見てはいけなかったもの〜押し寄せる記憶。いま再びランディさん

田口ランディさんの本に今までとても助けられた。特に子どもが小さかった頃。
一度、子どもを連れて彼女の朗読会に行ったことがある。私は泣いた。子どもはとなりで絵を描いていた。小学校低学年くらいだったと思う。
終わってから花束を渡しに行った。ランディさんは開演前からも子連れの私に笑顔で話しかけてくださり、気さくな方だった。
渡した花束が枯れなかったらしい。
後からブログで、一か月以上経っても枯れない「魔法のブーケ」と書いてるのを読んだ。嬉しくてお礼の手紙を書いた。
そのあと段々と小説を読むことが私の生活からなくなって、なんとなくランディさんだけでなくどの作家からも離れていた。

noteで再びランディさんと出会い、有料マガジン「ヌー!」はユング心理学などのことが書かれてるというから興味があったけれど、買わずに今まで無料のものだけ読んできた。
でもどうしても見たいものがあり、買った。
それは一枚の写真。

ランディさんの知り合いの方が撮っていたというもので、ランディさんはこれは世に出てはいけないものだと全部シュレッダーにかけて処分したと思っていたら、一枚だけ残っていたというのだ。

有料マガジンを買わないと見られないようになっていて、怖いものみたさで私はマガジンを買った。

見てはいけないものだった。
一気に具合が悪くなった。
心霊写真とも違う。はじめは、え?なんだこれ?と思った。よくよく見てゾッとした。色みから構図まで、パッと見た瞬間にもう不穏なものが漂っていた。その気配ですぐに消せば良かったのに、好奇心が勝った。だからスマホの画面に近づいて見てしまったのだ。

写真を撮った方が病院で体験したという話を読んで、私も大量出血で救急車で運ばれたときのことを思い出した。病院で一度気を失い、その後意識を取り戻し、幽体離脱体験できるかなと内心期待していたがそんなことはなかった。あとは私がみた夢。分析家の先生が「魂ですね」と言った、私たちの大もとのものを握りしめて取り乱している夢。


買い物に行き、二日ぶりにシャワーを浴びて疲れたせいもあるが、写真をみたのが本当に良くなかった。
私がゾンビ化と呼んでいる、末端からじわじわしびれてくる感じを一気に飛び越えて、関節がきしみ筋肉も共に痛くなり身体がずどんと重くなった。取り憑かれたみたいな感じ。
写真を息子には絶対見せないし、私が自分の意志でそういうものを見たことを言ったらきっと怒られるだろう。


一気に記憶が押し寄せてきた。

昔行った大雪山系の旭岳で「これなんだろうね」と言ってガンガン鐘を鳴らして、あとから遭難者の慰霊の鐘だったことに気づいたこと。
そのあと「あっちに行ってみよう!」と散策ルートを歩き始めてどんどん進む私を「お母さん戻ろうよ!」と小学生だった息子が言っても聞かず、「大丈夫大丈夫!」と言いさらに進み、どんどん霧が濃くなって、あっという間に前を歩いてる人の姿も見えなくなったときのことを思い出した。どうしてかわからない。


牛肉薄切りを焼いて、大根おろして、買ってあったナムルセットをごはんにのせて、コチュジャンもつけて、ビビンバ丼にしてガツガツ食べた。とにかく食べないと!危機が迫ると人間の本能に帰るんだろうか。食べたら落ち着いたが、身体の痛みとだるさは残っている。


二度と見ないが、多分忘れられない。
あれは見てはいけない。
せっかく有料マガジン買ったのに、記事を読めるようになるまで時間かかりそう。




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ROMA
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