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【記載例あり】伊勢市創業・移転促進補助金 事業計画書の書き方/作成方法 #2
伊勢市創業・移転促進補助金とは伊勢市での創業や市外からの事業所移転に対し、最大160万円が補助される制度です。
本補助金では「事業計画書」の作成と、その内容について審査会で「プレゼンテーション」を行い、申請者の事業が補助金の目的に合致しているか、実現可能性があるかを判断するための審査を経て、補助金交付の可否が決定されます。
他者に対して事業内容を説明するためには、説得力のある事業計画書が必要不可欠であることはもちろんのこと、計画書を作成する過程で、自身のビジネスプランを具体的かつ明確に整理することができるため、補助金申請の無有に関わらず、「事業計画書」の作成は創業において重要な役割を果たします。
大変な作業ではありますが、頑張って作成していきましょう。
事業計画書のフォーマットは以下よりダウンロードが可能です。
※補助対象者(1)〜(4)のうち、ご自身の申請区分に該当するものをご選択ください。
事業計画書(補助対象者(1)) (Word)(28.2KB)
事業計画書(補助対象者(2)) (Word)(28.4KB)
事業計画書(補助対象者(3)) (Word)(27.5KB)
事業計画書(補助対象者(4)) (Word)(27.7KB)
▼申請区分がご不明な方はこちらからご確認ください。
Ⅰ.事業計画書
①申請者
ダウンロードした事業計画書フォーマットを展開すると以下のような内容になっています(本文は補助対象者(1)のフォーマットを使用し、個人事業主を想定した内容となっているため、補助対象者(2)〜(4)または法人は若干内容が異なる場合もありますが、概ね同様の項目ですのでご安心ください)
![](https://assets.st-note.com/img/1734076880-3vMbwKOQjN6PuR7T1ZyoBHsV.png?width=1200)
こちらは申請者情報を入力する項目となっておりますので、求められている情報を記載し、チェック項目へチェックを入れていただければ問題ありません。
重要なのは(1)職歴および(2)創業の動機・目的ですので、これらについて解説させていただきます。
(1)職歴
職歴は、創業者の信頼性や専門性を示す要素であり、事業計画書の説得力を左右する重要な項目です。
特に、創業予定の業種や関連分野での実務経験、スキル、マネジメントやリーダーシップの実績が評価されます。以下のポイントを確実に押さえて記述していきましょう。
<記載ポイント>
期間:従事していた期間を明確に示す。
勤務先:会社名や組織名を具体的に記載する。
役職:担当したポジションや責任範囲を記載する。
担当業務:具体的な仕事内容や実績を詳述する。
![](https://assets.st-note.com/img/1734248442-L8xSecDN7oJuIC4Zst5UrWOq.png?width=1200)
(2)創業の動機・目的
事業を始めるに至ったきっかけや経緯、さらに事業に対する想いを、自身の経験や具体的なエピソードを通じて「なぜその事業をはじめるのか?」「事業を通して達成したい目的」を記載します。
また、伊勢市外から移転される方は「なぜ伊勢市に本店移転を決意したのか?」という理由を説明できると尚良いです。
<記載ポイント>
・思いつきではなく、創業を以前から考えていてタイミング的に適切か?
・創業することによって実現したいことは、明確になっているか?
・創業することに対して家族や周囲の理解はあるか?
・創業後に困難が待ち受けていても、それに打ち克つ強い創業動機があるか?
