「およげ!たいやきくん」童謡なのにシブい
ワンフレーズをきっかけに…
クワバタオハラのくわばたりえさんのYouTubeを見ていて、
料理しながら「イヤになっちゃうょ〜」と軽く歌う場面がありました。
何気ない生活のほんの一瞬ですが、私にとっては気に止まったんです。
あ〜久しぶりに聴いた〜!えーと… そうそう、
「およげたいやきくんだ!」
続きを歌いたくなったんですが、
歌詞が曖昧で物語になりません。
そりゃそうだ、もう約35年前の子どものころの記憶。
もちろん社会人になって、ラジオ番組でかけてきたけども
集中しては聴いていなかったかな…
フジの子ども番組
改めて Wikipedia を見てみると、フジテレビの
朝の子ども番組である『ひらけ!ポンキッキ』の
オリジナルソングとして1975年に作られたそうです。
へぇ〜、フジだったかぁ〜
朝から子ども番組を編成する局って、
今思っても挑戦的で改革的!さすがCX!
カップリングが、なぎらけんいちさんの
「いっぽんでもニンジン」なのは記憶していました。
両A面級のどちらも人気を博したことから、
日本一のシングルレコードの売り上げを記録し、数々の賞を獲得。
ギネスにも掲載され、相当な大ヒットだったことが分かります。
発売から48年後。
2023年10月も終わろうとしている今、
改めて歌詞を見てみました。
… … …
擬魚?化したけれど…
そう言えば、こういう内容でした!
要約すると…
ヒェ〜 最後が衝撃的ー!!
この話をイタリア人の夫にすると、
「かわいそうー」となんで僕にその話をしたの?と。
知りたくなかったようですが、私は誰かに言いたかったんです。
それにしても、食べ物のたいやきだけど命があり、
擬人化ならぬ "擬魚化" していますが、
最後はやっぱりたいやきなんです。
よくよく考えると不思議な話ですね。
歌詞を見ながら歌ってみると、歌手の子門真人さんのマネをしたくなる。
粘り気のある歌い方から、だんだん誇張した表現に…
すると、子どもの頃に見ていたあの映像を見たい欲望に駆られました。
林家ペー師匠のようなおじさんや、
手をクルクル回しながら泳ぐたいやきくんの様子などを
もう、見ずにはいられない!
なんてヒマなんだ‼︎
けれど、回顧するのは刺激になるし悪くない。
現に、ここに書き留めているから有意義としよう。
そして検索をかける…
期待通り出てきました。
当時の動画を発見!
たい焼きにしてはカラフル〜
コレコレッ!こんな絵だった!
ちょろっと前髪の生えた人面魚。
いざ、再生!
▶︎
えっ、アニメーションじゃなかったの⁉︎
描いた絵の一部が動いている!
紙芝居に細工がしてあるようなものだったんだー!
絵にズームインしたり、カメラワークで動いているように見せかけている。
海の中のシーンは、映像に歪みを加工することで、
ゆらゆらと表現していました。
今見ても斬新!
制作費が確保できなかったのか、
限られた時間の中で急遽作ったのか分かりませんが、
大人が子どもたちのために手作りしているように見えるんです。
後にも先のもこのような作品はない。
ぃゃ…なんだか見たような。。。
そう言えば、つい最近まで、インスタでこんな動画を何度も見かけました。
ブサイクな人が、手を加えることで美しくなることを、
紙の絵を使って表現しています。
よくできた細工で、計算された作品に見応えがあるんです。
無心で見入ってしまうのでご用心。
脱線しました。
童謡だけどシブすぎる
「およげ!たいやきくん」のヒットは歌詞もさることながら、
音楽性にもあります。
全世代に大ヒットした楽曲ですが、
決して楽しい陽気な音楽ではありません。
しかも、子どもらしさもほぼない。
歌謡曲だと言ってもいいくらい。
イントロのギターの滋味深さ、ずっしりと重いドラム、
我が道を貫くウッドブロックの軽さ、
弦楽器: ストリングスの切れ味、そして最後のあっけなさ…
シブすぎる!
発売された当時の様子を知りませんが、容易に想像できます。
『Gメン’75』、『必殺』などの時代劇の雰囲気と結びつく…
ちなみに、1975年の流行歌は、
演歌とフォークと歌謡曲が共存していました。
この年の一番人気曲は「昭和枯れすゝき」に続き、
「シクラメンのかほり」「時の過ぎゆくままに」
「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」…
エレキギターとブラスが一緒になる楽曲も多かったです。
作曲家は後に、「パタパタママ」や「ホネホネロック」を手がけます。
まだこれは、キャンディーズなどのアイドルやロックのノリがあるため流行歌として理解できます。
こう考えると、「およげ!たいやきくん」は格別です。
三人のおじさん
もう一つ気になるのが歌声。
子門真人さんは、発売当時の年齢は31歳。
意外にも若い!
ですが、子どもの頃に何度も見たもじゃもじゃ頭の姿は、
かなり年上のおじさんのイメージを持っていました。
60歳くらいに見えていたように思います。
だから「たいやき "くん"」と言うよりも
どちらかと言うと「たいやき "おじさん" 」
そして当時人物は、たい焼き屋の店主も、
たいやきくんを釣り上げる人も、
みんな「おじさん!」
子どもの頃は、何の疑問を持たずに、一緒に歌っていましたが、
35年の年月を経て、おじさんばかりだなと。
実際に、流行当時は、サラリーマンにも通ずるものがあるとして、
支持されていたようです。
改めて、興味深い作品だと思いました。
現代では絶対生まれないであろう、映像と音楽性と歌声。
経済が右上がりの時代だからなのでしょうか。
貴重な時代に生きてこられたんだと、
一つの音楽から多面的に考えさせられました。
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