内藤郁子 Ikuko NAITO

内藤郁子INClaireです。 音楽について日々思うことや生活の中の音楽の話を書きます…

内藤郁子 Ikuko NAITO

内藤郁子INClaireです。 音楽について日々思うことや生活の中の音楽の話を書きます。 音楽のたくさんのジャンルで壁を作らず線引きだけして、どれも体験して魅力の違いを比べるのがおもしろい。 音楽って一曲ずつそれぞれの魅力だと思います。

最近の記事

連弾にしかない工程

Chère Musique イントロダクション 主宰する音楽アトリエの秋の演奏会では、連弾で出演する生徒さんの演目が二組あります。 一般的には連弾の方が、ピアノが一台あればできるわけですから、身近なものです。 環境という意味で機会が多い。 ですが、連弾には実はほかの演奏形態にはない苦労があります。 この連弾にしかない苦労ということが、その演奏形態をわざわざやる楽しみの大きな一つです。 一緒になると初めは弾けない どんな苦労かというと、ソロピアノや二台ピアノやいろいろ

    • 演奏会のための特別なレッスン

      Chère Musique イントロダクション 二年に一度、生徒さんのための発表演奏会を開催します。 今年は11月23日、本番まで約二ヶ月半となりました。 毎回このくらいの時期に、普通のレッスン以外に、演奏会のための特別なレッスンがいくつか計画されます。 ホールリハーサル まず早めに予約しておかなければいけないのが、ホールリハーサル。 本番と同じホールを借ります。 理想は二〜三週間前。 照明も音響も無しでピアノと会場だけを借りて、どんな形の会場で、そこで演奏する

      • ヴォーカルアレンジは楽しい!

        Chère Musique (レッスンダイアリー) 生徒さんのための秋の演奏会ラフェット2024に向けて二曲、ヴォーカルアレンジをしています。 美しい女性生徒さん三人のヴォーカルアンサンブルグループ、今回は最近のJ-POPの作品を歌います。 毎回そうですが、元々は普通のソロアーティストの作品を、掛け合いをしたりハモったりする三人分のヴォーカルパートに作り換えます。 普段はそれぞれソロでレッスンを受けていて、オペラアリア、日本歌曲、ポップスと、主に習っている作品の種類も

        • グランドピアノで基礎練習を

          Chère Musique 今の日本で趣味でピアノを習う方のかなり多くの方が、家では電子ピアノで練習し、演奏会の舞台ではグランドピアノを弾きます。 その楽器で出来る楽しみ 楽器が何であろうと「音楽を楽しむ」ことは十分にできるというのが私の考え方です。 プロのピアニストやピアノの先生になりたい方は別として、趣味の方は、例えば、家での電子ピアノやキーボードでしか出来ない楽しみ方も教えてさしあげたいです。 私のレッスンでは、グランドかアップライトどちらかのアコースティック

        連弾にしかない工程

          歌解説『浜辺の歌』

          Chère Musique 浜辺の歌 作詩:林古渓 作曲:成田為三 あした浜辺を さまよえば
昔のことぞ しのばるる
風の音よ 雲のさまよ
寄する波も 貝の色も ゆうべ浜辺を もとおれば
昔の人ぞ しのばるる
寄する波よ かえす波よ
月の色も 星のかげも はやちたちまち 波を吹き
赤裳のすそぞ ぬれもせじ
病みし我は すべていえて
浜の真砂 まなごいまは この歌は大正5年(1916年)に発表されました。 作詩は林古渓さん、作曲は成田為三さんです。 8分の6拍子

          歌解説『浜辺の歌』

          ホールの形と演者の目線

          Chère Musique イントロダクション 歌のレッスンをするときに、舞台に立ってお客様に向かって歌っていて、目線の角度がどれくらいだと良いかということをアドバイスします。 特に演奏会の会場が決まると、頻繁にチェックします。 会場によって 歌の表現というのは、見つめる所と自分との距離感、角度によって、表現が決まる部分もあります。 表現だけではなくて、それらは発声の技術自体にも関わってきます。 距離感と目線の角度というのは、演奏会場の形で決まります。 私は

          ホールの形と演者の目線

          コンサートの演目解説

          Chère Musique イントロダクション 最近はプロの演奏家は、演目解説をプログラムに書くかたがずいぶん増えてきました。 書かないかたももちろんたくさんいらっしゃいますが、書いてあると始まる前に客席でそれを読み、とても楽しみな気持ちになって良いことだなと思っています。 文章を書くのが苦手なパフォーマーは無理してまで書いたりはしないとは思いますが、書いてあると私はとっても楽しくなります。 ラフェットの場合 私の主催する二年に一度の秋の演奏会“ラフェット”では

          コンサートの演目解説

          プロのサポート〜歌の伴奏編

          Chère Musique イントロダクション 趣味で音楽を習っている方々は、発表会などの舞台で演奏できる機会にプロと共演できたら、嬉しいと思うかたも多いのではないでしょうか。 もちろん全員ではないとは思います。 自分たちはお互いに聴き合うことが楽しい交流で、励みにもなる。 プロはプロでお金を出してすごいものを聴きに行きたい。 という考え方もあるでしょう。 どちらにしろ発表会では講師演奏があります。 趣味の舞台にプロも出演する場合の、いくつかの種類と、そのプロが考え