![](https://assets.st-note.com/img/1734248694-J4BDlgzWP5TVKf0hyjG1abdo.png?width=1200)
②実施形態
続いて、事業の実施形態について記載していきます。
こちらも各項目で求められている情報を記載すれば問題ありませんが、一部わかりにくい点がありますので、以下でそれぞれ補足します。
![](https://assets.st-note.com/img/1734077172-BEQ4pycjYh75f2Sm9K8dU0wW.png?width=1200)
(1)開業・法人設立日(予定日)
個人事業主として開業する場合は「開業届」を提出する予定日を、法人の場合は「法人設立日」予定日をご記入ください。
(2)事業開始予定日(営業開始予定日)
上記と少しニュアンスが似ていますが、こちらは開業や設立の手続きが完了した後、顧客に対するサービスや商品の提供を本格的に始める日をご記入ください(店舗営業であれば店舗開店日)
(3)主たる業種
業種は日本標準産業分類(総務省)の分類コードA〜Tに該当する業種をご記入ください。
業種の後に具体的な事業形態やサービス内容を示す補足(例:「飲食サービス業(フレンチ)」)を加えると、さらにわかりやすくなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1734227077-NGiv7V2zhWeq1LQfKRDMr3Bs.png?width=1200)
(4)役員・従業員数
法人の場合は「役員・パートを含む従業員数」を記載し、個人事業主の場合は事業者本人も「従業員」とカウントします。
![](https://assets.st-note.com/img/1736085658-5JaCI8vkASwR0q9pLjo6Fc1r.png?width=1200)
(5)事業に要する許認可・免許等
事業内容によっては、国や都道府県などの行政機関に対し、許認可の取得や届出が必要となる場合があるため、関係する行政機関に問い合わせを行い、必要な許認可や届出の条件を事前に確認しておく必要があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1734226312-3iCD2TXdMgxz8k5eYF1hHQN0.png?width=1200)
以下に許可が必要な業種を簡易的にまとめましたのでご活用ください。
③事業の概要
事業概要は、事業計画書の中でも審査の要となるセクションです。
以下、事業計画書のフォーマット(1)〜(5)のそれぞれのセクションについて解説します。
![](https://assets.st-note.com/img/1734192405-GJprK8IznqmY9wdi2x6Z7UaR.png)
(1)経営理念・方針
前述した「創業の動機・目的」と以下の事業の方向性や提供する製品・サービスの内容と結びついていることを示し、一貫性を保つことが重要です。
例えば、地域社会の課題解決や新たな価値の創造を目指す場合、その目的が提供する商品・サービスの特性や顧客に提供する価値に反映されている必要があります。
<記載ポイント>
・誰に?何を?どのように提供し、何を達成したいか?
![](https://assets.st-note.com/img/1734248784-4ytTBFlAe6JoLOa9nYpW0mCw.png?width=1200)
(2)事業の具体的な内容(製品・サービス等の概要など)
本セクションでは、経営理念・方針をもとに、「どのような製品やサービスをどのように提供するか?」の具体的な詳細が求められており、審査項目である1.事業の独自性および2.事業の実現可能性を示す必要があります。
<審査項目>
1 事業の独創性
・技術やノウハウ、アイデアに基づき、他社との差別化が可能な特色ある商品やサービスを自ら編み出しているか。
・他社との商品・サービスに比べ、品質、価格等の面で優れているか。
2 事業の実現可能性
・商品やサービスのコンセプトに具体性・現実性があるか。
![](https://assets.st-note.com/img/1736085500-oekuQthZCmTFqEjJ0SNBRG2P.png?width=1200)
特に定められた形式や記載ルールがあるわけではありませんが、以下の①〜④の項目を押さえることで、わかりやすく事業内容を伝えることができます。
①想定顧客(メインターゲット)
想定顧客を明確にすることは、立地、店舗の雰囲気、製品・サービス内容、価格帯、接客スタイル、宣伝方法(SNSでの情報発信含む)など、事業全体の方向性を決定する上で極めて重要な要素です。
メインターゲットを設定する際には、全ての顧客を満たそうとする必要はなく、あくまでメインターゲットを中心に据えた計画を立てていきましょう。
