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「心に残るもの。心に残せる人。」
ウォルター・マーチ著「映画の瞬き」を読んだ。
「地獄の黙示録」
「ゴースト ニューヨークの幻」
「ゴットファーザーⅢ」
などの映画の映像と音響を編集した超一流の映画編集者が書いたこの本は、映画を創る側の視点を知れることができる。
それに彼の考え方や仕事の流儀は様々な分野でも活かすことができるなと思った。
俺は毎日note投稿をする中で、
ライティングの向上というより言語化能力の向上を目指しているから他人が受ける印象は気にしてはいないんだけど、読みやすさ・見やすさは唯一意識している。
そういった読みやすさ・見やすさを向上させる上でも結構参考になった。
ある書籍編集者がこの本がバイブルだと言っていたから読んでみたんだけど、ホント勉強になった。
この本を読んで、
心に残るものは「感情」で
心に残せる人は「本物」だとわかった。
彼が映画を編集する中で一番意識しているのが感情だ。
感情は定義や取り扱いが難しいから映画学校では蔑ろにされる。
なのになぜその感情を最重要視しているのかというと、
最終的に観客の心に残るものは、編集技術でもなければ、キャメラワークでも、役者の演技でも、実はストーリーですらない。感情なのだ。
と書いてあったように最後に心に残るのは感情だからだ。
今まで観たことがある映画を思い出してみると確かにそう思う。
例えば、今公開中の「ジョーカー」は共感を生むストーリーやリアルな狂気を感じる演技が注目されているけど、
その結果多くの人の感情が突き動かされているから話題を生んでいるんだよね。
観客にどのように感じてほしいのか?自分が意図したとおりの感情を観客が最後まで抱き続けてくれたらそれは編集者として仕事を完璧にやり遂げたことを意味する。
と書いてあったけど、「ジョーカー」の編集者は完璧な仕事をしたんじゃないかな。
ただ、これはなにも映画だけじゃない。
本を読んだり音楽を聴いたり芸術に触れたり食事をした時も同じことが言える。
感情が動かされるものほど心に残っているんだよね。
だから何かを創るときにはテクニックやリズム・ストーリーの繋がりも大事なんだけど、一番はどう感じてほしいのか?をまず意識してその感情を抱き続けてくれるように創るべきだ。
それを創れる人が「本物」といえるだろう。
著者はテクノロジーが発達した現代は映像編集にとって良い面とざんねんな面があると言う。
良い面でいえば、安価で高機能な編集ソフトを購入できること。
その性能は昔の編集者であれば誰でも羨ましがるほどのもの。
テクノロジーが発達したおかげでお金も時間も掛けずに誰でも編集ができるようになった。
ざんねんな面でいえば、誰でもできるようなレベルで近づきやすくなったからといって自動的に良い結果が得られるわけではないということ。
「だれにでもできる」とは、たくさんのコックが寄ってたかって作ったスープになる可能性がある。
現代は画材専門店に行けば、ルネサンス期に活躍した画家が高額を払って手に入れたような絵の具を安価で買えるけど彼らに匹敵するほどの作品を描ける人はいるだろうか?
と書いてあってけど、
まさにそのとおりで良い道具を手に入れてもそれを使う人間が大したことなければ活かすことができないんだ。
プロの料理人は高級食材を完璧に活かせるどころか、安い食材だって高級料理並に活かすことができる。
俺みたいな素人はどんなに良い食材だろうが活かすことができない。
それがプロ・本物と言える人と言えない人の違いだ。
じゃあ、どの分野でも本物になるにはどうしたらいいかと言えばテクニックを磨くことはもちろんなんだけど、最重要視すべきはどれだけ相手の感情を突き動かせるかを考えることだ。
なぜなら、上述したように最後に残るのは感情なんだからね。
相手がどう感じてほしいのか?をまず考えてそれを抱き続けてくれるように創るんだ。