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自然写真家より・・「最後の一葉」を演出するゴマダラチョウ幼虫

琵琶湖岸のエノキの葉でみーつけた・・

鮮やかな黄色に黄葉したエノキの木
葉にゴマダラチョウの幼虫がいた

ゴマダラチョウは、エノキの葉を食べて成長する。
今、ここにいる幼虫は、晩夏に誕生した成虫が産んだ卵から生まれた子。
この幼虫は、まもなく枝を伝い、太い幹を伝い、地面に下りる。
そして、根元に積もった落ち葉の下に潜り込み、葉の裏にはりついた状態で冬を越す。
来春、暖かくなり、エノキが芽吹くころ、今度は幹を登り、枝を伝い、若葉を食べて蛹になり、夏に羽化をむかえる。
エノキは落葉樹、琵琶湖の強風に吹かれ、葉はどんどん散っていく・・
なのに何故・・幼虫のいる葉は飛ばされないのか??
幼虫はまず、口から糸を吐き、枝についている葉柄部分を、糸でしっかり固定する。
そして、葉の表面に糸布団を敷く、これは葉から体が落ちないようにするための滑り止め。
幼虫は、その布団に身を任せたまま、その葉を食べて成長する。

糸で固定された葉柄部分

これで、どんなに風が吹いても、葉が飛ばされることはない。
こうして、幼虫に糸止めされた葉は、冬になり他の葉がすべて散った後も枝に残る。
残った葉の数を見ると、この木で育った幼虫の数が分かる。
もちろん、すべてが無事育ったとは限らない。
途中でハチに襲われたり、鳥に捕食されたりした幼虫もたくさんいるはず。
教科書などにも掲載される、アメリカの短編小説「最後の一葉」を自ら演出するゴマダラチョウ幼虫・・
鳥たちに見つからず、冬越し出来るかな・・・

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