特に伊勢市は観光地であるため、地元住民をターゲットにするのか、それとも観光客を中心に据えるのかで顧客ニーズが大きく変わるため、しっかりと検討する必要があります(以下、旅の目的に関する消費者調査参照)
また、メインターゲットの設定において、年齢や性別、顧客ニーズなど、様々な切り口、組み合せがあり、全てを網羅する必要はありませんが、可能な限り具体的に記載していきましょう。
<想定顧客の切り口> ※一般消費者を対象とする場合
・観光客/地元住民
・年齢層
・性別
・職業(会社員/事業主/専業主婦)
・既婚/未婚
・子供の状況(有無/年齢/人数)
・趣味/嗜好
・生活スタイル
・情報を取得している媒体(雑誌/SNS)
・顧客ニーズ(何を求めているか?) 等々
②店舗情報
店舗を構えて事業を行う形態であれば、駐車場や席数、定休日や営業時間など店舗の基本的な情報を記載します。
テーブルや席数、店舗面積、営業時間、定休日等は売上予測の基礎データとなるため、しっかり明記しましょう。
また、内外観のイメージを添付すること、審査員や金融機関等、読み手がよりイメージしやすくなるため、推奨しています。
<記載ポイント>
・内外観のイメージ画像
・駐車場(駐車可能台数)
・テーブル数/席数
・定休日
・営業時間
・店舗面積 等々
③提供製品/サービスの詳細
本セクションにおいて最も重要な要素であり、想定顧客(メインターゲット)に対して何を?どのように提供するのか?製品やサービスの具体的な内容や特徴、提供方法や価格帯を明記し、計画の具体性、独自性、実現性を理解してもらいましょう。
店舗の内外観同様、イメージ画像を添付することで読み手がよりイメージしやすくなります。
また、これらの内容は、想定顧客(メインターゲット)のニーズを満たす魅力的な内容である必要があるため、メインターゲットが「ほしい!」「利用したい!」と思ってもらえるような内容になるまでしっかりとブラシュアップしていきましょう。
<記載ポイント>
・提供製品/メニューの内容(イメージ画像を添付できると良い)
・製品・サービスの提供方法
・価格帯/客単価(適当な価格帯であるか?設定根拠は?)
・想定顧客(メインターゲット)のニーズを満たすものになっているか?
④差別化ポイント
上記で記載した製品・サービスが「他社・他店とどう違うのか?」を示す差別化ポイントは必ず盛り込みましょう。
製品やサービスの情報が溢れている現代において、自社を選んでもらうために他社との違いを打ち出し、「当店・当社でなければならない」といった選ばられる理由を作る必要があります。
例えば、自社のウリやセールスポイント、競合他社と異なる価値や客層、品質、価格の優位性を具体的に打ち出すなどです。
また、それら差別化を可能としている「自社の独自技術」や「ノウハウ」、「強み」「仕入先」、「特許」など、根拠となるものも同時に示しましょう。
<記載ポイント>
・「ウリ」や「セールスポイント」が明確であるか?
・競合他社との違い(客層、品質、価格、ポジション等)は?
・顧客に自社を選んでいただける理由は?
・差別化された製品・サービスを提供できる根拠は?
他方、差別化(他社とどう違うのか?)を視覚的に表現するためには「ポジショニングマップ」や「比較表」が役立ちます。以下からダウンロードできますので、任意ですがご活用ください。
(3)事業に関する経験、知識、人脈
上記の事業内容を実現できることの証明として、事業に関する経験や知識、人脈を記載することで、2.事業の実現可能性を示す必要があります。
<審査項目>
2 事業の実現可能性
・事業を適正に実施するための経験、知識、人脈があるか。
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「計画している事業を本当に実現できるか?」を判断するポイントとなりますので、前述した職歴をもとに、具体的な実績や事例を挙げて説明することに加え、経験や知識をどのように活用するかを記載しましょう。
店長や管理職など、マネジメント経験があれば、運営管理能力をアピールすることができます。
一方で、創業予定業種において直接的な経験がない場合は、計画自体の信憑性が著しく低下します。その場合、経験者の雇用、専門家との連携、具体的な行動計画を提示するなど、経験不足を補う相応の工夫を盛り込む等、計画の信頼性を補強する必要があります。
また、事業の開始・継続においては、周囲の協力が必要不可欠となるため、仕入先や外注先等の提携企業や協力者も明記し、実現可能性を示しましょう。
<記載ポイント>
経験/知識
・計画している事業の経験や知識、実績の具体例(職歴をもとに)
・店長や管理職等のマネジメント経験(職歴をもとに)
・上記の経験や知識が事業にどう活用されるのか?
人脈
・仕入先、外注先等の提携企業や協力者
・上記の人脈が事業にどう影響するのか?
