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冬に演奏するカラダ
Chère Musique
冬という季節は、魅力的な音楽がたくさんあるにも関わらず、自分自身が演奏しづらい。
演奏する方は皆さん感じていらっしゃると思います。
演奏するのに必要なカラダの状態というのは、まず不要な力がどこにも入っていないこと、そして開かれていること。
自分をこの状態にするのに、冬は他の季節よりも少し時間がかかったり筋肉や骨格に負荷がかかったりするのです。
演奏と関係なくても、どんな人間でも、寒いと体は固まります。
そして、人間誰でも左右が少し違う状態、バランスが崩れている部分を持っていますが、それが冬には顕著になります。
例えば、片足に重心を乗せて立つ癖のある方。
その傾いた状態ですぐに固まってしまうので、歩き出そうとした時に骨盤にかかる負荷が大きいことを感じると思います。
「不要な力がどこにも入っていない」、これは分かります。
では「開かれている」とはどういうことでしょうか。
「開かれている」、文字どおりの意味。
冬には誰もが、カラダの前側の中心の縦のラインに沿って左右から折り畳まれたような方向に筋肉が縮まります。
そして上下方向も。
他の季節よりも重力に引っ張られ易く、腰と背中と何より頭と首が、下に落ちやすいのです。
これは着るものの重さも原因のひとつです。
寒いところでばかりではありません。
暖かい部屋に帰ってきてソファやこたつにくつろぐ時間には、腰と背中がとても丸くなり、横方向と縦方向どちらも前の内側に縮まります。
とはいえくつろぐ時間は大切。それは季節問わずですね。
乾燥も、演奏には大敵です。
喉を常に潤す、水分をしっかり摂る、ということは演奏には必須です。
その飲み物は、出来れば温かいものが良いようです。
内臓を温めると、喉にも指の動きにもとても良い効果があるそうです。
そして意外と、「肌の乾燥」も防がなくてはなりません。
乾燥しすぎた肌は抵抗力が減って、いろいろな症状に罹り健康な状態を保ちにくくなるからです。
音楽家の活動というのは、まず元気というのがベースですのでね。
ついでに言うと、髪の乾燥も舞台には不向き。
表現のオーラが減って演奏が大変になりますものね。
こんなことを書いていても、私自身が声高に言えるほど良い状態の人というわけではまったくありません。
むしろ、自分を顧みてよく観察し、整体の先生やヘアスタイリストさんにたくさんのことを教わりながら過ごしています。
そういう意味では、自分をサンプルにして改善方法を試せる程度には自分を見ている、と言えるでしょうか。
自分の身体のいろいろな部分を、良い音が出せる、深くて良質な表現ができる状態に変えてゆく力は、少しずつですが育っているようです。
2月9日(日)の週末音楽講座(CSM)では、「ストレッチ&冬を歌おう」と称して、冬の体のメンテナンスをしました。
受講者は皆さん「今の自分にダイレクトに役立った」とのご感想。
やっぱり皆さん苦労されているのですね。
そして2月24日(月祝)には、一年ぶりの“音の華”コンサートで15曲も歌います。
自分メンテナンスが一番必要な時が一番寒い時。
慎重に「歌うカラダ」を作ってゆきたいと思います。
Musique, Elle a des ailes.