          プロのサポート〜歌の伴奏編

          数種類のリハーサル

          Chère Musique イントロダクション 二年に一度の生徒さんの演奏会ラフェットに向けて、何回かに分けてリハーサルをします。 正確には「リハーサル」というと、演奏の中身よりも舞台の進行の面を本番どおりにやってみることを指します。 その中でも本番前日などの近い日に最後に行うものを「ゲネプロ」といいます。 ですが音楽の分野では、本番の前日や当日開演前にその舞台でスタッフなどの人前で演奏してみることを指す感覚で、この言葉を使っている人も多い気がします。 私たち音楽教

          数種類のリハーサル

          開会と終演の言葉

          Chère Musique イントロダクション 皆さんはパリ・オリンピックを楽しみにしていらっしゃるでしょうか。 オリンピックというのは、興味がある方とない方といらっしゃると思いますが、私はどちらとも言えないような感じです。 観始めたらとっても楽しくて、入り込んでしまうし、一生懸命応援してしまいます。 ですが、ずっと前から楽しみにしていて、、という感じでもなく、特にこのスポーツだけは見逃せないというスポーツがあるわけでもなく、ほとんど観ないで終わってしまう年もありました

          開会と終演の言葉

          つい使ってしまう言葉たち

          Chère Musique つい使ってしまう言葉たち 音楽のレッスンや普段の生活で音楽の話をする時、つい使ってしまうけれど本当は間違った意味になってしまう言葉、というものがたくさんあります。 生徒さんや一般の方々が使ってしまうなら、しっかり習ったことがなければ当然仕方のないことですが、音楽の先生たちや演奏家の人たちまで(実は私も)、分かっているのについつい使ってしまう言葉もあるのです。 例えば、音程、階名、叩く、蓋、などなど。 音程 歌を歌っている時に「この部分がち

          つい使ってしまう言葉たち

          演奏のゴールとスタート

          Chère Musique イントロダクション 音楽の演奏には、完成は無い。 ということを、演奏家、指導者ならみんな分かっています。 とある舞台が、その時の自分にとって最高の演奏だったとして、そこを新たなスタートラインとして更に先へと変化してゆく、というのが音楽家にとっての「演奏」というものです。 永遠に終わりは来ません。 誰にも「この作品の完成形はこの演奏です」「これ以上の演奏はありません」とは言えないのが、音楽の演奏です。 生徒さんのゴール ですが、それを踏ま

          演奏のゴールとスタート

          ハモりの音合わせ

          生徒さんの重唱レッスン、自分の舞台、ア・カペラ ヴォーカル アンサンブルグループの練習や舞台、いろいろな場面で日常的に、いろいろな種類の「ハモる」ということをします。 ぴったりハモれた時だけの「倍音」がその空間に生まれるので、上手くいった瞬間はすぐ判り、最高に気持ちイイ。 どこで、誰と、何が目的でそのハモりを歌うのか(聴くのか)によって、求める完成度はかわりますが、大切なことはいつも同じなのかなと思います。 自分が変わろう 当たり前ですが、自分の声と同じくらい、または

          ハモりの音合わせ

          ネタは多すぎる方が良い

          Chère Musique イントロダクション 毎年この季節になると、ダルクローズ・リトミックの夏期講座の準備が始まります。 私も運営メンバーの一人である、身体表現音楽の研究グループ“アンサンブル ユーリズミックス”による、恒例企画です。 しっかりとカリキュラムを立てるのは受講者の顔ぶれが分かってからですが、今年も募集がスタートしたタイミングで、昨年を振り返っています。 昨年のこの講座で、用意した内容が多過ぎた?と感じたことを思い出しました。 あらかじめ決まっている時間

          ネタは多すぎる方が良い

          映画『トノバン〜音楽家加藤和彦とその時代』

          Chère Musique 『トノバン〜音楽家加藤和彦とその時代』というドキュメンタリー映画を観てきました。 この数年たまたま、加藤和彦さんのことを思うことが度々あった、そのタイミングでこの映画。 とっても楽しみにしていました 日本のホップミュージック界には、それを確立するすごい時代がありました。 1900年代後半。 本物の音楽家が次々と生まれ活躍して、その世界を作り進めていく。 やりたいこと出来ることを躊躇わずどんどんやって、ただ生きたいように生きていたら、日本にと

          映画『トノバン〜音楽家加藤和彦とその時代』

          曲順の魅力

          Chère Musique 最近、ギターのアルバムを、内容を知らずに聴く機会がありました。 素晴らしい演奏なので、プログラムを選曲のコンセプトも曲の順番も何も知らない状況でも、むしろだからこそ、楽しんで聴きました。 アルバムとコンサートは同じ そしてもう終わりだなと分かったのが、一曲ごとに徐々に盛り上がってからギターの名曲といえばこれという曲を演奏して、その後にとても小さな誰でも知っている短い軽やかな曲を、さらっと演奏したからなのです。 これはコンサートでいうアンコール