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同じ速度で歩いてくれる人だけが好きだった
私があなたに尽くすのは、きっとあなたのためではないんだと思う。あなたに優しくすることで、あなたにも優しくして欲しい。それは本当の優しさでは無いのだろうけど、それでいいと言って欲しい。
もしもここがいちばん安全な場所だとしたら、私はこんなにも悩んでなかったのだろうか。
あなたが飲むコーヒーを美味しいと思えるまで、あなたは私と一緒にいてくれるのだろうか。
劣等感を奥の奥の奥まで押し込んで全てを嘘にしてしまえれば良かったのに。流されないように、沈まないように。必死に紐を掴んでるけど、きっと全然意味なんてなかったんだろうな。
私の生きている価値は誰がどうやって示してくれるのかが分からないから、こんなに必死に生きてしまうのかなと思ってしまう。ポケットにぐしゃぐしゃで入ってるレシートは、捨てるために貰っているなんて思いたくなくて、それでも大切にすることは出来なかった。
私が求めているもの、あなたが与えてくれるもの。私がどれだけ話してもあなたには伝わらないもの。私がどうしても手に入れられないものはあなたが代わりに手にしてくれればいい。
あなたに振り回されてると感じる時、あなたが振り回してると思う相手はきっと私ではなくて、それはなんだか生卵を丸呑みしたような気持ち悪い感覚だった。あなたが与えてくれる安心感だけを、私はずっと信じていたかったのに。
夜になると静かな騒音が怖くて、逃げた。逃げ場所なんてないのは分かってるから走るしかなかった。疲れた頃には外は明るくなってて、思ったよりも遠くに逃げてしまったからタクシーで帰った。どうせ帰ってきてしまうのだから逃げなければよかった、といつも後悔してしまう。
あなたが優しくなければ、私あなたを許さずにすんだんだよ。あなたがそばに居ることに慣れてしまって、私はひとりが怖くなりました。夜桜だって、ドライブだって、映画だって、温泉だって、あなたは何も叶えてくれなかったのに。全然怒る気にさせないんだから笑っちゃうくらいずるいよ。
私、あなたの強い視線が怖くて、格好良くていつもドキドキしてしまう。強い口調で私のことを縛り付けるのに、優しく解いて抱き締めるから、どんどんあなたに勝てなくなるの。いつも自信があるあなたが泣きながら私と離れたくないと言った時、この人だけは手放しちゃいけないと思った。あなたには絶対に言ってあげないけど、私のこの感情は、きっと愛だと思うよ。
汚い感情も醜い表情もあの日のあれも油っこい食事と一緒に吐いてトイレに流すから、私に魅力がないことに気付かないで。ずっと私に騙されて、ずっと私のことを好きでいてね。そしたら私、あなたの後ろをずっと着いていけるから。手なんて繋がなくても、大丈夫。大丈夫だよ。
「同じ速度で歩いてくれる人だけが好きだった」は、劇場という映画のナガタくんのセリフです、一緒に歩いてる時もそうだけど、きっと同じ速度で成長して変わっていける人のことも指してるんだろう、という誰でも考えそうな感想を持っています。