マーケターよ、たくさん稼ごう。そしてめいっぱい遊ぼう。
お金、特に、金持ち or(VS) 貧乏を語るネタは発火しやすい。人によって意見が分かれるのは火を見るよりも明らかだし、言われてムカつく人も少なくなから、致し方ないとも思う。
がしかし、そんな可燃性の高いネタを、ヤマシタ マサトシさんがぶっ込んできた。そこかしこに見られるきめ細かな言葉選びと配慮がヤマシタさんの人間性を表していて素敵だ。大丈夫、僕は味方だよ♪
さて、僕もこのnoteでいろんなお金にまつわることを書いてきた。
実際、誰よりもお金のことを考えているのは「お金が無い人」で、経済的に余裕がある人は日常であまりお金のことを考えていない。考える必要がないからです。
「人生、お金じゃない」と言う人ほど、お金に追われ、お金に囚われている。人生、お金じゃないが、お金はあった方がいい。愛はお金じゃ買えないけど、お金があると愛は潤うのだから。
ということで、今回のテーマは、マーケターとお金(収入)について。
幅広く活躍できるマーケターになりたいのなら、まずは一旦、大いに稼ぎ、大いに消費するべきです。これはもう絶対。この世に絶対はないけど、絶対です!
年収400万の人に、2,000万円のアウディとポルシェで悩む人の気持ちはわからない。年収600万円の人に、タワマン億ションと庭付き一戸建てで悩む人の気持ちはわからないからです。
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20代の頃、コンサル会社にいたときの話です。先輩に連れられ、高所得者向け出版社に行き、マーケティングの相談をされました。
「この雑誌は、年収3,000万円以上、資産1億円以上の方向けの雑誌なのですが、これからどういった特集を組んだら良いか思案しています。何か良いアイデアはありますか? また、どうやったら定期購読者を増やせるでしょうか。狙うはストックリッチではなく、フローリッチです。」
そのクライアントはあなたの目の前に座り、期待に胸を膨らませ、じっとこちらを見ています。マーケのプロとしてのあなたが口を開くのを待っています。
さあ、どうする? 何をしゃべる?
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僕は何もしゃべれなかった。一言も発することができなかった。年収3,000万円の人…資産総額が1億円以上の人…どんな人だ。年齢も、性別も、着ている服のブランドも、タバコや葉巻や酒の嗜好も、ゴルフだかクルーザーだかの趣味も、どんな地域の、どんな家で、どんなインテリアに囲まれて暮らしているのかも、いくらくらいの高級外車に乗っているのかも、どんなレストランでどんな料理をどんなワインとともに楽しんでいるのかも、どんな腕時計をどのくらい持っているのかも、とにかくなーんにも!わからなかった。
結果、一言もしゃべれなかった。なにしろ、アイデアのかけらすら頭に浮かばなかったんだから。
一方の先輩は違った。
旅行のトレンドはどうだ、洋酒は、服は、帽子は、メガネは、サングラスは、時計は、アクセサリーは、革財布は、葉巻は、食器は、インテリアは、車は、家は、夜遊びはと、次から次へと出てくる。クライアント(出版社)もノリノリで特集記事やプロモーション計画について話に花が咲いている。
悔しかった。それなりに自信があったから――そして実はその先輩よりも戦略コンサルでは負けないと思ってたからなおさら――悔しかった。
そのとき、僕は誓いました。
経験してないことはイメージすらできない。一旦、圧倒的に稼いで、圧倒的に遊ばにゃ駄目だ!経験したあとに、自分にぴったりのライフスタイルに戻ろう、と。
一人35,000円の高級フレンチや、完全予約制のお寿司は、食べてみなけりゃわからない。味だけじゃない。そこに来ている人は、どんな人たちで、どんな文脈を消費しているのか。それを体感して、実体験として理解することがマーケターにとって最も重要なことです。
年収300万円の人の生活。年収650万円の人の生活。年収900万円の人の生活。年収1,200万円の人の生活。年収2,000万円の人の生活。年収3,000万円以上の人の生活。当たり前だけど、ぜんぜん違う。
年収だけじゃない。何歳か。どこに住んでいるのか。独身か既婚か。子どもの有無は。車は何に乗っているのか。モノ志向かコト志向か。趣味はあるのか、あるとすれば何か。ラグジュアリーブランドは好きか。見栄っ張りか否か。仕事観、人生観、家族観、幸福観、お金観。それによってもぜんぜん違う。
何も、多くのお金を稼いで成金よろしく豪遊しつくせ!と言いたいわけじゃない。むしろ逆です。年収1,000万円を超えると、多くの人は見栄が出てきて、中途半端な散財をし始める。
そして、自分よりも収入が低い人を下に見る人も少なくない。そうなったら一貫の終わりです。
数百万円の車の購入を決めるくせに、ユニクロで1,900円のシャツと2,900円のシャツで3分悩む。1億円の家に住みながら、発泡酒を飲む。でも、ここぞというときは、人に2万円でも3万円でも躊躇なく奢る。100円や1,000円の差で躊躇することがある一方で、数十万円の買い物を一瞬で決めてることもある。
マーケターは、100円の商品も、10万円の商品も、3万円の旅行も、120万円の高級クルーズの旅も、買う人と買わない人の気持ちを、縦横無尽に想像できなければなりません。
そのためには、できる限りレンジを広く、いろんなことを体験した方がいい。いろんなことの経験者になった方が強い。
トライバルには、「人の2倍働き、人の2倍遊べ。すべてが仕事で、全てが遊びである」という行動規範があります。
これは、先に紹介した僕の原体験からきています。「無い人は、有る人の気持ちを想像することが難しいけれど、有る人は、無い人の気持ちを想像することができる」からです。
グレず、傲(おご)らず、まっすぐ稼ぎ、まっすぐ遊ぶ。
マーケターは、知識だけじゃつとまらない。ゴリゴリの仕事人間じゃ、ワークライフバランス派の人の気持ちはわからない。無趣味の人には、趣味人の人の気持ちはわからない。
人としての幅を広げ、奥行きを深め、いろいろな人の喜怒哀楽を、ちゃんと想像できるようになること。思わず触手が動いちゃう「企(くわだ)て」ができるようになること。
マーケティングは楽しい。眉間にシワを寄せてうんうんうなっていたって、良いアイデアなんて思いつかない。経験してなきゃロジカルな戦略なんてたてられっこない。
自分自身が、一番の消費者であること。マーケターよ、たくさん稼ごう。そして、めいっぱい遊ぼう!
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