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『同じ味付け』に怯まない


 どんな人にもそれぞれ『好きな味』があると思う。
 濃い味が好き、薄い味が好き、辛い、甘い、苦い、いろいろある。
 価値観と同じで味付けの好みというのは人それぞれ、他人の食の好みにいちいち突っかかって文句を言うのは品がない。その味付けを他人に強要して、それ以外は許さない!とかなんとか暴走しているのであれば戦争になっても構わないけれど、基本的には『へー、それもおいしいんだ、でも私はこの味の方が好きだな〜』で良いのである。

 別に、お料理とか好きなラーメンとかの記事ではない。
 すまない悪気はない。ラーメンなら味噌が好きだ。
 砂を噛むような気持ちで最近ちょっと書いているお話があって、もうその砂の味がつらくてつらくて、ちょっと小休止的に考え事を書きたくなっただけなのである。砂の味だけならともかく奥歯まで削れて痛む始末である。自分で書いて自分で頭を抱えているのである。バカである。もはやお家芸の領域に達しつつある。自己免疫不全としてもいい。

 ともかくこちらの記事の内容としては、自分の作品の内容や展開のパターン、すなわち、性癖についての話。そんなに難しい気持ちでお読みいただく必要は一切ないので、心配しないでほしい。ミズノさんは元気に砂を食っている。

 そう、ここ最近、砂の味を口いっぱいに広げつつ、なぜだかいつまでも振り切られない人と深夜の国道16号線でデッド・ヒートを繰り広げながら掲載している『Fused Glass』とかいうこれまた懲りずにどうしようもない話を書いていて、一瞬思ったのだ。

 私ってば、また歳の差男女書いちゃってるじゃない!

 遡れば、note を始めて半年くらい? 経過した頃に載せたお話があって、主人公ではなく、あくまで重要な登場人物という位置づけの『葵』という女性がいるのだが、彼女と彼女の夫の嶺二は9歳差、多分ここ最近読んでくださっている方々もなんとなく把握してくださっているロミ子と吉岡(再掲おまけ話の『やりなおし』に出てきた二人)は13歳差、まだ掲載を取り下げていない『春の月』に出てきている春子さんと安田も13歳差、そして書いている私本人が何を隠そう歳の差婚当事者である。10歳くらい違ってご想像の通り夫の方が年上なのだが、どうやらこれは世間では歳の差婚に該当するらしい。

左端の女性が『葵』ちゃん
ロミ子と春子さんよりちょっとだけお姉さんです

 ちなみに妹も歳の差婚である。というより身近な女性の9割が歳の差婚をしており、どこかでもチラッと書いた気がするが、私は小さい頃『女の人は年上の男の人としか結婚できない』と結構本気で信じていた。そんなこと全然ないんだけどね。

 そう、ミズノさんはおっちょこちょいのスットコドッコイなので、油断するとついつい、自分の大好きな味付け、つまり『男性側が年上の歳の差男女』を飽きずに出してしまうのだ。ほぼ無自覚である。実際の人生にまで組み込んでいるのでこれはもう一生ものである。不治の病としてもいい。

 だっておいしいんだもん、年の差男女味。

 だめだ、これでは妖怪人喰いアラサーなのでもうちょっと突っ込んで書こう。

 私は年上の男性が好きだ。
 もちろん全ての男性に対して思っていることではない。
 ちょっと年上とかではだめなのだ。10歳くらい上がいい。
 別段、彼らに経済力を期待しているわけでも、生活の安寧を頼っているわけでもない。私は私一人食わせていく分には全く不自由がない。奨学金にヒタヒタにつけ込まれてしょっぱめの漬物みたいになっているけど、食ってはいける。
 養ってほしいとも思っていないし、『養ってあげる』と上から言われた日には多分日本で一番速い瞬間湯沸かし器よりも速くキレ散らかすくらいにプライドがある。どうしようもない。でも夫がたまにお小遣いという名目で集めてきてくれる新500円玉とかは喜んで収集している。

 要は、ちょっとした部分でだけ、お子様気分を味わいたい。
 冷静に考えてみれば究極の贅沢がしたいのだ。
 何度も言うが金銭的な期待はしていない。生活の期待もしていない。なんなら我が家の場合は私の方が学歴があるし、医療職時代の収入は夫を上回っていた。分不相応の働き方だったから寿命だいぶ縮んだけど。