(4)事業を取り巻く環境と今後の動向
ここでは、事業にとって重要な外部環境について記載していきます。本セクションでは自社だけでなく周辺状況の調査が必要となります。
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事業を取り巻く環境について記述する際には、商圏内の人口やターゲットとなる顧客層のニーズや動向、競合他社の状況、店舗や事業の立地条件を中心に記載していきましょう。
例えば、商圏内の人口統計や観光客数、地域の消費傾向などの客観的データ(統計やレポート)を添付したり、自社の立地条件について、交通の便や観光地へのアクセスの良さといった利点を記載する一方で、駐車場の不足や周辺環境との課題とその解決策に併せて触れるなど現状を正確に把握することで説得力のある事業計画となります。
伊勢市内の人口/観光統計は伊勢市の公式ホームページから取得できますので是非ご活用ください。
また、現状だけでなく中長期視点で、上記の事業環境がどう変化するのか?という動向も併せて記載する必要があります。
例えば、伊勢市内のメインターゲットなる人口は増加するか?減少するか?減少するとすれば、どう対応していくか?などです。
<記載ポイント>
事業を取り巻く環境
・メインターゲットのニーズや動向、人口、市場規模等
・商圏内の競合状況
・立地の利点と課題および解決策
・根拠となる客観的データ
・上記が、事業計画の実現可能性、収益性、継続性に関連しているか?
今後の動向
・中長期的視点での事業環境の変化予想と対応策
・上記が、事業計画の実現可能性、収益性、継続性に関連しているか?
(5)地域への貢献
この項目では、計画している事業が地域社会にどのような形(事業を通じて新たな需要や雇用をどのように生み出すのか)で貢献するのかを具体的に記載します。
例えば、地域住民を対象にした採用計画や、若年層、高齢者、主婦層など特定の層に焦点を当てた雇用促進の具体例を挙げること、こうした取り組みがどのようにして実現されるかについて、具体的な行動計画や仕組みを詳細に記載し、地域への貢献性をアピールしましょう。
これらの内容を記載する理由は、本補助金の審査において、事業が単なる個人的な利益追求ではなく、地域全体の発展に寄与するものであることを求められているためです。
<審査項目>
5.地域貢献
・新たな需要や雇用の創出に貢献できる事業であるか。
![](https://assets.st-note.com/img/1736250031-pjvB8FDnTzuVGi0OH16C2LqK.png?width=1200)
④事業全体に係る資金計画
本セクションでは、事業の立ち上げにいくらかかるのか?その資金をどう調達するのかを記載します。日本公庫 創業研究所が行なった「2023年度新規開業実態調査」によると金融機関からの調達額は平均768万円、自己資金が平均280万円、その他親族や友人・支援者からの調達が平均132万円であり、事業に係る資金の調達において、24%が自己資金であることから、事業に必要な資金全体の3割程度は自己資金から準備することが一般的となっています。
以下の手順に沿って具体的な資金計画を策定していきましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1736252281-ivtcUdgZpsaMIlYrnub9e4jh.png?width=1200)
手順(1)必要な資金
まず、事業を開始するために必要な資金を計算します。
見積もり金額と照らし合わせ正確に記載していきましょう。
設備資金
事業開始時に必要な設備をすべて書き出し、業者や購入先からの見積書に基づいた正確な金額を記載します。この際、設備の種類や数量を明確に示し、設備資金の合計額(A)を算出します。
A=設備資金の合計
手順2:運転資金
月の固定費(仕入、地代家賃、人件費、光熱費、宣伝広告費など)の3か月分を計上するのが一般的です。これらの合計額を運転資金(B)として計算します。
B=運転資金の合計
手順3:必要な資金の合計
設備資金(A)と運転資金(B)の合計額が、事業全体に必要な資金の合計となります。
A+B=必要な資金の合計(調達資金の合計)
手順(2)調達方法
次に、必要な資金(A+B)をどのように調達するかを明記します。この際、調達方法ごとに金額を記載し、必要な資金合計(A+B)と調達資金合計が必ず一致するようにします。
補助金交付希望額(C)を記載し、それ以外の残額(A+B-C)について、自己資金、金融機関からの借入、またはその他の手段でいくらずつ調達するのか、その内訳を示します。
補助金交付希望額(C)=①創業等支援分+②賃料分
手順(3)補助金交付希望相当額の調達方法
補助金は後払いが原則であり、実際の給付までに半年以上のタイムラグが発生するケースが発生するため、補助金交付希望額相当分(C)についても先行して支払いを行う必要があり、このつなぎ資金をどのように調達するかを記載する必要があります。
これについても、自己資金、金融機関からの借入、またはその他の方法による調達額を具体的に記載します。
注意点
金融機関からの借入を計画する場合、「調達済み」「事業実施期間中に調達見込みがある」「将来的に調達見込みがある」のいずれかに該当するかを明確にする必要があります。ただし、調達済みでない場合、審査では不利になる可能性が高いです。理由は、借入依存度の高い計画では、金融機関からの借入が実現しない場合に計画自体が成り立たなくなるリスクがあるためです。
<チェックポイント>
・単位:千円で記載しているか?
