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高強度練習への過信

「超回復の原理」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
スポーツをやっている人なら常識だと思いますが、トレーニングというのは筋繊維を壊し、筋肉はそこから修復されると以前よりも強化されるというものです。
ほとんどのトレーニングはこの原理に従って実施されているものと思われます。

ところが、長距離に関しては経験の浅いランナーや陸上経験者ほど勘違いしがちなことがあります。それは、高強度の練習をできるだけ多くやったほうがより強くなれる、という考え方です。

私も4、5年前まではとにかくポイント練習(高強度練習)をやれば強くなれると思っていました。ポイント練の効果が100だとすればJogの効果は30~40くらいで、いかにしてJogの頻度を減らしつつポイント練を増やしていけるかが肝という理解でした。当時はJogのペースも遅かったので、実際にそういう面はあったと思います。

ところが、最近はポイント練の効果はせいぜい80くらいで、Jogもやり方によっては60~70の効果が狙えることが分かってきました。それなら調子がイマイチの時にポイント練習を強行して失敗して効果が40しか得られないよりは、おとなしくJogして60~70を確保するほうがトータルではプラスだと考えるようになりました。

また、当然ながら高強度練習の後にはその反動もあるため、回復に充てる期間はJogの強度を上げにくくなります。そうなると無理してポイント練習を組み込むよりは、余裕を持ったスケジュールを立てるほうが練習効果の機会損失を防げます。ポイント練習を「やらなければいけない」と思う時は大抵ダメで、「やっておいたほうがいいかな」くらいの時のほうがうまくいきやすいように感じます。

5年、10年といったある程度長いスパンで結果を出そうと思ったら、練習をやるべきかどうかの見極めは精度を上げていく必要があります。短期間なら質と量をゴリゴリ追求するだけでも結果が出せることもありますが、そうなると頂上を高くはできません。高いレベルに到達するためにはある程度の時間も必要です。

ひたすら練習して質と量を求めていくと、どこかでは必ず頭打ちになります。それがいつ訪れるかは個人によって違うため一概には言えませんが、いつか壁にぶつかるのは間違いありません。ケガをするか、記録が伸び悩むか、メンタル的に燃え尽きるか。それを回避するためにもトレーニングには幅とゆとりが必要だと感じます。

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