音楽レビュー『Travelling Without Moving』Jamiroquai(1996)ジェイ・ケイの多彩な魅力が詰まった名盤
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世界でもっとも売れた
ファンクアルバムとしてギネス登録
全世界で800万枚売れたジャミロクワイの代表作です。
ディスコ的なサウンド、アシッドジャズ、ソウルミュージック寄りな楽曲もあり、幅広い音楽性が味わえます。
アルバムのトップを飾るのは、ジャミロクワイの代表曲でもある『Virtual Insanity』で、日本でも何度も CM 曲として採用された非常に有名な曲です。
時代を経ても色褪せない魅力を持った曲で、懐かしいような新しいような不思議なサウンドが人々を惹き付けてやみません。
②『Cosmic Girl』が
もっともディスコ色強し
この曲がもっとも気に入ったんですが、MV を観てみたら私が高校生の頃に深夜の音楽番組で観たことのあるものでした。
ジェイ・ケイの愛車を使用したドライブシーンをメインにした映像作品になっています。
この映像は非常に印象的で、ずっと覚えていたんですが、当時の私はそれほどこの曲にハマらず(もちろんいい曲だとは思ったが)、曲の方はすっかり忘れていました。
「こんなにいい曲だったなんて」と思えるのは、明らかに私の「耳」の方が変わったせいです。
名曲揃いのアルバムなので
1曲ずつ解説したいところですが、長くなってしまうので、印象に残った曲をいくつか挙げておきましょう。
④『Everyday』は、ソウルミュージックの要素が強いしっとりとした曲で、こういう曲におけるジェイ・ケイの甘い歌声もいいですね。
⑤『Alright』は、このアルバムの中でジェイ・ケイがもっとも気に入っていた曲なんだそうです。粘っこいベースラインと均等なリズムが組み合わさった渋いファンクになっています。
⑦『Drifting Along』はレゲエです。こちらもサウンドに合わせてジェイ・ケイのボーカルの雰囲気が違っており、こういう牧歌的な歌声もいいですね。
⑧~⑨はオーストラリア大陸の先住民・アボリジニの楽器「ディジュリドゥ」をフューチャーしたインストです。2曲がつながったような構成で、⑨にはベースやコーラスが加わりエスニックなファンクに仕上がっています(トーキング・ヘッズ的なアプローチを感じさせる)。
⑩『Travelling Without Moving』は、当時流行っていたビックビート(テクノ+ロック)風のサウンドで、「こういうサウンドもやるんだ!」という意外性がありました。
⑦~⑩は雑多なサウンドのゾーンでしたが、⑪『You Are My Love』から再び王道のファンクに戻ります。シングルカットこそされていないものの、この曲も地味にいいです。
⑫『Spend a Lifetime』は④に引き続き、しっとり系の曲です。
ラストを飾る⑬『Funktion』もまたいいんですよね。宇宙を感じさせるスペーシーな電子音(ドラムンベースっぽいリズム)とファンクを組み合わせた不思議な聴き応えの名曲になっています。
CD版ではシークレットトラックとして⑭が収録されており、これまた見事なファンクが収録されています。8分にもおよぶ長尺の曲ですが、繰り返しのリズムが魅力的で、飽きさせません。
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