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原田曜平「寡欲都市TOKYO 若者の地方移住と新しい地方創生」

東京に行ってチャンスを掴む、みたいな時代では、もうなくなりつつあるらしい。寡欲という言葉は実は初めて聞いたのだけれど、欲が少ないことを言うそう。ギラギラした上昇志向の強い人たちは、もう東京を目指さない。特に海外から東京を目指してくる人は、東京の物価の安さ、安くても品質が高いといったところにひかれているというのだ。ワンコインで食べられるチェーン店がたくさんあり、ファストファッションも充実、欲しい生活が東京なら手に入るということなのだという。
東京が世界からどのように見られているか、例としてアメリカで人気だったという「GIRLS」というドラマを挙げている。日本に紹介されていないけれど非常に人気で、2012年から2017年に全米で放映され、NYに住む20代のリアルな話だという。第1話では、物価高で、大学教授の夫婦でも娘に仕送りをするのが厳しくなり、もうできないと宣言されるハンナの話。仕事を持っていても、都会の高い家賃と保険料を支払いできなくて、仕送りしてもらっていたのだ。といったリアルな状況が、受け入れられたという。
その中の主要人物シャシャンナがTOKYOに転勤を命じられ、それまで自信を持てずに生きづらさを感じていたのが、TOKYOにきてから元気になり「(日本に)来たばかりだけれど皆家族のように感じる」と話す。その後解雇されることになるが、その後も日本にしばらく住み、「日本人のいいところは、好きなものを全力で突き詰めてかわいくするところ。どこを見ても私が大好きなものばかり。自分が心の中で作り上げた国じゃないかって思える」と発言する。
これがどういうことなのか、都市の特徴と若者世代のニーズを掛け合わせながら、著者の視点で解説している。

とはいえ、日本の未来が安泰というわけではない。コロナがすべての問題の根源のような気もしているけれど、コロナ前から、日本の状況は、特に地方都市の状況は深刻になっていった。これをどう解決するか、について、著者は2つのことが想定している。一つはこのまま縮小していくこと、あるいは、移民をもっと受け入れる、ということ。
日本には移民があまりいないように思われているが、国際的な定義においては、実は「いる」ということになる。国連経済社会局では「その国に1年以上住んでいる人」、OECDでは「90日以上滞在できる合法的な資格を持って入国した人」という定義になるという。そしてOECDの定義にしたがえば、日本は世界第4位の移民大国ということになるという。なので、後者の作戦もそれほど現実離れしているわけではないという。

まちがどういった方向を目指せばよいのか、ということは、時代を経ても変わらないものではない。世代が求めるものが変化すれば、それに合わせて、あるいは、その波にうまく乗れれば、注目されることになる。そしてもう一つ、仮に魅力があったとしても、伝わらなければ、注目されない。英語発信力が他の国に比べて低くて、ここも課題だという。
とりあえず、子どもたちも小学校で英語を習い始める時代になって、やっているようだし、久しぶりにチャレンジしてみようか、という気になりつつある。

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