読書の本質
読書は大事、若いうちから本を読む習慣をつけておけ、と20代のころよく先輩や上司から言われたものだが、言っていたことが最近になってなんだかよくわかってきたような気がする。ただ単に年をとっただけなのかもしれないけど。
あのときの先輩、上司たちが今のぼくと同じ想いで言っていたのかは定かでないが、ただ読書をすれば良いというものでもないというのは少し乱暴な気もするので、その本質を少し考えてみたいと思う。
ぼくはもともと読書家ではなかった(もちろん今も)ように思う。少なくとも中・高・大ではせいぜい教科書ぐらいで、ほとんど本を読んだ記憶がない。いや、教科書もろくに読んでなかったかもしれない。
ただ、記憶もない小さい頃は絵本をエンドレスで親に読ませていたり、最近、長女が小学校で本を借りてくるようになって思い出したが、”ズッコケ三人組”という児童文学はちょうど長女と同じ小3ぐらいからハマって読んでいた記憶が蘇った。
そんな読書というものをそこまでしていなかった僕だが、なぜか国語の読解だけは勉強しなくても点が取れた。よく、読書をすると読解力が身につくというが、それはひとつの側面でしかなくて、たぶん読書をたくさんする子は勉強もちゃんとしている、とかそんなところではないだろうか。もし、読解力が読書によるものだとするなら、それは漫画の力が大きいのではないかと思う。
漫画も立派な読書
中・高・大で本はほとんど読んでいないと書いたが、漫画を本に含めるのならばこの期間が一番本を読んでいた時期かもしれない。で、あればやっぱりぼくは読書家と言ってもいいのかもしれない。
通算200巻のギネス記録漫画”こちら葛飾区亀有公園前派出所”を全巻持つ(当時はたぶん180巻ぐらいまで)友人の家に入り浸った小学生時代、”スラムダンク”、”H2"、”蒼き伝説シュート”などのスポ根漫画に影響を受けた中学生時代、授業中にいかにバレずに漫画を読むかがブームになった青春の高校時代、深夜のコンビニバイトでとにかく暇な時間を潰すために週刊誌から麻雀漫画まで読み漁った大学時代・・・。
就職して妻と付き合ってるときも、インドアな我ら夫婦のデートは専ら漫画喫茶だったり、最近も娘と鬼滅の刃を一気読みしたり。
漫画には随分と時間を費やしたようにも思えるが、漫画をたくさん読んだことで、後に活字ばかりの本に触れたときにも頭の中で映像化できる技術が高まったのかもしれないと今になって思ったりもする。
一応軽く調べてはみたが、漫画が読解力に良いという発信は見受けられなかったので、ただのぼくの思い違いである可能性は否定できない。
就職後は読書の目的が変化
そんなぼくだが、就職活動中に出会った本(過去記事参照)で、苦手だった面接を克服できた経験もあり、上司たちもうるさいので就職後は通勤時間に本を読むことが割と習慣になった。
とはいえ、ぼくの本を読むスピードは異常に遅いし、ほぼ電車の中でしか読まないので座れたときなどは寝てしまったりもして、せいぜい月に1〜2冊程度しか読んでいない。
さらに、このときはビジネス本ではなく、東野圭吾、誉田哲也、湊かなえなどのミステリー小説や警察小説などが中心。
正直、本を読むことが自己投資であるとは、面接で身になった経験をしたにも関わらず、当時は微塵も思っていなかった。ただ単に、エンターテイメントとしてベストセラー小説たちを読み、ただただ物語を楽しんでいた。
転職して、徐々に年次を重ねるとともに、後輩との接し方や組織のあり方に悩みまではいかないまでも疑問やモヤモヤとしたものを感じるようになり、そこから課題や問題にぶつかる度にその解決ができそうなビジネス書を読むようになった。
これまで、人間関係やマーケティング、組織等さまざまなジャンルのビジネス書を読んだ中で、全く別のジャンルの本でも言っている根本的なことは同じであったりすることが多いことに気がついた。
そこから少しずつ仕事に対する考え方やものの視点みたいなものが開けていったような気がする。
まだぼく自身も薄ぼんやりという状況なので、明確なことは言えないがとりあえず自分がおもしろかったと感じる書籍はどれも、そんなに大それたことを言っているわけではなく、その著者の失敗や経験から得た考え方やちょっとした工夫について語られている。
読書にはこういった自分自身が経験せずに、ノーリスク(せいぜい本の代金ぐらい)で他人の失敗や経験で得た知見を吸収できると考えるとかなりコスパのいい投資であると今にして感じるようになった。
これを学生時代に気づけていたら、もう少し歴史の勉強にも身が入ったのかな…などと思ったり、思わなかったり。
自分に合った読書法を身につけるのが先決
さまざまな本を読んでいくと、なぜかどんどん読み進められるものもあればなかなか読みすすめることができない本が出てくる。
それは本のおもしろさ、自分の興味にも比例するものなのだろうが、少なくともタイトルや帯を見ておもしろそうだと興味を持って購入した本だというのに、こんなにも差がでるのかというぐらい読めない本も存在する。