・設備資金および運転資金の見積金額が過大になっていないか?
・必要な資金の合計と調達方法の合計は一致しているか?
・補助金交付希望額に間違いがないか?
・補助金交付希望額相当額の調達方法が記載されているか?
・それぞれ計算ミスがないか?
・金融機関からの借入を行う場合、チェックボックスにチェックが入っているか?
⑤事業スケジュール
本セクションでは、誰が何をいつ行うのかを明確に記載し、事業が計画通りに実施可能であることを示す必要があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1736255988-5SO8JcgPkurbwDHZXf1WCaQt.png?width=1200)
特に記載方法に指定はありませんが、実施形態とスケジュールに分けて記載すると理解しやすいです。
また、表やガントチャートを用いるとより視覚的に伝えやすいため、記載例のような表とガントチャートのテンプレートを作成しダウンロードすることができますので、是非ご活用ください。
事業スケジュールは、3ヵ年分のスケジュールを設定する必要があるため、1年目は主に事業の基盤を整え、顧客認知を拡大するための活動に重点を置き、2年目からは、事業の安定化と成長を目指した活動に移行、3年目には、事業の拡大と収益性の向上に重点を置く等、各年ごとの方針をあらかじめ決めておくと記載しやすいです。
2年目、3年目の計画についてはイメージが難しい場合もありますが、創業予定事業の経験や知識を基に具体的で、説得力のあるスケジュールを計画しましょう。
<記載ポイント>
・誰がいつ何を行うかが明確か?
・設定された人員で、スケジュールを無理なくこなせるか?
⑥売上・利益等の計画
事業計画を実現するためには、これまでの計画を定量的に整理し、売上や利益の具体的な見通しを立てることが不可欠です。セクションでは、事業の実現可能性や収益性はもちろん、事業の継続性を判断するポイントとなります。どれほど素晴らしいアイデアや事業であっても、売上や利益が上がらなければ継続することができないためです。
以下の手順に従って具体的な算出根拠を示しつつ、売上・利益の計画を策定していきましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1736260435-yRPv2X5O0WpwjtuszVgkACxI.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1736260887-fRJVvsepTzXHcU7mq6tQaxC1.png?width=1200)
手順(1)売上高の算出
まずは達成可能な売上高を計算していきましょう。売上高は基本的には「単価×数量」により算出しますが、業種やビジネスモデルによって売上の算出方法が異なるため、以下をご参考ください。
<業種別 売上高の算式>
飲食業:客単価×有効席数×回転数×営業日数(年間)
サービス業:客単価×時間あたり接客数×稼働率(年間)
小売業(店舗):1m2(1坪)あたり売上高(年間)×売り場面積
小売業(ネット):アクセス数(年間)×成約率×単価
宿泊業:1部屋あたり単価×稼働率(年間)
製造業:設備の生産能力(年間)×設備数×単価
1人あたり生産数(年間)×製造人数×単価
※飲食店であれば、ランチとディナー、平日と週末では客単価/回転数の増減があるため、それぞれを算出するとより良いです。
手順(2)売上原価の算出
売上原価とは製品の製造や仕入れにかかるコストを指します。
厳密には異なりますが、ここでは「売上原価=仕入高」と簡便的に考えていただいても問題ありません。業界平均値や自身の職務経験などを加味して、原価率を設定し、売上原価を求めていきましょう。
<売上原価の算式>
売上原価=売上高×原価率(%)
業界平均値については以下をご参考ください。
手順(3)売上総利益の算出
売上総利益とは売上高から売上原価を差し引いた利益のことを指します。
事業の収益性を示す基本的な指標の一つであり、「粗利益」とも呼ばれます。
ここでは単純に、算出した売上高から算出した売上原価を差し引いて売上総利益を算出しましょう。
売上総利益=売上高-売上原価
