首の前側を伸ばすストレッチ②斜角筋
~前回のあらすじ~
首の後ろ側、背中がこってるように感じても、原因は首の前側や側面の筋肉の短縮にあるかもしれません!?
後ろ側の筋肉は、いつも重力にさからって頑張ってるし、後ろ側には重要な神経の通ってる背骨があります。
なので、後ろ側の緊張は不快感として感じやすいものと思われます。
不快感を感じやすいからといって、後ろ側の筋肉をストレッチしたら良いとは限りません。
本を読むとかスマホを見るとか、日常的に上体は前傾しやすく、後ろ側の筋肉は伸ばされたまま緊張します。
縮こまりやすいのはむしろ前側の筋肉です。
前側の筋肉が短縮してたら、身体はつねに丸まろうとします。
身体が丸まらないように、後ろ側の筋肉が緊張すると、ますます後ろ側に不快感が出ることになります。
後ろ側の筋肉をほぐしたら一時的にラクになるかもしれませんが、
前側の筋肉の短縮を治さない限り、身体はつねに前に丸まろうとします。
なので、まずほぐすべきは前側の筋肉なのかもしれません。
首の前側、側面の筋肉のストレッチ方法。
首はいつも重い頭をささえてます。
背骨は、丸まりやすいだけでなくて、つねにつぶれる方向に力が働いてます。
なので、つぶれた首を伸長させて正しいポジションに戻しながら、
前側や側面の筋肉を伸ばしてゆるめる、ことが大事だと思います。
ポジションが正されないまま、筋肉だけ伸ばしてもゆるみにくいです。
~あらすじ終わり~
顎を上げたら、誰でも鎖骨と顎の距離は長くなります。
だから首の前側を伸ばそうとすると、すぐ顎を上げたくなります。
しかし、首の詰まってるひとは、顎を引いたときに鎖骨と顎の距離が極端に短くなります。
顎を引いたまま、鎖骨と顎の距離を長くすることが大事です。
首のシュッとしてるひとというのは、顎を引いたときの鎖骨と顎の距離が長いです。
なおかつ、首の前側がシュッとして、顎の下に空間を感じるのが首の良い姿勢だと思います。
首の前側が詰まってると、顎を引いて頭を後ろに引いたとき、首の前側が膨張してパンパンになります。
二重顎になったりします。
だから、姿勢の悪いひとは顎と頭を後ろに引けなくて、枕が低いと寝づらい傾向があります。
これは発声にも関係してて、首の前側が詰まってると、喉、下顎、鼻腔などに音がこもります。
首の前側が解放されると、頭のポジションが後ろに行って、背骨や頭蓋骨で音が響くようになります。
声帯は喉の前でギュッと閉じるイメージがあるかもしれません。
けど、声帯の後ろ側にも筋肉はあります。
前の緊張は抜いて、後ろで響かせるのが良い発声(共鳴)だと思います。
呼吸法はこれとはまた別の話です。
前回のやり方で、顎を上げないで首の前側を伸ばしつつ、
肩を動かして背骨を揺らす体操をやると、首の前側がほぐれる感じがしました。
肩を動かして背骨を揺らす体操というのは、気功の体操スワイショウとか。
あるいは、足は動かさずに腕だけを動かすウォーキング、ジョギングみたいな感じです。
そのとき、首の前側のどこがつっぱってるかで、効く動作は微妙に変わってくるものと思われます。
つっぱってたところが取れると、首のポジションが変わって、別のところに移る、そうやって段階的にほぐれてく感じです。
私は、みぞおちの高さに手を上げて、ジョギングっぽい動作をとくにくりかえしました。
リラックスしてゆるーくやります。
効かないと感じるときは、手の高さを変えたり、別の動作をやってみます。
フィーリングで首の前側に効く動作を探すと良いと思います。
何が効くかはその時によって違うので、スワイショウや築基功という気功の体操をやって、動作の引き出しを増やしとくと良いかもです。
スワイショウ
築基功
首の前側を伸ばしてるだけだと、筋肉が硬直して、ほぐれにくいですが、揺すってたら徐々にほぐれてきます。
