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【マーケ基礎】売る側の先入観・買う側の先入観。
『デンマーク地鶏のこんがり炭火ブロシェット』
この料理名を見て、あなたはどんな料理を想像しますか?
「ブロシェット」というフランス語をご存じの方は、
鶏の串焼きだということはわかります。
「炭火串焼き」という名前だったとしたら、
焼き鳥のようなものだということはわかります。
どちらにしても、
「デンマーク産地鶏」「こんがり炭火」
「焼き鳥」という響きから、
“美味しそうだ”“どんな味だろう?”と、
興味を示すのではありませんか。
実は、この鶏肉、
2kg680円で売っている冷凍の業務用なのです。
この鶏肉の産地を見ていて、
私がこの料理名を考えました。
言ってみれば、あまり上質ではない安い鶏肉です。
正体を知ってしまうと、
「そんな安いもの、大丈夫なの?」
と、思ってしまいますよね。
これは、
どちらも先入観で見ているから起こる感じ方なのです。
一方は、“なんとなく”かっこいい名前による、
“美味しそうだ”という先入観。
もう一方は、輸入ものの安い鶏肉という先入観。
同じものなのに、
名前ひとつで印象が大きく違ってきます。
実際に調理すれば、味つけ次第で、
“安いもの”のイメージはなくなります。
(“本物の”プロにはわかりますが)
私が言いたいのは、安いものを高く売る方法ではなく、
先入観を持たずに、
「戦術」を考えて欲しいということです。
簡単に言うと、
「輸入モノの安い材料はダメだ」ではなく、
どうすれば美味しくできるか、
どうすれば美味しそうに見えるか、ということです。
これは、料理だけではなく、
他の商品・サービスにおいても言えることです。
商品・サービスの良さを、
どう見せるか、どうアピールするか。
角度を変えて、見てください。
陳列は? 商品名は? キャッチフレーズは?
自分の先入観を捨て、
お客さまの先入観を研究してみてください。
言葉は悪いのですが、「先入観を利用」するのです。
もちろん、嘘は絶対にいけませんが、
多少の“ハッタリ”は、許されます。
それが、お客さまの満足につながるのなら、
という前提ですが。
『デンマーク産地鶏のこんがり炭火ブロシェット』
という料理名に嘘はありませんが、
言葉による“ハッタリ”があります。
産地がデンマークではなく、
中国やタイなら、どうでしょう。
「安いもの」という先入観しかありませんよね。
「炭火焼き鳥」だけだとしたら、
特に印象には残りませんよね。
そして、もうひとつ。
「地鶏」という言葉。
これは、実際に確認しなければ使えませんが、
「地鶏」というだけで、
“美味しそうだ”という先入観を
持っている方も多いと思います。
日本の場合でいうと、
昔から日本にいる種類だと思っている方が、
大半でしょうが、実は違います。
在来種と外来種を掛け合わせたものにも、
「地鶏」という表記が認められています。
つまり、在来種の血が入った、
その地域独自の品種ならば、「地鶏」と呼べるのです。
業界団体の「嘘」のような気もしますが、
それを仕入れるお店には責任はありません。
堂々と表記しても良いでしょう。
話が逸れましたが、先入観はいたるところにあります。
全国いろんな地域で、
産品のブランド化に取り組んでいますが、
結局は、“どう売るか”なのです。
ブランドの中身はハッタリが多くありますが、
“品の良いハッタリ”は、お客さまを満足させます。
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