【マーケ基礎】高齢者目線の店づくり。
既に亡くなっている私のおふくろが、
身体の衰えから買い物に行きづらくなった頃、
私が車で連れて行っていました。
おふくろと一緒にスーパーを歩いていると、
いろいろと勉強になることがあります。
「高齢者目線」と言うのか、
お年寄りならではのモノの見え方がわかるのです。
そこから、お店の問題点も見えてきます。
●お店の入口付近は、広いスペースがあるか。
お年寄りは、足腰が弱っていますので、
混雑した場所やモノがたくさんある場所では、
歩きづらいのです。
ちょっとモノや人にぶつかっただけで、
こけることもあり、大怪我となったりします。
だから、怖いのです。
セールなどで人がたくさん出入りしたり、
売り出し品などが積まれていたりすると、
なかなか中に入れません。
入口が広く取られていれば、怖がることなく入れます。
また、
ほんのわずかな段差にも気をつけてあげてください。
たとえ、数ミリでも危ないのです。
●カートは、低めのものを使っているか。
おふくろは、ほんの少し前まで、
カゴを手に持って、売り場をまわっていたのですが、
カートを押すようになりました。
やはり、足腰が衰えると、
カートを押す方が安定するようです。
そこで気づいたのは、カートの高さです。
まわりのお年寄りを見てわかったのですが、
背が低い上に、腰が曲がっているので、
若干押しづらいのです。
もう少し低くなっていれば、安定します。
お年寄り用のカートがあっても、
良いのではないでしょうか。
●案内やお年寄り向け商品は、低い位置にあるか。
天井から下がっている売り場案内は、
まったく見ていません。
その存在すら、知りません。
だから、欲しい商品を探し出すことが、困難になります。
すると、どうするか。
店員に聞くか、諦めてしまうのです。
場所がわからないから諦める、
ということはよくあることです。
若い人でも、聞くのが恥ずかしいからと、
諦める人は結構います。
お年寄りにもわかるように、
「どこに何があるのか」という案内は、
低い位置でわかりやすく表示しなければいけません。
また、高い位置にある商品は、見ていません。
というより、見えないのです。
目線がかなり低くなっているからです。
ゴールデンゾーンより下が、
お年寄り目線となりますので、
対象商品はやや下に持ってきます。
子ども向け商品を下に置くのと同じです。
●POP・プライスカード・プライスシール
の文字は大きいか。
小さな文字が見えにくくなっています。
書いてある内容がわからなければ、
買うことを躊躇します。
スペースの問題もありますが、
できる限り大きく表示して欲しいところです。
私のおふくろは、割と新しい商品は試す方なので、
手に取ろうとはしますが、
パッと見て、何かわからなければ、すぐに戻します。
文字を読もうとはしません。
カゴに入れるモノは、大きな文字で何であるかが、
すぐにわかるように表示されたモノです。
●店員が、購買の邪魔をしていないか。
通路に段ボール箱を置き、店員が商品を陳列しますが、
これが結構、お年寄りには邪魔になります。
カートを押しているからです。
カートが無ければ通れる通路でも、
段ボール箱が置いてあると、
通れなくなっている場合があります。
すぐに店員が気づいて、寄せれば良いのですが、
どうも最近は、
そういう教育ができていないお店が多いのです。
また、陳列している棚にも、
カートがあるために近づけないのです。
店員が邪魔になっています。
これも店員が気づけば済むことなのですが。
●売り場に、段差は無いか。
これは、カートを押す場合はもちろん、
カートが無くても、
お年寄りには、気をつけてあげなければいけません。
つまずいて、大怪我をします。
たまに、電気の配線が床を通っていることがあります。
工事費を節約するためでしょうが、
この数ミリの出っ張りが、
どれほど危険なことかを知っておいてください。
命にもかかわることです。
以上のようなことだけでなく、
まだまだ注意しなければならないことはあると思います。
高齢化社会になり、
バリアフリーやユニバーサルデザインが
叫ばれていますが、
私はまったく進んでいないのではないかと思っています。
それは、企業が儲けるための手段として、
こんな言葉を遣っているに過ぎないからです。
発想が逆なのです。
言葉なんか、どうでも良いことです。
まず第一に、お客さまに優しいこと、
お客さまのためになることを考えれば良いだけです。
その結果が、儲けに繋がるのです。