書籍レビュー『漫画のカリスマ』長山靖生(2024)知る人ぞ知るカリスマ漫画家たち
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本屋で見かけてすぐさま飛びついた
9月に発行されたばかりの新刊です。
著者は歯科医の傍ら、評論家として執筆活動を続けている方で、この本で取り上げられているのは、白土三平、つげ義春、吾妻ひでお、諸星大二郎の4人のマンガ家です。
タイトルの通り、「漫画のカリスマ」の4人ですが、恐ろしいくらい世間では認知されていない方々とも思います。
私自身も、実際に読んだことがあるのは、つげ義春の作品だけです(しかも今年、はじめて読んだばかり)。
それぞれ出自の異なるマンガ家なんですが、今の作品に与えた影響はものすごく大きいんですよね。
にもかかわらず、一般にはあまり知られていない、だからこそ、私はこの本に強く惹かれたのでした。
例えば、初期の宮崎駿監督、
あるいは庵野秀明監督
私自身もこの本を読んではじめて知ったのですが、この監督たちの作風には諸星大二郎の作品が大きく影響を与えているそうです。
本書ではそれらの作品も紹介されており、設定や世界観が似ているものもありました。
また、私がはじめて諸星大二郎の名前を知ったのは、YMO 経由でした。
YMO の『SERVICE』('83)というアルバムに『THE MADMEN』という曲が収録されています。
この曲は細野さんが作曲した楽曲なんですが、この曲のモチーフが諸星大二郎の『マッドメン』という作品に由来していたのです。
諸星大二郎に限らず、他のお三方もそうですが、マンガという範囲に限らず、かなり広範囲に影響を与えたクリエイターなんですよね。
なので、どんな分野のマニアでも歴史を掘っていくと、この4人のマンガ家さんにつながるなんていうこともあるかもしれません。
マンガのレジェンドというと
真っ先に手塚治虫が思い浮かぶところですが、実はそれ以外にも系譜があって、例えば、この4人の中では「貸本マンガ」から出発した人もいます(白土三平、つげ義春)。
『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるもこっちの系譜の方です。
そういう意味では手塚治虫から連なる系譜を知っているだけでは、日本のマンガの歴史を知っていることにはならないんですね。
あまり細かく書いていくと、長くなってしまうので、ここまでにしておきますが、この4人のマンガ家が描いた作品は「芸術性」が高いものも多いようで、そういう部分が私としても、気になっているところです。
本書を読めば、この4人のカリスマについて詳しく知ることができるでしょう。
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