「性には逆らえない」
映画・「レスラー」を観た。
かつてのスターだったプロレスラーのランディ。
全盛期を過ぎた今はアルバイトをしながらプロレスをしている。
ある試合後、心臓発作で倒れ医者から引退宣告を受ける。
それを機に、想いを寄せるストリッパーと距離をつめたり、疎遠であった娘との関係修復に努めたりするが・・・
というのがあらすじ。
最近、孤独について投稿しているけどたまたま観たこの映画も
孤独と闘う人たちを描いた作品だった。
男としてランディの事を共感できる部分が多くて泣けた。
(女性が共感できるかは不明)
この映画を観て一番感じたことは、
性(さが)には逆らえない。
ということ。
ランディが全盛期を過ぎても引退せずにアルバイトをしながらドサ回りの興行を続けていた理由は、
それがプロレスラーとしての性だからだ。
娘ともストリッパーとも上手くいかなくても、引退宣告を受け一度は引退宣言をしても、結局リングに戻ってきた理由は、
それがプロレスラーとしての性だからだ。
どんなに肉体が衰えても、良いことが起きなくても、孤独になっても、例え死ぬことになっても、
プロレスラーとしての性だけは逆らえなかったんだ。
性っていうのはどうしてもやっちゃうことなんだから理屈じゃないんだよね。
理屈を並べたところで言う通りにするわけないんだよ。
ランディのことをどうしようもないと見る人はいるだろうし、実際どうしようもないとは思う。
ただ、そのどうしようもなさを直すんじゃなくて開き直るランディはマジでカッコいいんだよね。
俺もどうしようもない性格をしているけど、別に直そうとはしていない。
というか、直せないと諦めもあるし、わざわざ直さなくてもいいでしょと思っている。
もっというと、なんで直さないといけないんだよとも思っている。笑
多くの人は自分の悪い部分の性格を直そうと頑張りすぎなんじゃないかなと感じる。
怒ったり憎んだりしないほうがいいとは思うけど、しちゃうのもしょうがないと思うんだよね。
だって、湧いてきちゃう感情は性なんだから。
性を直そうとするより、湧いてきた感情をどうやってコントロールするかが重要なんだ。
そのコントロールができないと感情の赴くままに行動してしまい
つまり、情弱になってしまうんだ。
自分はどんな感情が湧いてきやすいのかを知るのことが重要なんだ。
ランディはそういった自分の性格を知っていたんだよね。
だから、娘にも
「こうなったのはおれのせい。自業自得だ。」
と言えたんだ。
性を知っていたから、
娘もストリッパーもアルバイトも全て失い
改めて、どんな状況でもリングで戦うという
プロレスラーとしての性を再認識できたんだ。
ラストのシーンで、
やっと想いが通じたストリッパーが応援するのが王道なんだろうけど
そうじゃなく、試合途中で消えていたところもリアルで良かった。
そして、それを確認したランディは微笑し大技をかける。
医者にも好きな人にも理屈を言われて止められようが、
リングに上がるランディはマジで最高だ。