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私には『坂の上の雲』が難しい理由

※2500字以上の記事です。
 お時間のある時に
 お付き合いいただけると嬉しいです。

※この記事は
 2020年3月5日に書いた記事に
 加筆修正をしたものです。

久しく小説のレビューが
書けていません。
最後に書いたのは昨年の6月でした。

それ以降、
小説を読んでいないわけではなく、
ずっと読んでいる小説があります。

それはズバリ『坂の上の雲』です。

個人的には
司馬遼太郎作品初挑戦で、

どんなものか
楽しみにしていたのですが、
これが難しくて、難しくて
なかなか進まないのです。

手元にある履歴を振り返ると、
私は昨年の5月から
読みはじめたようです。

途中で諸事情により
中断した期間はあるものの
あと2か月で1年経ってしまいます。

確かに全8巻と、
ボリュームのある内容では
あるんですが、

それにしても読むのに
時間がかかり過ぎだと思うんです。

ちなみに、現在は最終巻(8巻)を
読んでいますが、
これまでに費やした期間は
以下のようになっています。

(何度も言いますが、諸事情により
 中断していた期間もあります)

各巻を読んでいた期間
1巻 2019年5月~7月(中断期間あり)
2巻 2019年7月~9月(中断期間あり)
3巻 2019年9月~10月
4巻 2019年10月~11月
5巻 2019年11月~2020年1月(中断期間あり)
6巻 2020年1月
7巻 2020年1月~2月
8巻 2020年2月~

ずっと集中的に
読んでいるわけではないものの、

1巻につき、長いもので2か月、
短くても1か月の期間を
要しています。

本を読み進めるスピードは、
その本自体の難易度、
(文体や語彙の難しさ)

読み手の知識の程度によって
変わるものです。
(読む側が精通している
 分野の本は楽に読める)

今日は、私にとって
『坂の上の雲』が
なかなか進まない理由を
分析してみます。

~私には『坂の上の雲』が難しい理由①~
文章が難しい

司馬遼太郎の作品を
はじめて読んでいますが、
文体は硬め、

文章中に出てくる語句も
難しいものが多いです。

齋藤孝・著『読書力』では、
司馬遼太郎作品は
「中程度の難しさ」
と言われていました。

一般的なエンタメ小説が
「易しい」、
難しい文学作品が
「難しい」とすれば、

その中間にあたるのが
司馬遼太郎作品ということです。

一般的なエンタメ小説では、
誰が読んでもわかりやすい
明快な表現が多いですが、

司馬遼太郎作品は、
時代小説で、

なおかつ、古い時代に
書かれた作品というのもあって、
(‘68~’72年に
 『産経新聞』夕刊で連載)

わからない言葉が
結構な割合で出てきます。

なじみのない言葉でも、
何度も出てくると、
次第に馴染んでくる
というのはあるんですが、

はじめてだとなかなか
スムーズに読みこなせません。

~私には『坂の上の雲』が難しい理由②~
時代背景がわからない

『坂の上の雲』は、
明治時代の日本を舞台に、
1904~1905(明治37~38)年の
日露戦争がメインで描かれています。

この頃の時代背景に
うとい私には、
なかなか物語がスムーズに
入ってこないところがあります。

特に、これは日露戦争
という国同士の戦いが
描かれたものでもありますから、

当時の海外の情勢(特にロシア)
などもわかっていないと、
楽しむ前に、
理解するので手一杯となってしまいます。

また、時代背景とともに、
本作が主人公を中心に
描いた物語ではなく、

たくさんの登場人物の視点から
描いた群像劇であることも
理解が難しい原因ですね。

1~3巻の途中までは、

軍人となる秋山兄弟と
歌人の正岡子規の三人が
主人公といった感じがあるので、
比較的読みやすいです。

3巻の途中で、正岡子規が亡くなり、
日露戦争がはじまったあたりからは、

日本の陸軍、海軍、
ロシア軍と視点が目まぐるしく変わり、
登場人物も一気に増えていきます。

登場人物の中では日本人でも、
なじみのない人物が多いですが、

特に輪をかけて難しいのが、
ロシア人の名前ですね。

クロパトキンとか、
ロジェストウェンスキーとか、
よく出てくる人物ですら、
なかなか人物像が頭に浮かびません。

今さらですが、
読みながら相関図を書いたり、

ネットでどんな人物か
調べながら読んでいけば、
もっとわかりやすかったのかもしれません。

現に、私は日本人の登場人物で
ちょっと興味を持って、
ネットで調べた時に出てきた

長岡外史(ながおかがいし)
という人物の
ロケットのような
口ひげが忘れられません(^^;

長岡外史(1858~1933)
明治・大正期の陸軍軍人、政治家
※Wikipedia より引用

~私には『坂の上の雲』が難しい理由③~
軍事的な内容がわからない

今のところ、
『坂の上の雲』を読んでいて、
司馬遼太郎の作風がわずかに
わかってきたんですが、

彼のスタイルというのは、
おそらく、歴史上の出来事を
小説として描くのと同時に、

そこにさまざまな私見や
付随する知識を
絡めるものになっています。

時折、話が脱線し、
その脱線したところに
非常におもしろい話が
多かったりもするんですが、

軍事的な知識が
私にはほとんどないので、
軍艦の細かい仕様などが
どうにも理解しにくいです。

よって、本作の醍醐味
とも言えるはずの、
海戦の描写が
私にはなかなか伝わっていません。

もっと船のことや、
戦争兵器に関する知識があれば、
スイスイ読めるのかもしれません。

当時の日本は、弾薬の技術が
他国にも負けていなかった、
というエピソードは
なかなかおもしろかったですけどね。

(しかし、基本的に当時から
 日本は戦争をするための資源不足だった)

*   *   *

以上、私にとって
『坂の上の雲』が
難しい理由を挙げてみました。

どこまで読み進めても
難しいことには変わりないですが、

どうせ最終巻まできたのだから、
1か月くらいかけて
最後まで読んでみたいと思っています。

ちなみに、私がこの作品を
読むきっかけでもあったんですが、

私の好きな作家である恩田陸が
20代の頃に丸2日間かけて
全8巻を読破した
というエピソードがあります。

(2日って、速っ(^^;)

この二日間は
至福の読書体験だったと言います。

それでも、恩田陸のように
若い頃から乱読多読の方でも

時代小説は、
池波正太郎や山本周五郎の方に
親しみがあるようで、

司馬遼太郎作品には
高尚で近づきがたいイメージが
あるそうです。

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