【パブコメ出しました】文化庁:日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律施行規則案、認定日本語教育機関認定基準案及び告示案に関するパブリックコメント(意見公募手続)
ムネアツ。
久々のnoteになってしまいました。そして今日の今日が締切というタイミングで、何ら参考になりませんが、文化庁が8月21日~9月19日の間で実施している日本語教育に関するパブリックコメントに、意見提出しました。
日本語教育をめぐるここまでの一連の動きは、なんというか、関係者のはしくれとしては正に「ムネアツ」で、諸先輩方のご尽力があり、想像の何倍も状況が早いスピードで進み、わぁぁっという感動もあれば、まだまだこれから!という気合もあれば。いろんな想いが沸き上がります。(特に海外ルーツの子どもの日本語教育については、また(まだ)「別」という感じがしますし)
特に生活者の分野については、2018年から海外ルーツの若者・生活者の就労のサポートを始め、コロナ禍以降は本格的にオンラインを中心とした生活者の就労と定着支援を行ってきたこともあって、認定機関化の遡上に上ったこと自体が大きな一歩だと感じています。特に私たちが出会ってきた「生活者」の方々の多くが、在留資格配偶者や定住者、特定活動等により日本における「社会的所属」を持たない状況で暮らしています。技能実習生や留学生、海外ルーツの子どもたちと異なり、彼らの日本語学習は完全に自己責任の状況で、地域日本語教室が身近になければ、たやすく孤立してしまう方々も少なくありません。そしてこうした方々の8割は女性であり、いわゆる「主婦」でありました。
生活者が直面する大変さが女性問題とも深くかかわる状況を目の当たりにしながら、体系的な日本語教育機会へのアクセスをどう切り開いていくか試行錯誤を続けてきたこともあって、認定機関として「生活」の分野が含まれたことで、今後、自治体や民間による取り組みの創出につながればと期待しています。
さて。ということで、今、ようやくゼロが1(イチ)になろうとしているこうした期待感満載の中でパブコメを書きました。生活分野が、生活者を対象にしてあるが故に抱える多様性(それがまた楽しい!)を、公的機関の中でどこまで視野に入れ、柔軟に対応することができるだろうか。小さなお子さんを育てながら、日本語を学びたい、と希望する方々へ、どのような学びの場であることが望ましいのか。その他の留学、就労も含め、日本語教育の専門家の方々による数多くの議論を経て出された「案」が、より良い土台として創出され、日本で暮らす多様な人々の学びとつながりを支えていくことができますように。
パブコメに送った意見
*以下は私個人の見解で、私の所属する組織を一切代表するものではありません。
【就労・生活】の区分について
生活分野においては、学習者の受講形態や過程の設定は多様性に富み、実際の運営が留学や就労とは大幅に異なるものとなる可能性がある。このため、認定基準の設定自体においても就労分野とは切り分けて考えるべきである。就労と生活はそれぞれ切り離して基準を策定したのち、留学・就労・生活の各分野を、同一の機関が実施する際についての在り方等を示すべきと考える
【就労・生活】における「Ⅱ 教員及び職員の体制」(案)①について
教員数について「生徒20人に1人以上(各機関の最低数3人)」とあるが、生活分野においては地域の状況により3人の配置が不必要(または困難な可能性が考えられ、また、本務等教員数についても、生活に関してはそれぞれ「1名以上」としたり、兼務可と明記するなど、状況に応じた柔軟な対応ができるような設計が望ましい。
【就労・生活】における「Ⅱ 教員及び職員の体制」(案)④について
「③教員が遠隔地から授業を行う場合(略)後者以外の場所に指導補助者を配置し、かつ、必要な視聴覚機器等の設備を備えること」とあるが、具体的な例を示してほしい。遠隔授業の利用にあたって、必ずしも教員のみが遠隔地にいる訳ではなく、学習者が全国各地から遠隔授業を受講することも考えられる。また、教員・学習者双方が遠隔地からの授業となる場合も想定されるが、こうしたケースも含めて校舎以外の場所の開設が求められるのか。求められる場合には、どのような場が想定され、また、その際の「指導補助者」の要件や役割とはどのようなものであるのかなど、具体的に例示してほしい。
【就労・生活】における「Ⅱ 教員及び職員の体制」(案)⑤について
1)生活分野における学習者の背景は多様であり、その日本語力にも差があるが、個人によっては4つの技能の間の能力差も大きいことがある。就業期間について、「個々の生徒は就業期間の一部の履修可」との記載があるが、期間だけでなく、1つの過程における技能別に履修するかどうかを選択できるようにすべきである。例えば、生活者の中には来日後数十年が経過し「話す」「聞く」はじゅうぶんに可能だが、「読む」「書く」は初級レベルにあるというような方もおられるため、A1課程の「読む」「書く」のみを受講する、というような柔軟な対応が可能となることが望ましい。
2)修了要件について、「個々の生徒の目標に応じた時間数以上の授業科目の履修と試験の合格等」とあるが、生活者においては、生活上の状況変化により、突発的に履修を中断しなくてはならない状況も想定される。そのような中途で履修を中断した受講者が多数発生した場合に、その数値だけをもって認定の取り消しなどにならないよう、中途での履修中断等については個々の状況をある程度詳細に報告し勘案するなどの対応が必要である。
また、受講生にとっても「修了要件を満たさない」まま日本語学習を中断することで、日本語学習自体に苦手意識などを持つことがないよう、受講生が「できたこと」「できるようになったこと」を認定できるような仕組みを導入してはどうだろうか。(1つの課程内でも技能または単元別の修了を設定可能とする、など)
【就労・生活】における「Ⅱ 教員及び職員の体制」(案)⑥について
遠隔授業について、総授業時数の3/4まで実施可とあるが、残る1/4の対面実施の在り方については、特に全国各地から遠隔授業を受講する受講生が集まる形式の場合に、生活者等が一定の期間(時間)対面でのスクーリングに参加することは負担が大きい。(例えばA1の100時間の4分の1の時間=25時間分のスクーリングを対面で実施するとなった場合に、数日間の実施を想定する必要があり、交通費や時間の捻出などが現実的ではなくなってしまう可能性がある)
対面でのスクーリングについては、参加が難しい生活者等に対して何らかの救済策(居住地内における地域日本語教室での補習を可能とする、など)を検討するか、4分の1という時間数の再検討を求めたい。
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