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【日常エッセイ】未婚アラサー女、母乳を出す。

まず最初に言っておくと
これは育児日記でもなんでもなく
ただの未婚アラサー女の出来事である。
※人によってはデリカシーがないと感じられるかもしれない表現もありますのでご了承ください


それは突然やってきた。
お風呂で体を洗っていると
胸元に白い汚れのようなものがついていた。

「あれ?シャワーで落とし切らなかったかな?」
と、手で擦ってみると
なんとその白い物体が増えたのだ。

うわぁ~~~~~~~~~~~~~~


思わず風呂場で一人声を上げた。
それは母乳だったのだ。

慌てふためく未婚アラサー女。
心当たりは…、ある。

思い返すこと約一週間前。
心療内科ではじめて薬を処方された。
それは精神に作用する薬だったが
人によっては副作用として
高プロラクチン血症を起こす場合があると
説明を受けた。
つまるところ、"母乳がでる可能性がある"
ということらしい。

今まで私は薬の副作用に左右されることが
なかったため
「ほへぇ~そんなことがあるんだなぁ~」
くらいなアホ面で説明を受けていたが、
いざ飲み始めるとすぐに胸の張りのようなものを
感じるようになった。

それでも一週間ほど薬を飲み続けると
ついに出た。
母乳が。

出たと言ってもさすがに授乳者のように
たくさん出るわけではなく
ジワッとにじみ出る程度の話だが、
まだ妊娠すら経験のしたことがない私にとって
それはあまりにもショッキングな出来事だった。

だって何事にも心の準備ってものがある。
女性の大きな体の変化と言えば
まず生理を迎えるタイミングだろう。
初潮を迎えた時の感情は
すでに忘れてしまったものだが
おそらく今回の衝撃は初潮をも上回るはずだ。
だって何も心構えしていなかったから。
(先生に言われただろ、というツッコミはおいておいて)

想像していた順序であれば
妊娠を経てからはじめて経験するものだと
思っていたが
未婚独身女、結婚をも差し置いて
母乳が先頭を走ってきた。
「え、ごめんなさい
 もうちょっと時間かかるかと思って
 あなたの食べる分準備してない」
っていうような気まずさがある。

しかもなんか想像していたのと違った。
うまく表現できないけど
もっとこう牛の乳しぼりみたいな
イメージかと思ったら
どちらかというと血が滲む感じに近かった。
(本来の母乳の出方とは違うのかもしれないけど)
母乳は血液からできてるというけど、
本当に血に近いのかもしれない。

人間の体は面白いもので、
人生を進めていくと様々な変化がでてくる。
ある程度は生きていく中で知識を得ていくけれど、
教科書と違ったタイミングでそれを迎えた時
人はこんなにも衝撃を受けるものなんだと
良い学びになった。

今回の薬は先生に伝えてストップすることになり、
結局母乳は2日間程度でおさまったが
今後子供を授かるかどうか分からない私にとっては
ある意味お試し体験みたいな気分で
今となってはとても貴重な経験だと思っている。

そしてその2か月後に
また別のウイルスにより
体内から緑色の物体を出して
慌てふためくことになることを
その時はまだ知らない。

本厄を翌年に控えるなか、
災難が続いた2024年。
2025年の初詣では健康を
強く強く願ったのであった。


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