ヴィーガンズ・ハム ~ 激オモロ不謹慎ブラックコメディー
「ヴィーガンズ・ハム」っていうものすごい面白いコメディ映画を観ました。これを書いてる2024年1月現在、アマプラ特典で無料で観れました。
ネタバレするので前もって何も知らずに観たい人は読まないようにしてください。でも、別に知ってて観ても面白さが損なわれるタイプの映画でもありません。
過激派ヴィーガンに店を荒らされた夫婦が、店を荒らした犯人の一人を車でハネちゃって、そいつの肉を加工したハムを店に出したら超ウマイって評判であっという間に完売。
売り切れちゃったので肉を仕入れるためにヴィーガンを狩りまくるっていうとんでもない話なんですが、明るくてポップでテンポのいい映像で、まったくグロくないです。
ヴィーガンなんて言葉は最近よく聞きますけど、アベマプライムとかの討論番組でテーマとして取り上げると激論に発展することも。
こういった思想はしばしば原理主義的なところへ陥りがちで分断を生むこともある・・・みたいに真面目に考えながら観るような映画じゃないです。
全力でふざけてるのを笑うっていう超ブラックなコメディ映画です。不謹慎だっつって不愉快に感じるような人には向いてないと思います。だって90分ずっと不謹慎なんだもの。
藤子不二雄Aの漫画でも同じことを感じますけど、イヤなやつの描き方が素晴らしいんです。執拗なイヤな奴描写が最高です。
主人公夫婦の友達の、超儲かってる肉屋をやってる夫婦の成金発言の連続とか、ヴィーガンの人たちの人を見下すいけすかない感じとか、終始レッドゾーン超えのイヤな奴描写です。もう最高。
徹底してイヤな奴描写をしてるので、そいつらを狩るシーンは痛快でしかないんです。
そしてそのシーンのポップさが素晴らしい。ステッペンウルフの「ワイルドでいこう」をBGMに、野生動物の狩りの映像と、そのやり方になぞらえた夫婦のヴィーガン狩りの映像が交互に流れるっていう爆笑演出。
夫の方は肉屋としての仕事に誇りを持っており、女性や子供は狩らないとか、人殺しなのに一応自分の中で線引きがあるんです。基本的に善人なんです。
それに対して妻の方は、儲かるんだからガンガン狩りましょうよっていう考え。女性だろうが子供だろうが、ヴィーガンの人を獲物としか見ていないっていう悪い奴なんです。
最終的に、心臓にペースメーカーを入れているヴィーガンの青年・ウイニーを狩ってしまって、その肉から出てきたペースメーカーが発端となって夫婦は捕まるんです。
ウイニーは子供の頃からいじめに遭っており、心臓の病気で苦労しているというかわいそうな青年なんです。
裁判所でのラストシーンも渋いブラックユーモアで締めてくれます。後悔していることは?と問われた妻が「ウイニーを狩ったこと」と答えるんです。
もしこれが夫が言ったんだったら罪のないウイニーを狩ってしまって後悔となるんでしょうが、妻が言ったというのが素晴らしい。だって、ウイニーさえ狩らなければ捕まらないで済んだってことですから。
しかし、ヴィーガンの人が観たら怒ってくるのかなあ。私なんかは「翔んで埼玉」観て爆笑する埼玉県人ですけど、どうかヴィーガンの人もそういう感じで観てくれたらいいのになあって思います。