 学歴やら収入やら、そんなもんは私たちの価値に関わらない。お金も学も、まああればいいけど、もっと大事なことは、まっとうに働くことである。夫は現時点で私の人生の2/3以上の年数、働き続けている。この人に、ある種の人々が宗教的に偏愛する学はない。
 ないが、私が知らないことをなんでも知っていて、私や、他多くの人ができない乃至はやらないことを、なんでもできる。みんなの快適な生活の地盤を黙って支えている。気づかず、ただ踏みにじる愚か者も世にはいるけど。

 つまり尊敬できる年上の男の人が好きなのだ。

 ミズノさんの働き方や収入、今は別に、全然である。目に見えて手に入れやすいものは、すなわち失われやすいものでもあるから。

 でも、内臓を悪くする働き方をやめて収入が減っても、おいしいお米がいつもおうちにあって、なくなりそうになったらパルシステムのお兄ちゃんか夫が運んできてくれるから、ミズノさんはとてもハッピーだ。どっちもいなけりゃてめえで運ぶができれば運んでほしい。

 最高じゃない? 前提として、ずっと一緒にいてくれる好きな男の人が、ちょっとした部分でだけは、ずっと甘やかしてくれるのって、すごい最高だ。

 私が書くお話に出てくる登場人物たちは、全員私で、全員私ではない。
 とても近い人はいるが、女性側ではなく、年上の男性たちの方に近い。それは現在の私が、彼らには遠く及ばなくても、社会に出て働き、まったく一般的ではあるがある程度の金銭を得て、『食っていく分にはどうにかなる』の成功体験を積み重ねているから。子どもや若い人から見たら(中身がどれだけボンクラアンポンタンでも)頼もしく見えているかもしれない。

 登場する女性たちは、あえて言うなら過去側、金銭を得る手段が分からず、社会の構造や、どこに正しく頼るべきなのかも分からない、ほとんど社会的に無力であった子どもの頃の私の一部を宿して生まれた。

 これもまた他の記事のどこかで書いたような気がするんだけど、私は彼女らを助けに行きたいのだ。

 夫のように、年上の、頼もしくてたくましい、やさしい男の人の姿を借りて。

 つまり自分を自分で助けに行こうとして書いている。
 実態としてはセラピーなのよ、これ。

 残念ながら、子どもの私を大人の力で助けに来てくれる人がいなかったのだ。
 本当に辛い。
 もう30歳過ぎてるんだけど、終わったというか自分で一旦自分に決着をつけたことなんだけど、やっぱり時々悲し過ぎて泣いて起きることがある。
 でももう自分でなんとかするしかなくなっちゃったのだ。
 やるしかねえのだ。

 だからしょっちゅう『誰のためにも書いてねえ』だの『他の人のことなんか知らねえ』と暴言を吐いている。真面目に小説を書いて、真面目に小説に向き合っている人から見たら激烈にムカつくようだし言いたいこともあるようだが、うるせえ!!お前のことなんか知らねえ!!すっこんでろ!!小説のお作法なんか知るかボケ!!わざわざ探し出してまでこっちくんな働け!!としかコメントのしようがない、すまないくたばれお前に謝る気持ちはない          去ね         。ミズノさんは義務教育の時点で学業に敗北しているから日本語がそんなに得意ではない。

 それで、内容的には16号線やら122号線あたりをカッ飛ばしている有様なのに、振り切られずに様子を見てくれるやさしい人たちがnoteにはいるんだけど、そのやさしい人たちについては、セラピーに付き合わせちゃってるからいつもいつも申し訳ない気持ちになる。ごめんね。いつもありがとう。新菜も、ちゃんとなんとかなるから心配しないでちょっと待っててね。

 それでさらに、こと『#官能小説』としていると、まあセクシャルな意味での性癖が浮き彫りになり、好みに性行為が付随される分より範囲が限定的になっていくと思う。

 どういうことかって1年連続同じ味付けのカレーを食う感じである。
 かの伝説のバントで魅せたイチローもちょっと『えー』って思うかもしれない。思わなかったらごめん。あのバントかっこよかったよ、野球はマジでタガログ語くらいよく分からないけどなんか盛り上がってファビュラスな気持ちになったからよかった☺️ 
 勝ったの? あれは??

