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「みらいめがね」

学科の資料室に荻上チキさんのみらいめがねを見つけた。ずっと読みたかった本だったし、心躍らせて借りた。噛み砕かれた世界のいろいろを自分の心で観察できる。素敵な本との出会いだった。

だれしもフィルターを持って生きている。それを荻上さんは「めがね」と呼ぶ。自分の生きやすい「めがね」に変えてみればいいんだよと促す。

社会問題を捉えるとき、どうしても心と頭がカチコチになって、自分の胸の奥まで届かない。差別、貧困、格差、戦争。必死に共感しようとしてもわからない。私にこれらを受け止める「めがね」がない。

ヤスタケシンスケさんのイラスト?漫画?で文章は締められる。荻上さんの言葉で綴った「めがね」にほぉ、と頷き、最後のイラストにもう一度読み返そうと思わされる。胸の奥に溶けて、自分の感情になるのを感じた。

大事な「めがね」はきっと人それぞれ違って、顔の形も見えている色も何もかも違うのだろう。その中で与えられた窮屈な「めがね」を生きるのではなく、世界を知る「めがね」の試着会に参加しているような。そんな人生にする。

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