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PM最初のキャリアとして受託か事業どちらを選ぶべきなのか

「受託開発か自社開発の事業会社か?」この手のテーマはよく語られますし、よく相談を受けるテーマの一つです。

どちらを選んでも間違いでは無いのですが、得られる経験やスキルがかなり異なります。自分自身は広告制作会社からキャリアをスタートしたので受託開発から事業会社へ転職しました。どちらも経験した身から受託か事業どちらを選ぶべきなのかについて書いてみることにします。

プロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーを目指す人にとって参考になれば幸いです。

ちなみにこの記事では、受託開発は「クライアントから予算・要件を伝えられてプロジェクトに取り組む仕事」のことを指し、事業会社は「自社で要件定義し開発を進める仕事」としています。またウェブ領域の話になりますので基幹系やゲーム開発とは異なります。

結論だけ読みたい方へ

「浅く広く短く」の受託開発か、「狭く深く長く」の事業会社と言うことができると思っています。

これはデジタル広告制作という現場だったからかもしれませんが、プロジェクトの数や量でいえば受託開発の方に軍配があがります。短期間でPMとしてのスキルを集中的に学ぶのであれば受託開発です。デメリットとして受託開発の場合は、長い視点での意思決定がしづらいことが多くユーザー理解を深めていくプロセスが身につきません。中長期で視野を広げていく場合は事業会社の方が良いと言えます。

受託開発のメリット・デメリット

受託開発で学べる一番大事なことは”徹底的な納期意識”とそれを実現するための”多くの関係者を巻き込んだステークホルダーマネジメント”、"自分で意思決定していく頻度の多さ"にあります。

色んなプロジェクトがありますが、予算を頂いて開発する手前クライアントの納期は遵守する以外他ありません。場合によってはどう考えても通常ペースでは間に合わないこともざらにあります。

そのため各職種の人を巻き込みチームを作り、タスクを分解してひたすらボールを渡していくことが求められます。この分業とコミュニケーションが、短い時間の中で頻度高く行われていくので自ずとステークホルダーマネジメントのスキルが身に付きます。

またプロジェクトの中では、要求定義から要件定義、デザインチェック、開発進行、テストQAの全てのフェーズでチームメンバーから出てくる「これどうするの?」を捌いていく必要があります。

全てを丁寧にクライアントと会話して決めていくのは納期上難しいので、自分の裁量の中で色んなことを意思決定し判断を下していく必要がでてきます。これがPMの本質である「何をやるべきか」を決める力の土台になると思っています。

個人的な感想ですが、受託開発出身のPMの方々はスピード感の桁が違うなと思いますし(ベンチャーも似ていますが)、ステークホルダーを巻き込むことやタスクをお願いすることに抵抗が無い方が多いと思います。

事業会社のメリット・デメリット

一方で事業会社に所属するメリットを考えてみます。まず事業の柱としてプロダクトを提供していることが殆どですので当然長いスパンを掛けて成長させていくことが前提となります。

そのためプロダクトに関するドメイン知識・ユーザーのインサイトを深めることはもちろん、中長期の視点でプロダクトをどう成長させるとユーザーが満足し売上に繋がっていくのかを考え続ける日々になります。

プロダクトを使うユーザーの課題や業務フローのボトルネックを見つけ、外れ値のように出てくる無数のユースケースを本流に載せるかを考えていくため、「何が課題でどれを解決することが最もインパクトに繋がるのか」を考える力を養うことができます。これはBtoBでもBtoCでもSaaSでもECでも、プロダクトが変わっても応用できるスキルだと思います。

またリリースして終わってしまうことが多い受託開発と異なり、ずっと続いていくのが事業会社ですので、毎期、毎月、毎週、毎日の単位でPDCAサイクルを回すことになります。自分が考えた企画でプロダクトの数字に直結したかを日々感じられるのもメリットの一つです。

事業が成長していく過程で、キャリアとしては視座と視野を広げていくことが求められます。競合プロダクトや市場に対してどう勝っていくのか?そのためにはプロダクトという一つのパーツだけでなく、営業・マーケティング・バックオフィス等の理解を深めていくことが求められるので、事業成長の為の複合的なスキルを身につけることができると思います。

で、どっちがいいの?

正直どちらからでも上で書いたようなメリットを両取りしていけば良いです。もし今新卒に戻るとしたら1年〜2年死ぬ気で受託開発(もしくはスタートアップ)をやりきって事業会社へ移ると思います。
これは受託開発で得られる徹底的な納期意識と関係者調整のスキルは早い内に経験しておく方が後々応用が効くからです。

事業会社でもこの日までにリリースしないと本当に駄目な時や、無数の人を巻き込んで物事を動かすシーンは必ず発生します。そういった時に土台となる胆力を早々に身につけておけば必ず役に立ちます。

PMとして「課題を見つけ何をやるべきか」という答えの無いテーマに向き合い自分自身のスキルを磨いていくのであれば、途中から事業会社に移るのが正解だろうなと思います。

良いプロダクトづくりはどこでもチャレンジできますが、受託開発は収益構造上数をこなし保守運用で稼いでいくモデルなので、一つのクライアントのプロダクトに向き合い続けるのは限界があります(またいつ内製化されるか分からない恐怖)

あとはやっぱり自分が頑張って伸ばした事業がちゃんと報酬に還元されていくのが一番良いじゃないですか。なのでどこかで事業会社へ舵を切るのが良いと思います。参考になれば幸いです。

(最後に紹介)LINEでキャリア相談やプロダクトの壁打ちを受け始めました。お気軽にお問い合わせください。

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