佐久間智之「やさしくわかる!公務員のためのSNS活用の教科書」
自治体の情報提供は、20年前は広報とウェブサイトくらいだったのが、最近は、Twitter、Instagram、LINE、Facebookなど様々なSNSが使われている。TikTokを使い始めたところもあるようで、どんな風に使っているか、とても興味深い。
広報とウェブサイトと、SNSとの違いは非常に大きい。SNSは発信そのものに費用負担がないので、初期投資も維持管理コストも目に見える形にはならない。もちろん案文を作成したり複数名で確認したり、といった人件費などのコストはかかるけれど、費用対効果は高いような気がする。そもそも私自身、紙媒体は自分が好んで購入したり図書館で借りたりする本以外にあまり読む機会がないので、スマホで見られるのは非常に便利だと感じている。
とはいえ、佐久間氏は、他市がやっているからとか、コストがかからないから、といった程度の理由なら、限られた時間を割いてやることはない、ということを言っている。SNSは情報発信の手段であって、目的にしてはいけない、ということだ。
Twitter、Instgramは若者向け、LINEは幅広い層で用いられていて、Facebookは中高年の利用が多いといった特徴があるけれど、私もあまりそういったことは意識せず、文字数の制限の関係で案文を2パターン作る程度で発信してしまっていた。
私は一度フォローしたものを外したりということはあまりしないので、そういう感覚がなかったのだけれど、うるさいと思われるとフォローを外すということもあるという。情報の必要性に敏感であるそういう方たちにとっては、興味のない情報までたくさん入ってくるアカウントはフォローを外すといったこともするのかもしれない。
それぞれのSNSでどんな発信をするのか、ルールを決めておくとよいのかなと思った。
また、フォロワー数やいいねの数などの指標を決めておき、フォロワー数が達成できなかったら潔くやめるというのも必要だという指摘にも、納得した。ついコストがかからないから、続けてしまいがちだけれど、SNS発信は目的ではなくて手段であるということをしっかりと念頭においていれば、そういう選択も出てこなければいけない。
SNSそれぞれの特徴だけでなく、発信の文章や表記のコツ、画像の使い方など、様々な手法が紹介されていて、いろいろと実践してみたいことがたくさん出てきた。
またTikTokについても書かれていたけれど、若い世代は何かを調べたいときにyoutubeで検索するとのことで、文字情報よりも、動画から情報を得ようとするのかと驚いた(そういえば、検索するときにいつも画像検索する後輩に驚いたこともあったけれど、それのさらに一歩先を行く感じなのだろうか)。
やさしくわかる!とか、教科書、とかタイトルにもつけられているけれど、本当にその通りで、まだどこから考えていけばよいのか、とか分からない状態であったけれど、まさに教科書という感じで、なんとなく全体像が見えてきた気がして、安心感が得られるとともに、やってみようという気にさせてくれる内容だった。