手順(4)販売管理費の算出
販売管理費とは商品やサービスを販売するための活動や、事業全般を運営するために必要な費用を指します。
販売活動や管理業務に関わる経費をまとめたものであり、「販管費」とも略されたり、個人事業主では単に「経費」と呼ばれ、代表的なものは以下のとおりです。
<代表的な販売管理費/経費>
・役員報酬(法人のみ)
・給与賃金(従業員の基本給、残業代、役職手当等)
・法定福利費(健康保険/厚生年金等の会社負担分)
・福利厚生費(従業員健康診断費用、居住手当、懇親会費用、食事補助等)
・水道光熱費(電気代、ガス代、水道代)
・地代家賃(事務所や店舗、倉庫や駐車場の賃料)
・広告宣伝費(チラシ作成費、WEB広告等)
・通信費(電話代、インターネット料金等)
・消耗品費(事務用品や日常的に消費する備品)
・旅費交通費(出張の交通費、宿泊費等)
・支払手数料(振込手数料、決済代行手数料等)
・租税公課(事業税、固定資産税、自動車税、印紙税、登録免許税等)
・荷造運賃(発送用段ボール、宅配料金等)
・損害保険料(火災保険、賠償責任保険)
・修繕費(エアコン修理費、設備メンテナンス費用等)
・減価償却費(建物や設備、車両等の資産の使用に伴う価値減少)
・外注工賃(業務を外部に委託した際の支払い)
・支払報酬(税理士等へ支払う顧問料等)
・雑費(明確に分類できない少額の経費)
※人件費=(役員報酬+給与賃金+法定福利費+福利厚生費)
1ヶ月分の上記販売管理費(経費)合計×12より年間の販売管理費を算出します。Excelやスプレッドシートを活用することで、計算ミスの抑制や修正が容易になりますので是非ご活用ください。
販売管理費(年間)=販売管理費(1ヶ月)×12
手順(5)営業利益の算出
営業利益とは「売上総利益(売上高-売上原価)」から「販売管理費」を差し引いた「本業の儲け」を表す利益を指します。こちらも完全にイコールではありませんが、個人事業主でいえば「事業所得」と考えていただいて差し支えありません。
営業利益=売上総利益(売上高-売上原価)- 販売管理費の合計
また、個人事業主の場合は、借入金の元金返済や利息の支払い、税金や保険料などを差し引いても、生活を維持できる事業所得の水準である必要があります。
<チェックポイント>
・単位:千円で記述しているか?
・売上高、売上原価、販売管理費の算出根拠が記載されているか?
・算出根拠が現実的か?無理がないか?
・営業利益(事業所得)は返済、支払後も生活を維持できる水準か?
・それぞれ計算ミスはないか?
数字に慣れていない方にとっては少し難しく感じるかもしれませんが、事業を行ううえで数字は避けて通れない重要な要素です。
大変ではありますが、しっかり根拠を積み上げ、積算していきましょう。
また、簡易的ではありますが、作業負担を軽減するため計算ツールを作成しました。以下からダウンロードし、ご活用ください。
Ⅱ.収支予算書
収支予算書では、補助対象経費いくら必要なのか?その資金をどう調達するのかを記載します。
④事業全体に係る資金計画と似ていますが、収支予算書は事業全体に係る費用ではなく、補助対象経費となる費用のみを記載します。
以下の手順に沿って収支予算書を記載していきましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1736391671-6GuP71otYm5eW3niHzO8sQfU.png?width=1200)
手順(1)創業等支援分に該当する補助対象経費の記載
創業等支援分に該当する補助対象経費とは、以下のうち創業に必要と特定できる経費を指します。
![](https://assets.st-note.com/img/1736393025-W5V206QRgSp7KsFIjwUu4CfG.png?width=1200)
まずは、本補助金の対象経費とする「事業所の改装に係る工事請負費」「設備費」「マーケティング調査費」「広報費」の金額を支出の部のA欄(記載例参照)にそれぞれ記載していきます。
その際、見積書をもとに目的物、数量、単価(税込)等を1つずつ積算根拠として記載していきます。
A=創業支援分の補助対象経費金額(税込)