映画レビュー『パパはわるものチャンピオン』(2018)プロレスと親子の絆
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想像してみてください
自分が小学生で、プロレスが好きな同級生がたくさんいるとしましょう。そんな状況で、自分のパパがプロレスラーだったとしたら、自慢したくなりますよね。
でも、本作に出てくる少年(寺田心)は、自慢どころか、パパがレスラーであることすら隠しています。
なぜならば、パパはみんなに嫌われる「ゴキブリマスク」、ヒール(悪役)だからです。
少年はパパの仕事を知らなかった
それがわかったのは、偶然、プロレスの会場に入ってしまった時でした。
そこで少年は知ってしまったのです。パパがリングをはい回る「ゴキブリマスク」であることを。
ゴキブリマスクはルールを無視した凶器攻撃を繰り返し、観客から大ブーイングを浴びせられています。
少年はショックでしばらくパパと口をきかなくなりました。
「パパは悪い奴だったんだ、みんなに嫌われている」
こんな事実を知ったら、少年が嫌になるのも無理はありません。
子どもの反応を見たパパはどこか寂し気です。
しかし、パパは今日もリングに向かいます。それが彼の仕事だからです。
プロレスラー・棚橋弘至主演
棚橋弘至選手のことは以前から知っており、その卓越したスター性は知っていましたが、実際に作品を観るまでは、不安を感じたのも正直なところです。
主演の演技がひどかったら、この作品は成り立たないですから、観る前に不安に思うのも無理はありませんよね。
しかし、そんな杞憂はなんのその、さすが棚橋選手!リングの上で見せてくれるスター性は、俳優としても充分なものでした。
「プロレスラー」としてはもちろんのこと、「パパ」の顔も板についており、彼が本物のレスラーであることを忘れてしまうくらいです。
なお、本作には本物のプロレスラーが多数出演し、試合のシーンは、本物のプロレスそのものです。ベビーフェイス役(善玉)を演じる、オカダ・カズチカ選手もいい味を出していました。
プロレスの激しいアクションと家族の絆を描いた温かい作品です。
【原作】