過去は変えられない、でも…
先週、精神科の診察へ行ったら、なんと主治医がいなかった。
「ごめんなさいね、今日は君の主治医は調子が悪くて、こんなじいさんが駆り出されました」
と、院長先生の診察を受けることになった。
私は恐らく今混合状態で、上がったり下がったりしながら過ごしている。上がると言っても楽しい気分になるのではなく、イライラして人に当たり散らしてしまったり、たくさんお買い物をしたり、はたまたびっくりするほど食べたりしているので困ったものだ。
そして下がる時は繰り返し繰り返し過去にあった辛かったことを思い出してしまう。記憶などいい加減なものだから、大昔のことなど思い出しても本当にあったことなのかどうかその真偽すら定かではないのだが、これが苦しい。「私を苦しめる過去の記憶」を何とか昇華させる方法はないのか、院長先生に聞いてみた。
「いやそれね、とにかく今を良くすることが一番、僕の治療法はそれ。だから今が良ければ昔あんな辛いことこんな辛いこと嫌なこと苦しいこと悲しいことがあったけど、何とか頑張って来て、こうやって幸せになれたんや、と今までのことが幸せにつながる階段、ステップみたいに思える。言うてる意味分かるやろ?今が悪ければね、あの時あんな辛い目にあった、あんな酷い人間がおった、こんなこともあった、今までのことが全て悪い風になってその結果自分はこんな惨めな思いしてる…分かる?人間っていうのは単純な生き物やねん。ね、だから僕は今を幸せにすることを考える、昔のことをほじくり出すのは、それは良い治療法じゃないと思う。だから、フロイトがおるやん?大っ嫌い。今日あった3つの良いことを考えましょ、っていうのもそれよ。ね、今を良くする。終わりよければすべてよし、っていうことわざあるでしょ?それなんよ。だから、あなたにとって良くする方法、美味しい物を食べる、岩盤浴行く、その程度やで。人間って単純なんや。それを分かって下さい」
と言われた。つまり過去(の事実として私たちが認識してしまっているもの)は変えられないが、その捉え方は今次第で変えられるんだ、ということだ、と私は受け取った。
女子的マウントの世界で言うと、30代も後半になって結婚もせず、子どもももちろんおらず、彼氏すらいなくて、その上双極性障害という厄介な病気まで抱えている、とくりゃ、もうボロ負け間違いなし、って感じではある。しかしまぁ病気と仕事とお友だちしか持っていない(あと、大量の食器を所有している)一人暮らしであるから気楽さと自由だけは売るほどある。今をちょっと楽しくする、そのための余白はたくさんあるような気がする。
最近、『北欧こじらせ日記』というドラマと、『ミルと365日』というYouTubeにハマっているのだが、若くて可愛い女の子が、お部屋を綺麗に飾ったり、可愛い食器で色々食べたり、パンやお菓子をこしらえている姿が何とも愛らしくて楽しそうだ。若くて可愛い女の子、というところは残念なことに、えぇ、誠に残念なことに真似は出来ないが、お部屋を綺麗に飾ったり、可愛い食器(売るほどあるぞ)で色々食べたり、パン…はめんどくさがりなので性格的に難しいがお菓子(簡単なやつ)をこしらえたりして楽しい気分になることは私にも出来る。
よし、やってみようということで、手始めに新しい食器(売るほどあるんじゃなかったのか)と北欧雑貨を何点かネットで買った。スーパーへ走り、silentを見てハンバーグが食べたくなったので焼くだけに成形されたハンバーグを買い(作れ!)、インスタ用に彩りのサラダとプチトマトも買い、チョコチップクッキーの材料も買って来た。新しい食器にハンバーグとサラダとプチトマトを盛り付けて写真を撮ったら気持ちが楽しくなって来た。
はしたない私は、いつか神様が今までして来た辛い思いを吹き飛ばすようなラッキーをプレゼントしてくれるんだ、と信じている。それはワクワク待ちつつ、ちょっとずつちょっとずつ、自分で自分を幸せにしていきたい。
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