どうすれば効率的にインプットができるかを考え、You Tubeなどで著名人の読書法なども参考に、本に蛍光ペンで線を引いてみたり、読んだ内容を自分なりに要約してアウトプットしてみたり、といろいろ試してみたが読書のタイミングが落ち着いた環境で読めることが少ないぼくにとってはどれも続かず・・・。
そこで、頭に入っていかない、なかなか読み進められない本は途中で読むのをやめてみた。
少ないおこづかいで購入した本なので貧乏性のぼくにはなかなかの決断だが、時間がかかってなんとか最後まで読んだ本というのは、大概は全くと言っていいほど頭に入っていないことが多く、むしろ他の本を読んだり、別のことをする時間を無駄にしてしまっていると考えた。
ぼく自身、本の内容を自分に置き換えて考えながら読書をする。大抵、自分の糧となっているような本を読むときは、内容を自分自身の場合であればどうなるかを空想している。そのため読むスピードは遅いが、それでも頭に残らない本を読んでいるときより早く読み進められるし、そういう本はおもしろいと感じてちょっとしたスキマ時間を使って読もうとするので、結局は自分自身がおもしろいと感じているかどうかなんだろうと思う。
そんな読書法なのでぼくにとっては、著者によって概念を図式化されて体系化されてる本は頭に入らない。
あくまでも体系化をするのは自分自身に置き換えてからなので、この手の本はぼくには合わないようだ。むしろ、文字がひたすら羅列してある方が、内容に没頭できるし、自分自身で体系化がしやすい。
こう考えてみると、読書の仕方ひとつとっても自分自身の読み方を確立するということは早いうちにやっておくとその後の読書効率は爆上がりするだろう。
結局のところ、ただ読んでいるだけでも脳裏に深く焼きつく言葉や考え方はあるし、これまで考えたこともない視点を知るだけでもその後の頭の使い方に大きく影響を与えるはずなので、必ずしも記憶しておくことが大事なわけではなく、自分1人では考えられなかったことや知らなかったことを知る、だけでもう充分価値はあるように思う。
コロナ時代の読書法
先程も書いたがぼくは本を読むのが遅い。特に子供が生まれてからはまず落ち着いて家で本を読むことは夜にしかできず、夜はもう子どもたちのパワーに押されてヘトヘトだったりすることが多いので、すぐに眠くなってしまい本に集中することができないため、通勤電車が一番集中して読書できる貴重な時間だ。
しかし、昨今のコロナによるテレワークの普及で、通勤が半分近くになったことでぼくの貴重な読書時間が半減してしまった。
テレワークを開始する前のこれまでなら通勤の時間帯に読めばいいと最初は思っていたが、家にいると子どもたちの食べ散らかしが気になって掃除機をかけたり、朝ごはんの食器が片付いていないのが気になったりしてしまい、その時間を読書に費やせない。noteも週1ぐらいでは投稿していきたいし。
なんとなく、コロナで家にいることが多く、仕事もままならないモヤモヤの状況の中で、以前より興味のあった”中田敦彦のYou Tube大学”での書評動画を見て、見事に書評動画にのめり込んだ。
他にも”サラタメ”さんや”アバタロー”さんなど書評動画で、自分では到底読めないほど”読書”をすることができた。要約が非常に上手なことに加え、独自の視点からの見解なども非常に役立つ情報が多かった。
それとあわせて動画コンテンツでハマったのが、経済メディアNews Picksの動画だったが今回は読書がテーマなので、これはまた別の機会にでもご紹介できればと思う。
このコロナ時代となり、YouTubeなどの動画コンテンツのみならずvoicyやオーディオブックなどの音声コンテンツでは書評なども多く聞くことができる。
何より、いいのが書評の動画や音声コンテンツは長くても20〜30分程度で要約してもらえており、そこでより興味を持った本は自分で買って読んでみるといったことをするようになってから、ハズレを引くことがかなり少なくなった。
ついつい、パッケージとコピーに惹かれて買ってみた本も、中身が全く入ってこなかったりすると読むのが億劫になるし、読むのをやめてしまう。
事前の書評を聞いておけると、そんなギャンブルなようなことはせずとも自分にあった本を見つけやすいというはありがたい。
さらに書評で予習をしている分、脳への定着も早く、生産性の高いインプットができているように感じている。
随分と長く書いてしまったが、勉強したいのに何をしたらよいかわからないビジネスマンや読書が苦手な人にとっても漫画や音声コンテンツ、動画などなんでもいいので他人の失敗や経験を吸収することは、早いうちからやっておくことをオススメしたい。
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