じっさいにウォーキングやジョギングしても良いと思います。
ジョギングのような心拍数を上げる運動は、どこがということもなく、全身の循環が良くなって、体調や体質の改善につながるそうです。
ただ、首の前側を伸ばした状態で固定してると、外を走ったりするのちょっと危ないかもしれません。
歩行者とか車とか確認するのに、首のポジションは頻繁に変えないといけないから。
周囲に気を配ってると、リラックスすることに集中するのも大変です。
なので最初は集中できる環境でやったほうが良いです。
体操以外には、深呼吸も有効です。
胸鎖乳突筋や斜角筋は、呼吸に関係があります。
胸鎖乳突筋や斜角筋が収縮することで、鎖骨や上部肋骨が引き上げられて、吸気(吸う息)が行われます。
それらの筋肉が緊張してると、つねに吸気方向の力が働くということじゃないでしょうか。
深い呼吸を心がけようとしても、吸う方向に力が働いてて、ラクに吐くことができないということです。
首を伸ばした状態で深呼吸すると、吐く息で胸鎖乳突筋や斜角筋がゆるんで伸びる感覚がわかります。
首の前側を伸ばすと、胸鎖乳突筋以外の筋肉も伸ばされます。
胸鎖乳突筋以外に、首の前側の筋肉どんなのがあるか見てみます。
舌骨上筋群・舌骨下筋群
舌骨上筋群は顎の下についてる筋肉です。
顎二腹筋が代表的です。
舌骨下筋群は首の前側中央についてる筋肉です。
肩甲舌骨筋が代表的です。
代表的というか、特徴的です。
顎二腹筋、肩甲舌骨筋は、二腹筋と言って筋腹が2つあります。
間に腱をはさんで、ソーセージみたいな筋肉が縦に2つつながってるような感じです。
肩甲舌骨筋のほうは、舌骨、鎖骨、肩甲骨の三ヶ所についてます。
なので、肩甲骨の動作にすごく関係あります。
他に、注意したほうが良さそうな筋肉があります。
舌骨下筋群の、胸骨甲状筋です。
名前が示すとおり、胸骨と甲状軟骨(喉ぼとけの骨)についてます。
舌骨下筋群のくせに舌骨にはついてないという、詐欺です。
上のイラストの筋肉の中で、胸骨甲状筋だけ舌骨についてないのがわかります。
喉ぼとけ以下の低い位置にあって、首の根元に近いため、ストレッチのコツが違います。
胸鎖乳突筋(の下部)にしろ、胸骨甲状筋にしろ、斜角筋にしろ、
首の根元に近い部分は伸ばしづらいです。
首の根元に近い部分を伸ばすコツは、顎をシッカリ引くこと。
上部頸椎が伸展してるとパワーが上に逃げやすいので、上部頸椎を屈曲させて下位頸椎を伸びやすくする感じです。
でも、いきなり顎を引くと、首を伸ばすのが上手くいかないかも。
顎を上げもしないし、引きもしないで首を伸ばすのをある程度やって、首がゆるんでからが良いと思います。
首がゆるんでポジションが変わってくると、ここを意識とか顎をこうするとか、一概に言えなくなります。
段階的に変化が起こるものと考えて、いろいろ試してみるのが良いです。
広頸筋
首の前側の広い範囲についてる筋膜のような筋肉です。
上は顎にべったりついてます。
表情筋とつながってて、口をイーってやると伸びます。
下は鎖骨胸筋筋膜についてます。
鎖骨胸筋筋膜は胸にある筋膜です。
広頸筋が突っ張ると、表情筋、首の前側、胸というふうに、相当広い範囲に影響が出ることがわかります。
斜角筋
前というか側面にも近い筋肉です。
首の前側を伸ばすと、前斜角筋、中斜角筋もそれなりに伸びます。
が、斜角筋をしっかり伸ばそうとしたら、首の前側を伸ばす意識じゃなくて、首の側面を伸ばす意識が要ります。
首を伸ばすときは、鼻じゃなくて、もっと頭の中心を意識したりします。
頭のてっぺんという意味じゃなくて、頭の中(脳のあるところ)です。
斜角筋は上部肋骨についてるので、短縮してると肋骨が上がり、鎖骨や肩も上がってしまいます。
