【マーケ基礎】「売り方」の前に、「仕入れ方」。
「上手に仕入れた商品は、売れたも同然である」
とよく言われます。
それほど、仕入れが難しいということでもあります。
どのように見せればいいのだろう。
どのように売ればいいのだろう。
店主は、いつもそう考えています。
それは当然のことなのですが、
その前に「仕入れ」の重要性を
見逃している店主が結構いるものです。
いつも同じ問屋の方が安心だから。
これが流行ると問屋に言われたから。
安く仕入れられるから。
などなど、あまり「仕入れ」を大切に考えていません。
“まずは商品ありき”ということは、
頭ではわかっているつもりでも、
いざ実務となると、無意識に手を抜いてしまうのです。
どこかに、面倒だ、大丈夫だろう、
という気持ちが残っているのです。
この無意識のいい加減さが、命取りとなります。
重要なのは、
商品そのものの機能・性能・品質はもちろんですが、
流行や季節などの『売るタイミング』なのです。
このタイミングをはずすと、
いくら良い商品を仕入れても、
まったく売れないということもあり得ます。
タイミングすなわち「売れる時期」を予測して、
それに合わせた仕入れ発注をしなければなりません。
売り始めの頃と最盛期では、発注数も違うし、
品番のバラエティも大幅に変えておく必要があります。
上手に売り切るためには、商品ごとに、
売り始め、最盛期、処分期を設定しておくことです。
早い段階から、
仕入れ・販売のスケジュールを決めておき、
それにそった戦略を立てます。
繁盛しているお店は、これができています。
ところが、売れていないお店というのは、
シーズンに入ってもモタモタしていたり、
他店の様子をうかがっていたりして、
「売れる時期」を逃してしまっています。
売れるピークだ、と感じた時にはすでに遅く、
店頭に商品を積み上げた頃には、
他店は処分期に入っていたりします。
つまり、計画性がないために、遅れてスタートすると、
最後まで後手にまわってしまい、
在庫の山をかかえて、困り果てるのです。
大切なのは、売れる商品を読み取る眼と、
売れる時期を考えた計画性のある仕入れです。
もうひとつ大切なことがあります。
それは、問屋選びです。
1、2社の決まった問屋と取り引きしていれば、
面倒なことはありませんし、安心です。
電話1本で、仕入れができます。
でも、これが失敗のもとです。
“なあなあ”でやっていると、
問屋の方も甘えが出てきて、
手を抜いた対応をするかもしれません。
売れ残った商品を押しつけてくるかもしれません。
店主は問屋を信用していますので、
言いなりで仕入れてしまいます。
その結果が、在庫の山です。
問屋には、まめに足を運び、
複数の会社と取り引きするようにします。
問屋ごとに得意な商品がありますし、
複数と契約することで、問屋間の競争も起こり、
良い商品を仕入れることができるようになります。
たとえば、シーズン初めには、
「見せる商品」の強い問屋。
最盛期には、「売れ筋商品」のフォローがうまい問屋。
さらに、処分期には、
取り引きにおいてメリットが大きな問屋。
問屋には、それぞれ特長がありますので、
それをうまく活用していける仕入れ計画を立てれば、
「売れる時期」をしっかりつかむことができます。
最後に、『売れる仕入れのポイント』を記しておきます。
●どのような客層がメインターゲットなのかを明確にし、
また、それに対応しているか。
●つねに売り場に出て、
売れ行きや消費者ウォンツを把握しているか。
●雑誌などの情報だけでなく、
街を歩き、直接消費者の動向を見ているか。
●百貨店、スーパー、同業者、
そして問屋などをこまめにまわり、
商品情報を集めているか。
●問屋は、商品特性に合わせて、複数と契約しているか。
●問屋ごとの売れ行きを分析したり、
新しい問屋を探したり、つねに選別を行なっているか。
●仕入れは、楽な方法でやってはいけない。
いつも足を運ぶこと。
これらのポイントに留意・実践しているお店は、
売れて儲かるお店となっていくのです。
販売員は素人でもなんとかなるが、
仕入れは玄人でなければ、絶対成功しない、
と言われます。
極端な言い方ですが、
それほど仕入れが大切だということです。
でも、なかなか難しいことです。
いま社会は、生活意識や行動様式が大きく変わり、
消費者もますます個性的な商品を求めてきています。
商品のライフサイクルも短くなっていますし。
ちょっとした商品の見込み違いやタイミングのずれで、
不良在庫となってしまいます。
そうならないためには、社会を見ることです。
情報を集めることです。