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映画「男と女」 アヌーク・エーメ死去

8月18日のアラン・ドロンの死去のニュースと話が前後しますが、
6月20日(木)、Yahoo! ニュースで、アヌーク・エーメさんの死去を知りました。
女優アヌーク・エーメと言えば、画家モディリアニ(ジェラール・フィリップ)の妻ジャンヌを演じた『モンパルナスの灯』も良かったですが、やはり、真っ先に浮かぶのは、第19回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作、『男と女』(1966年・クロード・ルルーシュ監督)でしょう。そして、誰もが一度は耳にしたことのある、あの名曲、フランシス・レイの ♫ダ~バ~ダ ダバダバダ ダバダバダのテーマ音楽です。
もちろん、映画館でリアルタイムで観たのではなく、後年再上映されたときか、テレビ放映だったと記憶しています。観終わって感じたのは、フランス映画って、なんてセンスがいいんだということでした。
この映画は、決して大向こうを張った大作映画ではなく、上質の短編小説のように、どこにでもある、男女の出会いと別れの日常をスパッと切り取って、その切り口を見せるという手法です。お見事と言うしかありません。上映時間1時間42分、過不足ない長さです。

もう10年以上前になりますが、大手音楽事務所から、ある歌手のPV(プロモーションビデオ)のシナリオを依頼され、その歌手がライブをやっている渋谷のライブハウスに行ったことがあります。そこに日仏ハーフの若い女の歌手が出ていて、事務所の人が、彼女は映画『男と女』で、アヌーク・エーメの旦那さん役で、劇中で、♫男と女のサンバ♫を歌っていた、ピエール・バルーの娘さんとのことでした。そして、ふと左横を見ると、そのピエール・バルーさん本人が座っているではないですか。その横顔は、愛娘を見守る優しい父親の顔でした。そのピエールさんも、2016年82歳で心臓発作で亡くなったそうです。

アラン・ドロンが亡くなった日、フランスではトップニュースで伝えたそうですが、日本では夜7時からのNHKニュースでも、終わりの方で1分ぐらいしか伝えなかったし、アヌーク・エーメさんの死去のニュースも観た記憶がありません。お二人を偲ぶというテレビ放映もなく、もうアラン・ドロン、アヌーク・エーメといえども、過去の人なんだなと、時代の流れをヒシヒシと感じました。
そう言えば、最近はフランス映画がまったくと言っていいほど入ってこなくなりましたね。新人スターの名前も聞かないし、日本同様、映画産業が衰退してしまったのですかね。そうだとしたら、寂しい限りです。元気がいいのは、ネット配信作品と韓国映画という気がしないでもありません。

           <了>


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