 いいやちがう、イチローのバントの話ではない。セックスの話である。

 前述の通り、私は歳の差男女味が好きだから、セックスシーン自体もそういうことになる。男性側にリードを……というより、ひとまわりくらい年下の女性を甘やかしてやってほしいだけなのだ。成人した女性として対等にセックスを楽しむのではなく、体は大人にはなっているけど、うまいこと大人になれなかった女性を大事にしてほしいというだけ。

 顕著なのはロミ子と吉岡くんのところで、まあ書いてある通りの感じだからあえてここでグダグダは言わないし、リンク先を貼ったりもしないから大丈夫である。下書きに戻すくらいには基本的に誰にも読んで欲しくない。何が大丈夫なのかは分からないけど日本人はよく大丈夫っていうから大丈夫である。

 私は女性の体で生まれ、心身の性自認が一致しているから、男性の性的な機序のことはよく分からない。一生分からないと思う。そして別に分かりたくもない。分からないことは分からないままでいいことも、少なくとも私にはある。
 だから基本的に、身体反応については女性側で、動作の描写は両性、気遣いについては男性側へ祈りを込めて書いている節があって、書き終えてから『男の人もそういえば読んでるっぽいよなあ』とふと思ったりもする。

 私のnoteや性的表現を含むお話を読んでくれる人の比率の偏りはどうも顕著で、(こちらが推測する限りでは)女性が多く、私はめちゃくちゃ嬉しい。私は女の人が好きだからだ。なんかまるまるしてて優しいよね、女の人ってね。よく飴とか、チョコレートとかくれるし。ポッケに常に入ってる?ありがとう☺️🍬✨

 でも、男性がきてくれることもある。ひょいっとスキをくれる人、コメントまでくれる人、様々だ。常にちょうど良い距離を保ってくれる男の人、もっと自然な私の言葉でいえばなんかちょうどいいところから見ていてくれるおじさん・・・・たちがいて、性的描写についてどう思われているのかは分からないけど、その男の人たちが、まあ人生は本当に色々だとは思うんだけど、根本的な部分では、女の人を大事にしてくれる人だと信じている。好きなタイプの年上の男の人たちなんだと思う。いや、おじさんか。お一人、はっきり年齢がわかる人がいるけど母とほぼ同い年である。

 歳の差男女味が好きな理由をつらつら書いたが、私はこの『歳の差男女味』をnoteで書いていてよかったな、と思ったことがある。

 ひとつは、何度でも何度でも書くし、私は痴呆症の限界までこのコメントを忘れないでお守りにするつもりなんだけど、同じように(比較的大幅な)歳の差が好きなnoterさんから某作品について『地獄の切れ端をしかと見た』としていただいたこと。これは、書かなきゃ得られない宝物だった。今でもいつもそっと見守ってくれているこれぞネイキッドと名高いザンザスでも振り切れないどころか並走かましてくる女の人だ。私はその人が書く官能小説が大好きで、何度でもスキを押したいのに一回しか押せないし、一回強めに頭を打って記憶を失った上でもう一回読みたいと思っているのに今このボディで頭を強めに打ったら死ぬので打てない。
 ポケモンが『わざ』を忘れるみたいに、お手軽にポカン!と忘れたいんだがどうにかならないもんか。きっと『あ、あの人か』と分かってもらえると思う。ぜひ読んでほしい。少し古い時代の洋画を観るようで贅沢な気分になれる。チリコンカンを食べたくなる。

 それから、もうひとつ。
 残念なことにnote上でのアカウントは終了された方がいらして、その方は、記事内で私の作品について触れてくださった。ちょろっと描いた感じのイラストですら大事にしてくれるやさしい女の人で、もうその記事が公開されていないこと、note上のアカウントを終了されていることからお名前は伏せ、記事のスクショも載せないが、『年上の男性に甘やかされるとはこういうことか』といった旨のことを書いてくれた。
 嬉しかった。今でも嬉しい。

 だから私は一生連続しかねない『歳の差男女味』に怯まずにいられる。
 同じ味付けを出し続けていても、誰かには気に入ってもらえる。
 こういう味もあるんだ、としてくれる人がいる。

 私の記事に、『非会員ユーザーからのスキ』がつくことがある。
 歳の差男女味を『こういうことか』としてくれたやさしいあの人かどうかは分からない。
 でも、そうであってくれたら嬉しい。

 お約束していた紙の本や紙のカレンダーが、日々に押し潰されて遅々として進まず、本当に申し訳ない。さらに下書きにまで戻してしまってすまないったらない。
 でも、現実に紙にはなっていて、売り場に並べていないだけなのだ。

 『春の月』まで収録したおまけ集が表紙も含めて完成したら、ヘラヘラしながら『見て見て〜』と記事にしているに違いないから、もし、ご覧になっていたら、お声がけをいただけるととても嬉しい。

 忘れてないよ!
 懲りずにおんなじ味を出し続けてるので、心配しないで。
 今のところ新作は大洗港周辺の砂利味だけど、そのうち砂糖味になるので大丈夫。

 同じ味付けなのに味見しにきてくれるやさしい人々、いつもありがとう。
ほんとは、できれば、全員振り落としたいんだけど、どうもありがとうね。



20240709_mizuno.


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