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音楽レビュー『cro-magnon city』cro-magnon(2019)メロウでダンサブル、平成に贈るレクイエムも収録


ボストンで出会った三人

cro-magnon(クロマニオン)は、
'94~'06年に活動していた

loop junktion(ループ・ジャンクション)
というヒップホップユニットから
派生したバンドです。

メンバーは、
大竹重寿(Dr. & Per.)、
コスガツヨシ(Gt. & Bass)、
金子巧(Key.)の三人で、

彼らの出会いは'90年代、
アメリカ・ボストンでのこと
だったそうです。

残念ながら'23年に
活動を休止していますが、
メンバー個々の活動は
続いています。

大竹重寿(Dr. & Per.)
東京都町田市出身。
14歳でドラムをはじめる。
'96年、渡米、
バークリー音楽院で学ぶ。

コスガツヨシ(Gt. & Bass)
滋賀県出身。
ベース、ギター、マシーン担当。
Coffee & Cigaretts Band、
dedication、七尾旅人、
UA などと共演。
DJ としても活動。

金子巧(Key.)
幼少期からピアノを演奏。
高校卒業後、音楽短大に入学。
卒業後、渡米し、
バークリー音楽院で学ぶ。
土岐麻子、Roy Ayers、松浦俊夫、
須永達夫、七尾旅人などと共演。

日本人が作った
本場のブラックミュージック

前身のユニットである
loop junktion の音源も
少し聴いてみたのですが、

ヒップホップではあるものの、
ジャズをベースにした
サウンドに感じました。

三人がボストンで出会った
というエピソードからも
わかるように、

彼らはもともとジャズ畑の
プレイヤーで、
ヒップホップと出会ったことで、

その後の音楽活動が
ヒップホップに移行したのでした。

本盤でもジャズをベースにしつつ、
ヒップホップ、ファンクなど、

さまざまな音楽の要素を
組み合わせたサウンドを
展開しています。

三人が作り出すサウンド、
メロディー、リズムは、
ブラックミュージックの影響が濃く、

本場のものと比較しても
遜色のないものです。

私も彼らのことを知らず、
はじめて聴いた時は、
日本人が作った楽曲とは
思いませんでした。

メロウでダンサブル、
平成に贈るレクイエムも収録

いろいろといい楽曲があるのですが、
特にご紹介したいのは、
1~2曲目に収録されている楽曲です。

いずれもシンセのシーケンサーから
はじまる楽曲ですが、

電子音と生楽器の音が
いいバランスで調和していて
非常に聴きやすい楽曲になっています。

また、3曲目の『平成』も
忘れがたい楽曲ですね。

この曲では田我流(でんがりゅう)
というラッパーがラップを
披露しており、

この方の経歴を見ると、
私と同い年というのもあって、
懐かしいワードがたくさん出てくる
平成へのレクイエムとなっています。

(ファミコン、スーファミ、
 スーパーでジャンプを立ち読み、
 とんねるず、ダウンタウン、
 昼にタモさんが回ってた
 ブラウン管 etc)

この曲に限らず、
全体的にメロウなサウンドが
特徴的なんですが、

ただただメロウなだけでなく、
リズムが非常にダンサブルで、
この組み合わせが絶妙なんですよね。

他のアルバムもぜひ聴いてみたいです。


【作品情報】
リリース:2019年
アーティスト:クロマニオン
レーベル:Jazzy Sport

【アーティストについて】
ヒップホップユニット、
loop junktion('94~'06)に
在籍していた三人によって
結成されたバンド。
'06年、デビュー。
'23年、活動休止。

【同じアーティストの作品】

『4U』(2009)
『Hyouge mono-乙』(2012)
『V』(2014)

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いっき82
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