斜角筋を伸ばすには、頭の中心を天井に向かって伸ばすと同時に、上部肋骨を下げないといけません。
伸ばす方向は、天井の少ーし前、が良さげです。
けど、前のめりということじゃなくて、斜角筋を伸ばすと頭のポジションはむしろ後ろに行きます。
少し前を意識するのに、頭の位置はどんどん後ろに行って、かと言って反っていってるわけじゃない。
という状態です。
すごく姿勢が良いひとも、良くも悪くもないひとも、
素人目に見て、ほとんどまっすぐであることには変わりありません。
じゃあ何が違うのかというと、姿勢がい良いひとは首のギアが後ろに余計に回ってる感じです。
上部肋骨が前回転、上部胸椎や下部頸椎が後ろ回転、上部頸椎が前回転です。
それによって、背中が使えます。
あと、上部肋骨を下げると言っても、ムリに下げても下がらないです。
斜角筋がピンピンに短縮してる状態で頭を天井方向に伸ばしたら、
上部肋骨が持ち上がって、肩も上がって、不自然な姿勢になります。
斜角筋が伸びて、初めて肩が下がります。
なので、初めは不自然に肩が上がったままで良いです。
深呼吸とか、体操とかして、斜角筋が少しずつゆるむのを待ちます。
斜角筋は、横から見ると三角形っぽい配置になってます。
前から、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋です。
最小斜角筋というのもあるそうですが、ひとによってない場合もあったり、定かではありません。
前斜角筋と中斜角筋の間を血管や神経が通ります。
斜角筋が緊張してると、通り道にある血管や神経を圧迫して、不快な症状が出ることがあります。
手がしびれたりとかです。
前斜角筋と中斜角筋は第一肋骨に、後斜角筋は第二肋骨につきます。
これら3つの斜角筋をイメージして、首を伸ばすと良いです。
斜角筋は、筋膜で小胸筋とつながってると言います。
小胸筋はディープフロントアームラインという腕の筋膜ラインの始まりです。
したがって斜角筋は腕とのつながりをもちます。
利き腕の斜角筋のほうがこりやすいのでは、と思います。
斜角筋が伸びてくると、上部肋骨が下がって、鎖骨と肩甲骨も下がってきます。
肩が下がるということです。
すると、首のつけね辺りの姿勢が良くなって、
斜角筋の緊張時にはグッと前に押される感じにつぶれてた背骨が、スッと伸びます。
斜角筋のストレッチは、首を横に倒すやり方が一般的です。
伸ばされる側の胸や肩が上がらないように、手で押さえたりします。
このやり方は、首の姿勢の悪いひとには、あまり意味ないかもと思いました。
首の姿勢の悪いひとは悪いひとなりの、制限を伴う伸ばし方になるからです。
首を横に倒すと、たしかに首筋はピンと伸びます。
けど、上部肋骨と頭をひきはなすような、首を長くする感覚が出づらいです。
骨格のポジションが改善しないまま首筋だけピンと伸ばしても、逆に首のストレスになってしまうかもです。
咽頭収縮筋
胸鎖乳突筋、舌骨上筋・下筋群、斜角筋などがわりと有名なのに対して、
咽頭収縮筋はマイナーなインナーマッスルです。
気管や食道を包むようにしてついてます。
交感神経幹のすぐ前にあるので、交感神経の働きに影響があります。
例えば、緊張したときに喉が渇いたり、声が出なくなったりするのは、咽頭収縮筋の影響も考えられます。
咽頭収縮筋の上のほうは、蝶形骨や下顎の骨についてます。
なので、顎の動かしやすさにも関わる筋肉です。
顎関節症の原因になったりです。
舌骨、喉の骨にもついてます。
奥のほうにあるので、胸鎖乳突筋や舌骨下筋群がほぐれてからじゃないと、ほぐせないと思います。
首の中心にある筋肉を、頭長筋や頸長筋とすると、咽頭収縮筋は「首の前側の中心にある筋肉」と言えます。
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