山本渉「任せるコツ 『自分でやった方が早い』がなくなる最高の任せ方」
私は係長として所属としては3つ目、4年目になります。
チームのメンバーは様々です。任せるというよりは、私よりずっと色んなことを考えていて、こちらが受け身になった方がうまくいくメンバーもいました。今年がそうなのですが、採用1年目のメンバーもいます。
なので、これまでのことを振り返りながら読みました。
自分も係員として仕事をしていた時に、自分からやり方を提案したり、係長に何かやってもらいたいことをお願いしたりしたことがありました。もちろん、上司に相談する、尋ねるという姿勢は崩していませんでしたが、逆にイエスと言わせるためにはどうすればよいか、と考えていました。任せるよ、と言われていたわけではありませんが、言われた時と同じような行動をとっていました。
よく見れば、こういう動き方を身につけた人はたくさんいます。そもそも私自身も他の人を見習ってこういう動き方をしてみたわけなのです。
だから、任せる、ということは、そういう進め方をできる部下がやりやすいようにすること、という風に考えていました。
自分で考えられるようになるためには、任せられる経験をしなければいけません。もちろん自分でやりたいことがあったり、やってみたい気持ちが強ければ、自分でチャンスを見つけるでしょうけれど、そうでない控えめな人もたくさんいます。
だから、任せられる経験をしたことがない人にも、少しずつ任せていくことが大切なのだな、とは思っていました。ネックになるのは定型業務。
これをきちんとこなせた上で、自由度の高いことをどのようにやってもらうか。
本の中では、頼み方のポイントから、どのように丸投げできる人材を育てるかと言うことについて書かれています。
まず、頼み方の基本ですが、著者は下記の5つを挙げています。
こうして並べられているのを見てみると、どれもとても大切だな、と思うのですが、実際にそういう行動ができているかと言うと、全く自信がありません。
しかも、ここに記載されていない、大前提としてのスケジュール(いつまでにして欲しいか)を、妙な遠慮が出てしまい、いつぐらいにはできそうですか?みたいな感じで曖昧にしてしまうことがよくあります。また、選択肢の提示についても、言葉としては、やってもらえますか?と言う聞き方をしますが、なんとなく断りにくい状況を作ってしまっているからか、今のところ断られるなどの経験をしたことが今のところはありません。
この一つ一つも、表面的なことではなくて、よい丸投げのために深掘りしていくことが大切です。例えば、1つ目の意欲創出については、一言で意欲と言っても個々人によって異なり、その背景まで知ることで、より大きな意欲が引き出せるといいます。
ちょうど、それぞれの項目の上のところにチェックボックスみたいな⬜︎が付いていますが、これをリストにして、頼み方を考えてみたいなと思いました。
もう一つ印象に残ったのは、若手がはねる瞬間「新4 P理論」という考え方です。
マーケティング用語で、商品を売るために必要な要素として、product・price・place・promotionという4 P理論がありますが、育成の新4Pは、著者が考えた言葉で、person・place・prepare・pressureです。
逆に言うと、このような状況が整っていると思われたときに、コミットの具合を調節しながら、丸投げできたら、きっと良い成果と部下の成長が引き出せるのではないかなと思いました。
給料をもらって仕事をしているのに、自分自身が成長できたり、誰かが育って自分を超えていくのを見ることができる、というのはとても嬉しいことだと思います。まあ、超えられるのを嬉しいと思える、というのは、ちょっとカッコつけているかもしれませんが。
私も今まで育ててもらった分、(育てるどころか、女性だからと自由度の低い仕事ばかり押し付けてきた昭和感覚の上司たちのことは忘れて)次の世代に恩送りしていきたいと思います。