視聴し勉強させてもらいました。今はもう公開されておらず、残念です。

 私がTeamsを知ったのは今から1年以上前でした。Teamsを知る前にはChatworkなどを試したこともありました。実際、Teamsは学校ではない別組織での運用を行っていましたが、メール文化が広まっている中でのTeamsの良さを伝えるのは難しかった記憶があります。しかし、使う人数が増えるほど、その便利さは理解してもらえたように感じています。メールになれている人は、数人レベルの情報共有はメールで十分と感じてしまうんでしょうね。

 Teamsを組織として使うようになると、スマートフォンやタブレットでは十分に自分の考えをOutputできないと感じることが多く、電話やLINEではなく、PCを使ったコミュニケーションをとるようになったのが大きな変化だったと感じています。
 Teamsが無ければ、お互いにレスポンスの早さは求めていませんでした。どうしても急用であれば心当たりに手当たり次第に電話をかけ、待てる内容であればメールで済ませていました。しかし、ちょっと聞きたいな、と思った不安や疑問を直ぐにぶつけられるのがTeamsの良さだと思います。だからこそ、誰か知っていますか?的な内容には素早く的確に返答をしてあげたいと思うわけです。ただ、スマートフォンやタブレットでも他者からの情報をInputすることはできても、自分からの発信はなかなか面倒で、PCからであれば、思ったことを全てOutput出来ているように感じました。
 Teamsは、メールとは違ったLINEのような気軽さと、メールやファイルサーバーでの情報量を兼ね備えていると実感しています。

第2波に備えて

 Teamsについて色々勉強していく中で、様々な海外を含めた遠隔授業の様子などを見ました。東京でも行われていたようですが、先生が自宅から授業やホームルームを行っている様子を見ると、完全在宅での遠隔授業に備えた検討を進める必要を感じています。毎日数百人規模で感染者が発生してしまえば、新しい生活様式では対応しきれないかもしれません。私の住んでいる地域も、第2波が来て完全在宅勤務にならないとも限りません。

 教育現場における在宅勤務・遠隔授業について、実践事例の共有が必要だと感じています。幾つかの学校の事例は拝見しましたが、当然ながら、これが正解というのがあるわけではないと思います。しかし、少し落ち着いている今の時期こそ、そういった機会が必要だと思います。

GIGAスクール構想のその先のBYOD

 小中学校では1人1台のPC・タブレットを含めたGIGAスクール構想が急速に進められています。義務教育ではないからだと思うのですが、高校は1人1台の補助対象ではないのですが、高校生にもPC・タブレットを持たせて下さい。ぜひ。遠隔授業をきっかけにTeamsやGoogle Classroomを使っていると、「生徒がPCを使っていれば、こんなことが出来るのに」と感じる場面が非常に多くあります。実際のところ、生徒はスマートフォンで利用していて、PC・タブレットは持っていないのです。スマートフォンでの遠隔授業は、ビデオ会議くらいしかできません。WordやPowerPoint、PDFで作った課題を渡しても、直接入力して提出するような作業はほぼ不可能です。

 そうはいっても、GIGAスクール構想で購入したPCも、数年後には老朽化することでしょう。今後は、学校におけるBYODの視点も必要になってくると思います。高校生はそういった意味で、各自がiPadやモバイルノートPCを購入する方向で進んで行くのかもしれません。GIGAスクール構想において高校もネットワークの充実に関する補助はありますから。

 私としては、ハードウェアは縛りたくない、というのが本音です。まぁ、全員が同じ端末を使っていれば、先生としては指導が楽だと思います。実際、授業中に生徒の自分のスマートフォンを使って授業をしたのですが、あるアプリを使っていると、AndroidとiPhoneで使える機能や画面が違うのです。その差を知らない教員は困ってしまうわけです。
 でも、多様性のある世の中を生きていくわけですから、生徒自身が好きな物を使えば良いと思います。ノートパソコンか、キーボードが付いたタブレットにしてね、くらいの条件だけで十分じゃないでしょうか。(この記事を読んで頂いている皆さんは、どちらがお好みですか?)

終わりに

 教員だけでなく、生徒もPCでTeamsが使えるようになれば、コロナ禍に関わらず、これからの学校が大きく変わると思っています。この機会にTeamsやClassroomによって起こった学びの変化を、継続して飛躍させていく必要があると考えています。そのために教員自身も変化し続けていく必要があると思っています。

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